言葉はなくても友達できるかな

重度障害のある子どもと家族のささやかな楽しみを探求するブログです。

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見えないバリアについて(3)

これは最近体験した見えないバリア。
 
膨大なお金をかけて作られた、立派な児童館。
地域の子どもたちだけでなく、区外からでも、高校生までであれば利用できることになっています。
子どもなら、誰にでも開かれている施設です。
ひとりでぶらっと来ても、職員さんが声をかけてくれ、
仲間同士で遊んでいる子らの中に入れるように配慮されています。
 
しかしそれは、いわゆる健常な子の場合。
障害のある息子は、高校3年生ですが、乳幼児同様、母親がついていないと施設の利用はできません。
そして、母親付きであっても、健常な子どもたちの中には、いつまでたっても入れてもらえませんでした。
 
みんなの近くに行きたい、と、言葉を話せない息子が手振りで遠慮がちに私に伝えました。
しかし私がそれを伝えた職員ににべもなく断られ、
息子は以後、そういう気持ちを表現することをやめてしまいました。
息子にとっては、幼い頃から繰り返し繰り返しぶつかってきた見えないバリアですから、
またここでもだめなんだ、とあきらめてしまいました。
 
私は児童館長さんにそのことを伝えました。
するとその人は言いました。
「では息子さんを他の子どもたちに紹介する場を作りましょうか。
 健常な子どもたちにとっても、障害のある子と触れ合う場があるのはよいことだと思うから。
 そういう場でなら一緒に活動してもらっていいですよ。」
 
私達はこの児童館を訪れることをやめました。
あの児童館長さんは、ご自分が見えないバリアを張っていることに
いまだに気づいておられないことでしょう。
 
 
 
 
 
 
 

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ぼく、ピアノも弾けるかな〜あ合唱団第21回セッション

2012年5月27日(日)
音楽療法的アプローチによるヴォイストレーニングに取り組む『あ合唱団』。
本日は第21回セッションを行いました。
イメージ 1
 
昨日は、東京都障害者スポーツ大会(バスケット競技)があり、
特別支援学校高等部3年の息子も、個人競技に参加しました。
新学期が始まってから、修学旅行や運動会があったこともあり、
部活動の練習回数が少なく、
繰り返しの練習がたくさん必要な息子には非常に厳しいチャレンジでしたが、
息子なりに精一杯の力を出してがんばってきました。
応援のため同行した私は、見ていてハラハラしどおしでした。
どう見ても、うまくできたとはまったく言い難い出来でした。
 
しかしこの大会では、みんなが表彰してもらえる仕組みになっているようで、
息子もなんと「準優勝」としてメダルをかけてもらい、
母としては最初複雑な心境でした。
でも、表彰式を終えて私のところに戻ってきた息子の満足げな表情を見ると、
このメダルは、競技の出来に対してではなく、
明日につながる自信を自分で勝ち取ったことに対するものだったとわかりました。
帰宅して、祖母に「がんばった?」と訊かれると、
息子は「うん!」と元気よく答えていました。
 
本日のセッションは、昨日の今日の疲れも残っていて、
開始時は息子はテンションが少し低めでしたが、
沖縄ソングに合わせたウォーミングアップから始め、
手遊びや、ウッドブロック、木魚などを使った活動を重ねていくうち、
次第に気持ちが乗ってきました。
 
イメージ 2
 
久々に取り組んだ、苦手だった吹く活動でも、
クワイアホーンを手渡すと、すぐに自分から吹き始め、
「ふ、ふ、ふー」というリズムで、一緒に吹きあうことができました。
 
イメージ 3
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 4
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オーシャンドラムとピアノで、沖縄の音階を取り入れた即興のセッションをしました。
オーシャンドラムはこのところ、息子のお気に入りです。
私の顔を覗き込むように、しっかりアイコンタクトを取りながら、
息を合わせて音楽を紡いでいきました。
 
イメージ 5
イメージ 6
 
その後、息子が自分で、拳や手のひらも使って、熱心にピアノを鳴らし始めました。
そこでしばらく息子の流儀で一緒にピアノを楽しんだ後、
右手の5本の指を1本ずつ使い、
「ドレミファソ ドレミファソ ソファミレド ソファミレド」という曲を練習してみました。
私が息子の右手を、左手で下から少し支え、
右手で伴奏をつけながら、一緒に弾いていきました。
ピアノの練習には、10年前に一度挫折した経験があり、
息子はコンプレックスがあるようでしたが、
今日は、2回も一緒に弾ききることができました。
上の写真のように、弾き始めてしばらくすると、
笑顔で楽しんで弾けるようになりました。
 
その後、いつものように歌ったり(最初の写真)、
スヌーズレンで光と音の世界をゆったり味わったりして、
本日のセッションも笑顔で終了しました。
 
終わりのあいさつの「終わります」のサインの模倣もスムーズにできました。
イメージ 7
 
 
今日のセッションがきっかけになったのでしょうか。
ピアノが息子の楽しみのひとつになったようです。
セッション終了後、しばらくするとまたひとりで狭いセッションルームにこもり、
それから1時間以上もひとりでピアノを楽しんでいました。
 
 
 
 
 
 

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見えないバリアについて(2)

いわゆる健常児も、いわゆる障害児も、子どもであることに違いはありません。
でも実際は、同じ扱いを受けることは難しいです。
障害のある子どもには、特別な支援が必要なこともその理由のひとつではありますが、
それだけではなく、同じ子どもとして受け入れようという、
大人の思いが足りないのではないかと
私は思うのです。
 
