R氏の3R・イン・東京(再)

ニューヨークでコロンビア大学院留学、パリで国際機関勤務と子育てを両立させるも、基本は東京でサラリーマン生活。

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国際機関への派遣もあと何か月もすると終わる予定なので、

日本の国家公務員に関する本を3冊ほど取り寄せました。

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左から、

中野 雅至(著)キャリア官僚の仕事力 秀才たちの知られざる実態と思考法(ソフトバンククリエイティブ(2012/12/18))
NPO法人プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会)(著)霞が関から日本を変える(マイナビ(2012/12/22))
ユージン バーダック(著), 白石 賢司(翻訳), 鍋島 学(翻訳), 南津 和広 (翻訳)政策立案の技法(東洋経済新報社(2012/6/1))

この順番で読んでみました。

全体的な感想ですが、

(少しですが)気合を入れ直せた

と思います。

今まで日本で働いて、自分にどのようなスキルが身に着いたか、何のために凄まじい残業をこなしてきたのか、それが何の役に立ったのか。

あらためて理解できたような気がします。

以下、

印象に残った個所を並べながら、一言感想など。

まず、ブログ主も一度「この業界が外から理解されることはまず期待されていない」とかきましたが、やはり、
それは、官僚がどんな仕事をしているか世間ではまったく知られていないということ。マスコミ報道の影響で、「悪者」と「エリート」という両極端が強調され、実態とは大きく乖離している。
(『キャリア官僚の仕事力』p.14)
という問題意識は、誰もが抱くものなのだなと思います。

その一方、新卒採用に関わっている職員は、
その間、多くの学生から聞いた言葉の中で最も印象的だったのが、「自分の身近な存在の人にありがとうと言ってもらえる仕事がしたい」という一言でした。
(『霞が関から日本を変える』p.133)
という声を聴いています。

人に感謝される仕事をしたいと思って入ってくる学生が多い中、国家公務員の仕事は殆ど世間に知られておらず、極端なイメージばかりがはびこっている。

そのようなギャップを何とか解消したい、という思いが、最初の二冊の端々に出てきます。

しかしながら、国家公務員の日常は残業三昧で、世間と触れ合う機会もなかなかありません。

『キャリア官僚の仕事術』にある「官僚A君の一日」に、
終電で帰れるものなら帰りたいが、経験的に帰れそうにないことが分かる。「一体、いつになったら家族と食事ができるのだろうか」と家族の顔が頭に浮かんだ。
(『キャリア官僚の仕事術』p.36)
とありますが、私自身を振り返ってみると、二年目以降「家族と食事」という発想自体が頭から消えていたように思います。
・・・霞が関で働く職員の中には、終電で帰宅できればラッキーという勤務環境の人が少なくありません。終電に間に合わず、タクシーでの深夜帰宅を続けるような働き方です。
(『霞が関から日本を変える』p.157-p.158)
という例を出し、「霞が関のワークライフバランスは崩壊している」と論じている個所も見受けられます。

国家公務員が何故そんなに忙しいのか、

について、ブログ主は先日「業務量の増加に人繰りが追いつかず、一人で3〜4人分の仕事を抱えることも珍しくない」と書きましたが、やはり書籍の方がもっときちんと書いてあります

幾つか記述がある中で、端的にまとまっているのが、この箇所です。
一つは、ステークホルダー(利害関係者)が多い点。・・・役所のステークホルダーは・・・全方位に張り巡らされている。・・・仕事を進めるためには、こういう人たちの合意を形成していかなければならない。すると、どうしても仕事に手間暇がかかってしまう。
・・・
もう一つの点は、一つひとつの仕事の時間的制約がきついことだ。・・・官僚仕事は基本的に国会のスケジュールに縛られる。・・・法律や予算の下請け仕事を担う官僚は、仕事の期限というものに敏感にならざるを得ない。
(『キャリア官僚の仕事術』p.29-p.30)
多分の労力を伴う各省協議(『霞が関から日本を変える』p.215)や国会対応の大変さについても、突き詰めていけばこの二点に集約されます。

