パグの眼球突出
|
※ちょっと刺激の強い写真が出て来ますのでご注意ください。
ある日、病院の閉院間際になって、 なじみの飼い主さんがいつものパグを抱えて、 血行を変えて飛び込んできました。 「大変です! 診て下さい!!」 飼い主さんはよほど慌てているのか、 かなり動揺している模様です。 どうしたのかとパグさんの顔を覗き込んでみると、 いつものかわいらしい顔つきがえらい事になっていました。 片方の目が飛び出て、ぎょろ目になり、 その周りは血で赤く濡れています。 「ありゃりゃ、どうされたんですか。」 「散歩中、近所の犬とじゃれていた時に頭をがぶりとされたと思ったら、 こんな事になっちゃったんです。」 飼い主さんもかなり気が動転している様子ですが、 当のパグも、何がどうなったのやら分からない様子で、 興奮してぶるぶる震えています。 「どうやら目が突出しちゃったようですね。 短頭種は、目のくぼみが浅くて目が飛び出ているんで、 パグとかシーズーとかは、割合なりやすいんですよ。」 「どうしたらいいんでしょうか。 なんとかしてやって下さい。」 「目が出ている状態が続くと、神経も伸ばされますし、 角膜も乾いて来て、眼球のダメージも大きくなって来ます。 一刻も早く整復してあげないと、 視力への後遺症状が残る可能性がありますので、 早く整復してあげましょう。」 短頭種は麻酔のリスクも他の犬種よりは高いのですが、 かなり本人も興奮しているようですので、 鎮静剤をかけた後、ガスで眠らせて、 急ぎ処置をする事にしました。 導入剤を注射し、気管チューブを入れた後、 うつぶせに寝かせると整復処置の開始です。 飛び出した眼球の根元を観察してみると、 根元の部分に眼瞼が挟まっており、皮膚を巻き込んでいるために、 目が戻れなくなってしまっているようです。 この状態では、いくら目を外から押しても戻りませんので、 整復のためのテクニックを使う事が必要です。 目の周りの毛を刈り、眼の周囲を洗浄すると、 いよいよ処置の開始です。 角膜は保護のために潤滑ゼリーで覆っておき、 手技の時にダメージを受けないように保護しておきます。 手技において、必要なものは、3本のナイロン糸とメスの柄です。 まずはナイロン糸で下のまぶたにかけ、 続いて上のまぶたに糸をかけます。 この時、なるべく眼瞼の辺縁に近い部位に糸をかけるようにするのがポイントです。 縫合糸をかけた後、眼球の上と糸の間にメスの柄を入れられるよう、 糸はきつく引っ張らず、スペースを作っておくという事がもうひとつのポイントです。 糸を、内側、真ん中、外側と3つかけると、手技の下準備は完了です。 次に、角膜と糸の間に、メスの柄の先を慎重に挿入して行きます。 メスの柄が奥まで入り、角膜の上に装着されたら、 いよいよキモの部分の処置の開始です。 糸を3本手に持つと、それぞれに均等に力がかかるように引っ張りながら、 メスの柄に徐々に圧力をかけて行きます。 眼球が戻らなくなっている事の原因のひとつは、 眼瞼が眼球の目元に食い込んでいるからです。 糸を引っ張る事により、眼瞼が手前に引っ張られてきますので、 通り道が開き、戻るための障害がなくなります。 糸を引っ張りつつ、圧力をかけすぎないように注意しながら、 慎重に、ゆっくりと眼球を押して行きます。 引っ張りつつ押していると、すぽっという感触とともに、 眼球が眼窩に収まりました。 手を離してみると、眼球は元の位置に戻ったようで、 眼瞼が元通り手前に来て、眼球はその奥に位置しています。 これで処置のキモの部分は終了です。 あとは、もう一度眼球の表面をきれいに洗浄して、 再脱出防止および眼球保護のための眼瞼縫合を施すと、 麻酔を覚ましていきました。 短頭種は麻酔の覚醒まで気をつけなければいけないのですが、 幸い、無事に覚めて来てくれました。 来院時はかなりパニック状態だった飼い主さんも、 無事に処置が終わり、目が収まった顔を見ると、 少しホッとして、気持ちが落ち着いてくれた様子でした。 それから数日ごとに、様子を見せてもらっていましたが、 術後10日頃にはすっかり傷もきれいになり、 目の炎症も落ち着いて、見た目は正常になった様子でした。 一番心配していた視力の状態に関しては、 片目をおさえて綿花をひらひらと落としてみたところ、 後を追ってみてくれている様子でしたので、 何とか無事、視力も戻ってくれたようでした。 短頭種では、目が突出してしまうことはたまにあるのですが、 一番大切なのは、神経と眼球の受けたダメージの度合いと、経過時間です。 だいたいの場合、突出した目は、眼瞼を巻き込んでしまって戻らない状態になり、 角膜は空気にさらされ続いている状態になってしまいます。 その状態が続くと、視神経が伸ばされていてダメージを受け続けますし、 角膜が傷つくと潰瘍が出来たり、ひどい場合には、 穴があいてしまったりする可能性もあります。 最悪の場合は、眼が失明したり、 眼球摘出せざるを得なくなってしまう可能性もありますので、 なってしまったら、一刻も早く病院に連れて行って、 整復の処置を受ける必要があります。 また、乾燥は角膜に対して一番のダメージとなりますので、 角膜表面が乾かないように、生理食塩水などで湿らせて、 角膜を保護しておく必要があります。 受傷後の判断で、目の機能のその後が左右されますので、 「湿らせて早く連れて行く」 ということだけ覚えておいて下さい。 飼い主さんが犬の頭を後ろから叩いたところ、 目がボロンと出てしまった、なんて話も聞きますので、 短頭種の飼い主さんには、特にご注意いただきたいと思います。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。 傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。 転載、リンクはフリーとさせていただきます。 |



こんばんわ。
さすがにかわいいペットの目玉がが飛び出てしまったら
大抵の飼い主さんはパニックになって病院に飛び込むでしょうね。
でも、このような状態になっても適切な処置をすれば
きちんと元に戻れるということを
しかり覚えておいてあげることも飼い主の役目ですよね。
とても勉強になりました。
2010/4/3(土) 午前 1:42
初めてコメします!!