本当に幼いうちは、子ども同士は障害があってもなくても関係なく、
お互いを受入れながら育ちあっていくことができます。
でも、そこに大人の思いがかかわっていくとき、
いつの間にか、見えないバリアが作られていくのではないかと思うのです。
 
見えないバリアは、作った大人たちにも見えていないようです。
このバリアに引っかかってしまう障害のある子だけが、その存在を知ることになります。
息子もこのバリアにこれまでたびたび引っかかり、
バリアの向こうのみんなのいるところへ行きたい、という気持ちを
そのたびにすこしずつあきらめてしまった障害児のひとりです。
 
見えないバリアって何なのか、
また機会を改めて、ぽつぽつと書かせていただくつもりです。
 
 

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島の風を感じて〜あ合唱団第20回セッション

2012年5月20日(日)
重度知的障害&自閉症の息子と共に、
音楽療法的アプローチによるヴォイストレーニングに取り組む『あ合唱団』。
今日は、自宅の3畳の小さな防音室での2回目のセッション。
 
昨日、息子の通う特別支援学校は運動会でした。
高等部は毎年、エイサーと組体操をします。
そのエイサーで使われる曲「遊び庭(あしびな)」は、
明るくてうきうきするような楽しい歌です。
昨日の運動会でも、子どもたちはみんなにこにこと、本当に楽しげに
パーランク(沖縄の楽器で、小さなハンドドラムの一種)を打ち鳴らし、
踊っていました。
『あ合唱団』では毎回、セッション前にこの歌を流しています。
 
息子は、踊りは苦手で、エイサーでもリズムに乗れず、
高1、高2のときの運動会では苦痛な様子でした。
でも、今年から始めた『あ合唱団』のセッションで、毎回繰り返し聴いているうち、
この歌のリズムや楽しい雰囲気に自然になじめたようです。
高3になっての昨日の運動会では、それほど困った様子もなく、
みんなの中でパーランクをたたいておりました。
 
今日もセッション前にこの歌を流し、
我が家のセッションルームに息子を誘いました。
すると席についた息子は、この歌に合わせるように自然に手拍子を始めました。
これは今までになかったことでした。
私も嬉しくなり、一緒に手拍子をした後、
小さなエッグ・シェイカー(卵の形のマラカス)を両手にひとつずつ、一緒に持ち、
歌に合わせて踊ってみました。
とても楽しいウォーミングアップとなりました。
 
イメージ 1
 
この後、今回もさまざまな楽器を用いながら、活動を積み重ねていきました。
ピアノ、エナジーチャイム、木魚、オーシャンドラム、ウィンドチャイムなどなど。
 
エナジーチャイムは、小さな響きの中に静かなエネルギーを秘めた楽器です。
今回、いつものフィンガーシンバルに替えて、これを始まりの音に用いてみました。
3回鳴らしますが、最初の1回目は笑いながら鳴らした息子も、
2回目、3回目は、静かに音に耳を傾けながら、そっと鳴らしていました。
音が聴こえなくなるまで、聴き届けること、これがこの活動のねらいです。
 
木魚では、「さあたたこう」という歌を、私がピアノで弾き歌いするのに合わせ、
鳴らすべきタイミングで木魚を鳴らす、ということを練習してみました。
じっくりと取り組み、最後にはしっかり鳴らすべきところで鳴らせるようになりました。
これは、よく歌を聴いて、待つことができなければできませんが、
モデルがいなくても、合図がなくても、それができるようになったことは、
簡単な歌であるとはいえ、息子にとってはとても大きな進歩です。
 
さて、今回のいろいろな活動の中で、一番私達が気持ちよかったのは、
先の「遊び庭(あしびな)」に続いて、沖縄の歌、「島唄」の演奏でした。
息子はオーシャンドラムで演奏に参加。
私の弾き歌いに合わせ、自由にドラムを揺すり、たたいて楽しみました。
小さなセッションルームの中に、島の風が吹き込んだような、
そんなひと時でした。
 
イメージ 2
 
 
メインの歌の活動も、
前回よりもしっかりとアイコンタクトをとりながら、
口もよく開いて、積極的に声が出せました。
 
イメージ 3
 
「あ」だけで歌う、「聖者の行進」。
歌詞は歌うことができずとも、
確かにここに、私達の歌があります。
 
 

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見えないバリアについて(1)

「バリアフリー」という言葉が広く使われるようになり、
駅や公共の建物、道路、そして住宅にも、バリアフリーが求められるようになりました。
バリアというのはこの場合、一般に、段差や階段など、
身体が不自由な人にとって、移動の障害になるもののことをさしています。
これらは誰の目にも見えるバリアです。

でも、私は自分の暮らす街に、
目に見えないバリアがあることに気づきました。
それは、自分がぶち当たって初めて気づくバリアです。

この見えないバリアは、人によって張られています。
張り巡らせている本人さえ、気づかないでいることの多いもの。
ふつうは何の問題もなく、その存在さえ気づきもせずに通り抜けられるもの。

しかし、確かにそこにあり、
ある人だけはぶち当たり、通り抜けることが困難なものです。

そんな見えないバリアがあることは
これまでも薄々知っていましたが、
やっぱり本当にあるんだということを改めて認識する経験を、
このたびしました。

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