量的な観点だけでなく、質的な観点からしても、多忙にならざるを得ない構造になっていると、理解せざるを得ません、、、

こういう職場環境で、時間的制約がきつい分、役人は様々な工夫をして効率よく仕事をこなす術を身に着けていきます。

『キャリア官僚の仕事術』p.85にある、付箋とクリアファイルとフォルダを利用した仕事の整理術は、大抵の役人が実施しています。

与えられた仕事をこなすだけでなく、法律や予算の下請け仕事をするためには、

新たな政策を企画立案

しなければなりません。

その上で、生煮えのアイディアで国民に迷惑をかけることのないよう、
少し保守的で現実的な官僚の発想の軸は、過去の事例を調査すること、参考資料をたくさん読み込んで国内外の事例を徹底的に研究すること、最後に関係者にヒアリングして情報を集めることにある。
(『キャリア官僚の仕事術』p.121)
という作業を積み重ねることになります。

この手法、

アメリカではマニュアル化されていまして、

それが『政策立案の技法』に集約されています。

この本を教科書として使っているカリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院は、実は、私が留学を目指した時に受験して落ちたところです。。。

正直言って、

この教科書を使った授業を、私も受けたかったです。

8つのステップも実用に即しており、事例も簡潔で理解しやすく、授業全体のプログラムも、本当に役立ちそうな構成になっています。

コロンビア大学公共政策大学院(SIPA)も二年目の秋学期春学期の専門科目は面白くて役に立つものが多いのですが、

SIPAのコア科目はバークレーほどシステマティックではなく、役に立つとも言えません。

・・・「だから気合が入らなくて成績も悪かった」と言ってみたり、、、

ところで、『政策立案の技法』の8つのステップ、つまり
STEP 1 問題を定義する
STEP 2 証拠を集める
STEP 3 政策オプションを組み立てる
STEP 4 評価基準を選ぶ
STEP 5 成果を予測する
STEP 6 トレードオフに立ち向かう
STEP 7 決断!
STEP 8 ストーリーを語る
(目次より)
については、

日本の役人の視点から見ても、殆ど違和感のないものです。

といいますのも、「訳者はしがき」で述べられている通り、日本ではこの手法が「各自の経験に基づく職人技」として行われているからです。

役所のチームの中で、一子相伝の技として先輩から後輩へ伝えられているとも思います。

日本の役所では、こういうステップを、それと気づかずに踏みながら、法律や予算の企画立案がなされているということです。

そして、各ステップの注意書きにあるような事項をクリアできてないときには、やはり、その案は行き詰まります。
自省すべきところは多々ありますが、特に反省すべきが「ベッシーばあさんのテスト」と「エレベータースピーチ」(p.82)。これをクリアしないと全方位のステークホルダーを納得させることは到底できません。。。

ところで、この手法を熟知した同僚は、非常に効率的に、良いアイディアを量産していました。

傍目から見ても、この限られた時間の中でどうやって、そこまで熟慮された案を考えているんだろう、と思うくらいに。

この事例をかんがみるに、日本で勤務していれば一子相伝で身に着くスキルだとしても、マニュアル化して要点を理解し、実践することで、企画立案の質をさらに上げることはできそうです。

また、今後の霞が関の在り方として、
日本でも官民間で人材の流動化を進め、「回転ドア」式の労働市場を拡充し、(民間企業だけではなく中央官庁やNPO法人や県庁や市役所も含む)「真の就職人気ランキング」を発表すべきです。
(『霞が関から日本を変える』p.151)
ということであれば、スキルのマニュアル化には更に意味が出てきます。

仕事に不可欠なスキルが一子相伝のブラックボックスでなくなったとき、異なるセクター間で人材の流動化が可能になるはずです。

役人として必要なスキルを見つめ直すために、この

三冊の本の読み合わせ

は実に役に立ちました。

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