Ⅲ 居宅介護支援費
1. 居宅介護支援費
居宅介護支援費は、利用者が介護保険サービスを1つの月のうち一度でも利用した場合に発生します。例え通所介護1日の利用しか無くても、居宅介護支援費は発生し、日割などになったりはしません。逆に言えば、その月の中で何の介護保険サービスも利用しなかった場合は、どれほど訪問しても連絡しても、一切の居宅介護支援費は発生しません。後述する様々な加算は、すべてこの居宅介護支援費に付随するものですから、居宅介護支援費が発生しなければ、すべての加算も算定できないという構造になっています。Ⅰ-1で述べたように利用者数が制限である39名を越えなければ、要介護1・要介護2が10,000円、要介護3・要介護4・要介護5が13,000円です。
要介護者の担当数が35名を越えた場合、要支援者の担当数が8に達していなくても減算になります。40名以上という規定はあくまで予防支援の受託数8名分を含むので、要介護者だけで35名を越えることは認められません。
では要介護者35名、要支援者9名を担当した場合の算定はどうなるかというと、この場合は要支援者を計算の冒頭に持ってくるという考え方であるため、トータル39.5名となり、減算の対象となります。39.5名は40名以上とみなします。
故に、要支援者が9名以上で、要介護者と合わせて39名を越えない範囲に関しては、厳密には減算の規定がなく、要支援者8名枠を超えた場合の罰則が存在しないこととなります。減算で無い以上、返戻という罰則は大きすぎるため、現実にはまだ対応策が無いのかもしれませんが、少なくとも指導の対象となることは間違いありません。
2. 初回加算
文字通り、初めて居宅介護支援費が発生するときに算定します。しかし、2ヶ月間サービスの利用が無かった場合、サービスの再開時には再度初期加算を算定できるものとされています。要介護認定が2段階以上変化した場合にも算定できます。また、後述する退院・退所加算との選択算定も可能です。例えば、病院を退院して、初めてサービスを利用する場合や、サービスを利用していたが2ヵ月以上入院してから再開する場合、初期加算を算定できますが、初期加算の代わりに退院時連携加算を算定することが出来ます。通常は退院・退所加算の方が単価が高いため、こういったケースでは初回加算を算定しないのが通例です。初回加算と退院・退所加算を重複して算定することは出来ません。
3. 医療連携加算
病院又は診療所に入院する利用者について、当該病院又は診療所の職員に対して、利用者に関する必要な情報を7日以内に提供した場合に算定できます。どのような提供方法を取るかは定められていません。基本情報をまとめて交付しても、既存のフェースシートやアセスメントシートを交付しても構いませんが、電話連絡等のみで算定することは認められません。個人情報の提供にあたるので、事前の許可も必要ですが、入院にまったく必要のないと思われる情報まで提供する必要はありません。算定時には支援経過記録に算定の有無を記録してください。
4. 退院・退所加算
退院又は退所に当たって、病院等の職員と面談を行い、利用者に関する必要な情報提供を求め、その他の連携を行った場合に算定できます。様式は特に定められていませんが、例として公開されている様式でも問題ありません。その様式自体は非常にシンプルなものなので、内容を考えると、看護要約書の提供を求めるだけで足りると判断できます。入院・入所期間が30日以下か、30日を超えるかによって単価が異なります。算定時には支援経過記録に算定の有無を記録してください。同一月に1回のみ算定可で、初回加算との選択算定が出来ますが、併用は出来ません。
5. 独居高齢者加算
独居の利用者に対して、居宅介護支援を行った場合に算定出来ます。算定のための根拠となる独居状態の確認は、原則住民票の確認及び保管によるものとされていて、その発行にかかる手数料は事業所が負担するものとされています。ですから、住民票の発行を利用者もしくは家族に依頼した場合は領収書等と引換えにその手数料を支払わなければなりません。やむを得ず介護支援専門員が発行手続を行なう場合は、「代理権授与通知」に必要事項を記入してもらい、市役所もしくは支所にて手続を行ないます。「代理権授与通知」に記入する介護支援専門員の住所等は、事業所等の住所ではなく、実際に居住する住所地のものでなければならないため、利用者に住所地を知られる懸念もありますので注意が必要です。
