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200年住宅制度の影響

福田首相が議長を努める洞爺湖サミットが終わった。
環境対策がメインテーマであるだけに、肝いりの「200年住宅」政策をあちこちの場面で誇らしげにアピールされたのではないか。


1.福田さんの過去の発言を拾ってみる。データ的に面白い。

http://journalist.realestate-jp.com/?eid=588932&target=comment
日本では住宅は30年の寿命で米国55年、英国77年です。米国ではリフォームしたら2割も値上がりするといいます。ロングライフの住宅を造ることが資源の点からも必要です」と話した。

 この後、200年の根拠については「根拠はありません。100年の倍ということでメッセージ性があるということでしょう」と答えた。さらに日本では住宅の販売市場では中古は13%なのに米国では80%、英国は90%です。もっと中古市場が活発になるようにしなくてはいけませんね。そのためには家の履歴書を作るとか、税金をまけるとかしませんとね」


2.具体的な政策を見てみよう。
http://home.yomiuri.co.jp/news/20080121hg04.htm
国交省、「200年住める」住宅促進
税の優遇措置適用も
 国土交通省は、耐久性や耐震性に優れ、何世代にもわたって住み続けられる「200年住宅(長期優良住宅)」の普及促進策を本格化させる。

 今通常国会に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案(仮称)」を提出し、建て替え負担や廃材による環境破壊の軽減を図る。国交省は2008年秋の施行を目指し、施行後3〜4年で10万戸強の普及を見込む。

 日本の戸建てやマンションなどは、建築から取り壊しまでの平均期間が約30年とされ、米国の55年、英国の77年に比べて短い。200年住宅は、高品質の戸建てやマンションを建築し、維持・補修を制度化することで資産価値を長期間保たせる構想だ。

 具体的には、200年住宅を新築する者が、地方自治体に「長期優良住宅建築等計画」を申請する。国土交通相が定める基準を満たしていれば、「200年住宅」として認定され、税制上の優遇措置などを適用する仕組みだ。

 また、5年に1回程度の点検を課し、その記録を「住宅履歴書」として保存・管理することを義務づける。これにより、中古住宅市場の活性化も見込める。違反した場合は認定を取り消す。

 認定基準は、〈1〉数世代にわたって使用できる耐久性のある構造躯体(くたい)を持つ〈2〉大地震後も必要な補修で継続使用できる〈3〉耐用年数の短い内装・設備は点検、補修が容易にできる〈4〉居住者のライフスタイルの変化に応じて間取り変更ができる――などとする方針だ。

 例えば、一戸建てでは、基礎部分を地面から高くし、風通しを良くして耐久性を高めたり、マンションの共用配管を廊下などに配し、修繕を容易にするなどの必要がある。

 住宅の寿命を延ばそうとすると、最初の建築コストが2割ほど高くなる。このため、税制の優遇措置を適用する。施行日から10年3月末までに完成した新築物件を対象に、一戸建ては築後5年間(通常3年間)、マンションは7年間(同5年間)、固定資産税を半減する。不動産取得税は、住宅の課税標準から1300万円(現行1200万円)まで控除する。

 住宅市場は昨年6月施行の改正建築基準法の影響などで低迷している。住宅業界は、市場の風向きを変えるきっかけとして200年住宅に期待を寄せる。反面、住宅寿命が延びるほど、新規需要が減る懸念がある。

 また、消費者の意識が向上し、「良質な住宅を供給できないメーカーが淘汰(とうた)されていく」(地方の中小住宅メーカー)可能性もある。

 ニッセイ基礎研究所の篠原二三夫・土地住宅政策室長は、「住宅メーカーは、新築だけでなく、リフォーム事業を強化するなど収益構造の転換を迫られる。中長期的には業界再編につながる可能性もある」と指摘している。(香取直武)

(2008年1月21日 読売新聞)


3.私なりの考え
 グローバルな環境問題の観点からは、確かに正しい方向性だと思う。取り壊さずに済めば、それに越したことはない。
 取り壊し代金の高騰も廃棄処分先に困っているからだ。
 アスベストなどの資材も取り壊すときに、粉となって猛威を発揮するので、機械でガサガサ壊すことができず、手作業での解体となり、費用がなおさら高くなる。