ウチにチワワ2匹いますが大事な家族(^-^)//
いろいろ勉強になります!!
2010/4/3(土) 午前 8:24
ゆめままさん、おはようございます。
見た目のまんまの病気ですが、かなりショッキングな状況になりますからね。
早く処置してあげることが何より大切な病気です。
2010/4/3(土) 午前 9:46
ライチさん、おはようございます。
コメありがとうございます。
テキスト量がいつのまにやら多くなっていますが、いろいろ記事がありますので覗いて行ってやってください。
2010/4/3(土) 午前 9:46
勉強になります。
2010/4/3(土) 午前 9:56 [ masammmmm ]
今日は
お久しぶりです
我が家は保護っ子含めパグが5頭です
大変勉強になりました
ありがとうございました
2010/4/3(土) 午後 0:02
ぽこ先生、こんにちは。お久しぶりです。
実は昨晩就寝前にこの記事を読ませていただいたのですが、
確かに非常に刺激的な画像でなかなか寝つけませんでした…
私もパグを飼っているので我が家の愛犬に置き換えて想像して
しまったからだと思いますが、、
パグの目玉がそんな風に飛び出しやすいものだとは初めて知り、
飼い主さんが頭を後ろから叩いた際に目玉がボロンと出てしまった
という実例もある事に大変驚きました。気をつけないといけないし、
パグ関連のサイトにもそのような事を書いているものもなかったので
とても勉強になりました。
貴重な情報を教えて下さりありがとうございました。
飼い主さんの動揺、無理もなかったでしょうね。
私もパニックになってうろたえてしまうと思います。
2010/4/3(土) 午後 3:07 [ nico ]
こんにちは。
うちにパグがいますが、出目だから
二度も眼球を傷つけたことがあり、
どちらのときも失明するかもといわれ
びっくりしたのを思い出しました。
性格もあってか、ほんとうに落ち着きがない
ハイテンションパグなので、
いつもはらはらします。
この記事をみさせていただいて、
また気をつけなくちゃと再確認できました!
2010/4/3(土) 午後 3:23 [ せんべいママ ]
シーズ二匹、パグが一匹、とても心配です。
こんな恐ろしいことになるなんて考えられないほどです。
十分に気をつけます。
2010/4/4(日) 午前 0:24
家にもチワワがいるのでたぶんこの眼球が飛び出る恐れがあると思いますので気をつけたいです。
遅ればせながらお気に入りに追加させていただきました。
2010/4/4(日) 午前 1:00 [ 琉 ]
masammmmmさん、おはようございます。
できれば見たくないシチュエーションですが、なったら適切に処置してあげないといけないですね。
2010/4/5(月) 午前 9:58
ゆきんこさん、おはようございます。
頭部にダメージがなければ、普通にはならないですですけれども。
2010/4/5(月) 午前 9:59
nicoさん、おはようございます。
たしかに刺激が強いかもしれません。
獣医師が見ても刺激的だと、一般の飼い主さんにとってはもっと刺激が強いのでしょうね。
2010/4/5(月) 午前 9:59
せんべいママさん、おはようございます。
目が飛び出ている犬種は、傷ついたり、角膜炎が起こったり、ほかの犬種よりも失明につながるリスクは高いです。
たしかにパグはテンションの高い子が多いですね。
2010/4/5(月) 午前 10:01
mat*rik*1*0125さん、おはようございます。
普通にしていればここまでなることはあまりないですが、角膜を傷つけることはしばしば多いです。
シャンプーなんかの時も要注意ですね。
2010/4/5(月) 午前 10:02
琉さん、おはようございます。
チワワで多いとは感じないですが、人間でも交通事故で目が出ることはあるらしいので、どの種でもなりえるのでしょうね。
そこまでのダメージだと、目もそうですが、脳のダメージも大きそうです。
2010/4/5(月) 午前 10:03
これは、大変だ
2010/5/27(木) 午後 4:59 [ sek*1*500* ]
sek*1*500*さん、おはようございます。
パグなどはたまにありますからね。
注意が必要です。
2010/5/29(土) 午前 9:02
交通事故(4/30)により眼球突出になり救急病院にての治療にて 退院から一週間経ちましたが、抜糸後 こちらのようにきれいにもどっていません。とてもとても心配で心が痛い毎日です。わたくしのわんちゃんの先生は目薬をロメワン フルメトロン ヒアレイン を出されています。これで様子をみましょうと。。。(1か月ぐらいで方向性がみえるでしょうと。)信じて待っていればいいのでしょうか???
ぜひ、アドバイス頂きたいです。
2012/5/14(月) 午後 10:07 [ アールジュエリー ]