また、利用者や家族が住民票の発行を拒んだ場合や、住民票上では独居であることが確認出来ない場合(たとえば住民票では子どもと同居となっているが、実際には子どもは遠くへ引っ越している場合や、妻と同居となっているが長期入院中、入所中である場合等)は、アセスメントによる算定が可能とされています。実務上は、支援経過記録に独居であることの根拠や状況を記入し、「独居高齢者加算算定の有無」を記録することで算定します。また、この場合は支援経過記録に毎月必ず独居の確認を行なったことを記入するとされています。「高齢者」という言葉が含まれますが、65歳未満の第2号被保険者においても算定可能です。また、極めて近隣に家族が居住しているケースでは、あくまで独居高齢者加算の算定の根拠となる独居状態が「寝食を共にし、日常的に利用者の状態を把握するものがいないこと」であることから、算定の除外とする根拠にあたらず、算定をすることに問題はありませんが、同一敷地である場合の算定は不可とされます。独居高齢者加算は、居宅介護サービス計画書(第一表)に、算定の旨記入することとされています。
6. 認知症加算
「認知症高齢者の日常生活自立度」が「Ⅲ」以上の利用者に対し、居宅介護支援を行った場合に算定出来ます。判定の基準となる認知症高齢者の日常生活自立度は「主治医の意見書」によるものとされ、認定調査によるものが「Ⅲ」以上であっても、主治医の意見が「Ⅲ」に満たない場合は算定出来ないものとされています。状態と明らかに合わない結果である場合は主治医に意見を求め、改めて「Ⅲ」以上相当である旨の証明を何らかの書面(診療情報提供書、サービス担当者への照会等)で確認出来れば算定できます。認定期間の途中で状態が変わり算定の必要があるときもこの方法で算定可能です。また、主治医が意見書を非公開としている場合は、認定調査書による結果を判定の根拠として良いとされていますが、医師の意見がすべてにおいて優先であると考えて間違いありません。よって、医師の意見が明らかに事実と異なると判断しても、それを理由に認定調査の結果を優先して算定することは認められません。
算定の際は、居宅介護サービス計画書にその旨記入し、判断の根拠となる意見書の確認日や医師の名前も合わせて記入してください。
7. 小規模多機能型居宅介護事業所連携加算
居宅介護支援を行っていた利用者が、小規模多機能型居宅介護の利用を開始する際に、利用者に係る情報を小規模多機能型居宅介護事業所(以下小規模多機能)に提供した場合に算定出来ます。月を跨いで小規模多機能に移行した場合は、最後の居宅介護支援を実施した月に算定出来ますが、間に居宅介護支援を実施していない月がある場合は算定出来ません。例えば、1月に居宅介護支援を実施し、2月から小規模多機能を利用することが確定している場合は、利用自体が2月の中途であっても、1月の居宅介護支援費に加算することが出来ます。しかし同ケースにおいて3月まで小規模多機能を利用しない場合は1月の算定は不可となります。同様に、例えば1月は入院していて居宅介護支援費が発生せず、そのまま2月に小規模多機能を利用することが決定した場合でも、12月の居宅介護支援費に遡って加算して修正することは認められません。また、1月に居宅介護支援を実施し、2月から小規模多機能を利用することを前提に1月分に加算したとしても、結果として2月に小規模多機能を利用出来なかった場合は、過誤請求となり返戻となります。さらに、利用開始日前6ケ月以内に、利用者が対象となる小規模多機能を利用し、加算を算定している場合は、算定できません。
8. 特定事業所加算
以下の要件のうち定められたものを満たす事業所が算定出来ます
① 主任介護支援専門員を配置している
② 常勤かつ専従の介護支援専門員を3名以上配置している
③ 利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項に係る伝達等を目的とした会議を定期的に開催している
④ 算定日が属する月の利用者の総数のうち、要介護3〜5である者の割合が5割以上である
⑤ 24時間連絡体制を確保し、かつ、必要に応じて利用者等の相談に対応する体制を確保していること
⑥ 介護支援専門員に対し、計画的に研修を実施している
⑦ 地域包括支援センターから支援が困難な事例を紹介された場合においても、居宅介護支援を提供している
⑧ 地域包括支援センター等が実施する事例検討会等に参加していること
⑨ 運営基準減算又は特定事業所集中減算の適用を受けていないこと
⑩ 介護支援専門員1人当たりの利用者の平均件数が40件以上でないこと
以上全てを満たす場合は特定事業所加算Ⅰを算定できます。
また、上記の③⑤⑨⑩を満たし、かつ主任介護支援専門員等(年度内に主任介護支援専門員となる予定の者)を配置しており、常勤かつ専従の介護支援専門員を2名以上配置している場合は特定事業所加算Ⅱを算定できます。
なお、②の規定である「常勤かつ専従の介護支援専門員を3名以上」の中には、①の主任介護支援専門員を含まないものとされ、合計4名の介護支援専門員が必要であると解され、これは加算Ⅱにおける「2名以上」にも適用となります。