問題点(1)建築費が高く、地価下落要因となる。

 建築費が2割高くなるというのは、建設資材の高騰が続けば、もっと高くなるだろう。サラリーが増えるのであれば、ともかく、物価上昇の割りに給料が頭打ちとなれば、住宅どころではない。
 分譲住宅ともなれば、土地建物の総額は地域ごとに、その住民のサラリー水準で決定される。もちろん借り入れが大前提だ。金利も影響する。
 三重県中勢部では2000-2500万円程度が新築一戸建ての目安だ。
それ以上では売れにくくなる。
 建物代金が大体坪当たり50万円で30坪で1500万円。土地代金は500-1000万円という勘定だ。50坪(やや狭いが)の土地とすると、坪10-20万円という感じ。
 それが建築費が2割高くなるとすると、1500万円×120%=1800万円。
(2000〜2500万円)-1800万円=200万円〜700万円となり、
50坪で割ると、坪4万円〜14万円となる。
単純計算であるが、地価に対する割合は、-60%から-30%だ。
 昨今の建築資材の高騰や、改正建築基準法と住宅瑕疵担保履行法によって20-30%は上昇していると密かに言われているだけに、地価はすでにこれらを織り込み始め、下落を示しているとも言えるのであるが、200年住宅はさらに拍車をかける可能性がある。
 もちろん、富裕層向けに限定するのであれば、上限はあまり関係ないのであるが・・・。
 もちろん税制によってカバーされているとの意見もありそうだが、その内容は政府として、実際には腰が引けているような内容だ。税収に穴が空くことを極端に恐れている印象を受ける。

問題点(2)地域経済、とくに建設関係の雇用問題
 実質的に基幹産業とも言えた、住宅関連建設産業であるが、この制度によって、ますます住宅が売れにくくなる可能性が出てきた。
 既存の住宅は、200持たないということで買い叩かれることであろう。そうすると、原価を割り込む販売となるケースも続出してくることが考えられる。

 まあ、もともとあえて30年しか持たないような住宅を作ることによって、「次世代以降も住宅建設会社は存続させる」いう隠れた、企業存続の秘訣もあったわけであるが・・・。

 地域経済としてはとても痛手である。
 さらに、何度も繰り返すが、もともと正社員雇用制度が崩壊して、派遣制度になった時点で終わっているといえば、終わっているともいえるのであるが、いわば、ダメ押しホームランと言う感じだ。

問題点(3)動かせないということ
 不動産なのだから、動かないのは当たり前なのであるが、郊外団地も購入当時の世帯主が年を取ると、中心部に移転したり、またそのご自宅でなくなってしまっても、子供たちが引き続きそこで、居住することはなくなるケースが増えてくる。少子化なので、長男長女が結婚すると自然と一戸は余る。

 また利便性の高い、教育水準の高い学区に住みたがる。古い団地には子供たちも少なくなるので、優秀な先生も赴任しづらくなる。このへんはPTAの影響が大きいのであろう。

 せっかく郊外に200年住宅を建てても、団地全体がゴーストタウンともなれば、無駄となりかねない。
  
 住宅の嗜好もテクノロジーもどんどん変わってくることも指摘したい。
たとえば、太陽光による発電とオール電化の組み合わせを、15年前に想定できた人はごくわずかであっただろう。
 
問題点(4)住宅履歴書で中古住宅の価値を保持、上昇させることができるのか?

 まず、地震大国である日本と地震があまりない欧米では、住宅への価値観が違っているのではないか。本来地震に備えるべき日本でも耐震化が十分な家は割高となっていて、ゆとりがない世帯では敬遠される傾向にある。
 中古住宅は機能面で見劣りすることが多い。ウォシュレットでないトイレ、追い炊きがない風呂、和室が強制的についてくる、などなど。さらにもともと30年でガタが来るように作られているので、雨漏りしたり、床が柔らかくなってくる。


 200年住宅を題材にしたが、いろいろと住宅問題は根深いことをわかっていただけたと思う。

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たしかにこの問題は根深いようですね。
未来に向けて、光を見出せる術があれば良いのですが...

2008/7/10(木) 午後 7:03 pakupaku

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地味ですが、地域ごとにそれぞれ特徴を生かした知恵が出てくれば良いのではないかと思います。宮崎の高額マンゴー販売や青森りんごのヨーロッパ輸出など・・・。
道州制の意義はこうした知恵を引き出す上で、地域ごとに競合させるという意味で早期に導入すべきだと思います。もはや日本全国、ミニ東京みたいになる必要性はなく、かえって独自性が尊重されるようになってくると思うのですが・・・。

2008/7/11(金) 午前 8:39 不動産鑑定士1級FP 田中 利彦

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アメリカ、イギリスとは気候も風土も違うのだから比べるのがナンセンス。

200年は長過ぎる。流行や技術の進化も有るのでやるだけ無駄だと思います。
テレビの街頭インタビューでも言ってました。

住宅産業に携わっているのですが、技術的にも200年は無理だと思います。

逆に、もっと安くて20年しか保たない家の方が売れたりして。

2008/7/12(土) 午後 5:34 ヤス

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「200年は持たないけど、20年は持つ」というキャッチコピーで、実際に質を落として、価格はもっと落とした住宅というのは、ウケルかもしれませんね!!○○イ○建を思い出しますが、住宅業界全体としても、今までの高品質住宅の営業部隊からエース級の人材は居なくなって、マンション等の方にシフトしているみたいですね。

2008/7/12(土) 午後 7:11 不動産鑑定士1級FP 田中 利彦

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