医学と病気・医療と健康

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不適切な鎮静剤投与で患者が心肺停止状態

群馬県立病院医療事故調査委員会は25日、昨年10月に群馬県立がんセンター(同県太田市)で食道がんの手術を受けた男性(74)が、不適切な鎮静剤投与で一時、心肺停止状態になったとする報告書を発表した。

男性は現在も意識不明。同センターは患者の家族に謝罪、補償についても今後、交渉するとしている。

報告書によると、男性は昨年10月18日に入院し手術。興奮状態が続いたため20日夕から主治医が鎮静剤の投与を開始、4回目の投与直後の21日未明に心肺停止状態になった。心肺機能は回復したが、意識は戻っていない。

報告書は、医師が使用説明書に反して鎮静剤を急速に投与したことや、心肺停止から心臓マッサージを開始するまでの時間が10分以上かかったことを指摘している。

(共同通信社、2006年4月25日)

医師による人為的なミスの典型的なケースである。

病院における西洋医学の医療処置は科学的で安全であり信頼出来る、というイメージがテレビや雑誌などのマスコミによって国民に植え付けられてきた。

しかし、それは現実には虚像でしかない。何故なら、医師や看護師といった「人間」が行うからである。人間が関与した時、そこには必ず科学的でない部分が存在する。

患者の取り違え、処方箋の読み違え、医療機器の誤操作といった医療ミスは人間が起こすものだ。また、多くの検査機器やカメラ、モニターなど一見科学的で近代的な電子装置が並んでいる手術室で行われる手術でさえ、実際に手術用のレーザーメスを操作するのは人間である医師であり、手術の結果は、その医師の手先の起用さといった才能、経験に基づく技術錬度、知識と判断能力といった極めて非科学的な、芸術的な、経験的な要素が鍵となっているのである。どんなに科学的に見えても、人間が行う以上、最後は結局は非科学的なのである。

今回のケースでは、「医師が使用説明書に反して鎮静剤を急速に投与した」と報告されている。鎮痛剤という化学薬品を開発し承認を得る治験などが如何に科学的といわれる方法で行われたとしても、そのデータに基づく使用説明書に反して、その医師個人の判断で投与の容量や速度を変更すれば、その行為は全く科学的根拠のないものである。

「心肺停止から心臓マッサージを開始するまでの時間が10分以上かかった」とも指摘されているが、心肺停止の場合、出来るだけ速やかに心臓マッサージを行うことが蘇生率を高め、脳への後遺症を減らす為に必要なことであるのは医学の常識である。にもかかわらず10分以上も心肺停止の患者を放置していたとしたら、その医療行為は全く科学的とは呼べないものである。

人間とはミスをする動物であり、ミスをした際に患者が受けるダメージは、侵害的な方法を用いる西洋医学の場合は生命の危険となることも稀ではない。或いは、不可逆性の後遺症となる可能性もある。

それを決して忘れてはならない。

医師などの医療従事者は肝に銘じておく必要があり、患者もそのリスクが高いことを知っておかねばならない。

そして「科学信仰」の危うさも知っておくべきであろう。

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