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仮面ライダーディケイド 第21話「歩く完全ライダー図鑑」

 ドラマの中で登場人物が作中のエピソードを通して変化(しばしば成長)していくというコンセプトを見せる時の方法として、主人公自身を変化させるか、それとも主人公以外の脇の人物を変化させるか、という見せ方の違いがあると思います。
 後者の手法は一話完結のエピソードを連ねていくテレビのシリーズドラマの場合などによく見られる方法で、主人公および主人公に付随するレギュラーはシリーズ全体の進行役としてあまり大きな変化を見せず、その代わりに一話限りのゲストや短期集中的に登場する人物が作中のエピソードを通じて変化していきます(私もその昔、某所で同人的な物語制作をやった時にこの方法を意識したことがあります)。また、シリーズを通したレギュラーを変化させる場合にも、変化しない主人公と変化する主人公クラスのサブキャラクターを並置して、変化を際立たせることがあります。

 9つのライダー世界を巡る旅がいったん終わった『仮面ライダーディケイド』の世界は、20話から今日の21話にかけて、それまで変化しないレギュラーのサブキャラクターの一人であった光夏海をメインに打ち出し、作中で彼女を“変化”させるという、これまでの『ディケイド』には無いプロットを採用しました。
 士と行動を共にするもう一人のレギュラーである小野寺ユウスケは、既に初登場の「クウガの世界」とその続編である「アギトの世界」で“変化”を見せており、この二つのエピソードにおけるユウスケは、「龍騎の世界」のシンジ/レンや「剣の世界」のカズマなどといった各ライダー世界のみのメインキャラクターとして登場する人物と同様に、レギュラーでありながら“変化するゲスト”の側面を同時に持ち合わせていました。
 今回の「ネガ世界」はある意味で「夏海の世界」でもあり、ふだん“変化しないレギュラー”であった夏海は、この世界で初めて“変化するゲスト”の役割を併せ持つことになったわけです。描写自体の巧拙は別にしても、今回の夏海がこれまでの作中のイメージとはやや異なった人物像になっているのは、恐らく心情の落差によってその“変化”を見せるためだったのでしょう。

 ですが。
 そういう事情を差し引いても、あの見せ方はないんじゃないかなあ。既存のレギュラーキャラの落差を見せるのはいいとしても、視聴者にもある程度イメージが確立している人物像をいったん貶めてからもう一度元の位置に戻すことで“成長”したかのように見せるってのは、手法としてどうなのよ。TGクラブ自体よりも、むしろそっちのほうが個人的には気に入らなかったなあ。同じ作劇パターンを『響鬼』後半戦で既にさんざん見ているだけになおさら。
 “若気の至り”的な学生時代の思い出を大事にするのは構わないんですよ。でも、士だって夏海にとっては9つのライダー世界を共に巡ってきた仲(腐れ縁?)なわけだし、鳴滝や各ライダー世界の人が「ディケイドは世界の破壊者」だとさんざん言いまくっても、士と旅を共にしてきた夏海は「士はそんな人じゃない」ということをこれまではっきり主張してきています。そういう経験がいきなり全部リセットされて「やっぱり鳴滝さんの言うとおりですね」って、そりゃないよ夏みかん。今回の夏海には、「長旅の末にやっと自分の場所に帰ってきた」という思いと、「でも別の意味で信用している士がこの世界に疑いを抱いている」という、相容れない二つの契機が生じているわけで、この二つを抱え込んだ今回の夏海は、葛藤や逡巡の前にまず片方を端的に否定して世界を“判りやすく”解釈しちゃったんですよね。こういう、都度都度の結論に性急に飛びつくような短絡的な心情を、登場人物があまりにも頻繁に表面に出し過ぎる傾向って、良くも悪くも“平成ライダーっぽさ”の一因だと思うので、今回の『ディケイド』も見ていて「ああ、何だかとっても“平成ライダー”だなあ」という気分になってしまいます。悪い意味で。

 今回のエピソードの目玉は間違いなく奇抜なコンプリートフォーム初登場なのですが、意外なほど気にならず、思ったほど浮いているようも見えませんでした。他に気になったこと(主に上記)が多すぎて。まさかコンプリフォームを馴染ませるためにわざとこうしたんじゃないでしょうね……w


○ OPナレーションが変わりました。「世界の破壊者ディケイド。いくつもの世界を巡り、その瞳は何を見る?」……9つの世界を巡り終わったら、修復されつつある『ディケイド』本来の世界観(本筋?)に戻るのではないかと思いましたが、どうやら各ライダーの世界とはまた違った意味でのパラレルワールドものが今後も続くようです。当初の方針を変更して“お祭り企画”に徹する方向に変わったという話も聞きましたが。

○ TGクラブの作中でのテーマ的な存在意義が、全部“口で”説明されている……。「100てん」についてはあえて語るまい。w

○ 門矢士ファースト写真集「通りすがり」。ファンが付くのがやたら早いです。さすがハンサムスーツが半額の男。(違

○ 「貴様、何者だ」……いや知ってるでしょ音也さん。

○ コンプリート化したディケイドが新アイテム「ケータッチ」で別ライダーを召喚する時に、いちいちうつむいてケータッチのパネルを両手で操作していたのが何となく気になりました。このへんの演出は次からもうちょっとスマートにお願いしたいところ。

○ そしてネガ世界の夏みかんは人類解放のためにこれからも戦い続けるのでした(たぶん)。なんとなく劇場版555に似ているかも。

○ 次回は海東がお尋ね者になってしまう世界。『剣』からのモチーフが多数登場するようです。劇場版の新世代ライダーがオリジナルキャストで出るとは思わなかったのでちょっと楽しみ。


【追記】
 どなたかが今回の感想で指摘しておられましたが(記事を見失ってしまった)、今回外部からネガ世界にやってきた人たちの中で、海東ひとりだけがネガ世界に翻弄されていないんですよね。世界を巡ってもお宝(アイテム)にしか注目せず、それぞれの世界で人々が生きる“意味”にまるっきり無頓着だった海東が、それ故にかえって“意味”の欺瞞に引っかかる事もなかったというのは、ちょっと面白い構図かもしれません。

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