リハビリスト 波平の日記

男も女も、大人も若者も、涙と笑いに包みたい。健康な人も、そうでない人も…クスん、クスッ!

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2008年11月20日

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「味」な話

この秋「香りの話」と「匂いの話」というタイトルの記事を書いたところ、次は「味の話」を書けという名誉なリクエストを頂いて、そのままになっていました。日本列島を寒波が襲ったこの11月、さて美味いものはなんだろうか、この月に食べなければ日本人ではないもの?と思い巡らすと、意外とありません。

12月になれば鍋物や広島名物の牡蠣もいよいよシーズンという感じですが、「食欲の秋」から「味覚の冬」へ、この11月は美味しいものの端境期(はざかいき)ということなのでしょうか?

ということで今回も例によって『日本語をみがく小辞典』(森田良行)「講談社現代新書」と、図書館で借りて来た『食べもの俳句館・草間時彦』(角川選書)を材料に薀蓄(うんちく)を傾けなければなりません(早く言えばパクリであります…笑)。


それによると、「味覚」は「嗅覚」よりはややマシだけれど、語彙の乏しさは覆うべくもない。形容詞の「甘い、辛い、酸っぱい、苦い」くらいで、そのもずばりの名詞がないのは「匂い」の場合と同じだ、とあります。


「味」の場合は食べ物に限らず、「味なことをする」とか「味気ない」「味わい深い話」など、人間そのもの或いは人間の動作・所作(しょさ)を表す言葉になります。更にその味が深ければ深いほど「旨い」「美味い」「醍醐味」「滋味」「風味」となってゆく訳ですが、「旨い話」は往々にして胡散臭い「上手い話」につながるので気をつけませう(笑)。

この著者はどうもお酒の味を深く解する方らしく、約4ページに亘るエッセイのこれ以降約半分はお酒の話になります。「旨い酒」を形容する言葉はなんといっても「芳醇」に尽きますが、これには味と香り、色、さらに舌触り、歯応え、咽喉越し、適度な冷たさ暖かさ…。げに酒飲みとはうるさい物であります(笑)。

ということで、酒を詠んだ歌といえばこの本にもあるとおり、大伴旅人の

験なきものを思はず一杯(ひとつき)の
    濁れる酒を飲むべくあるらし

ということで、底の浅い下手な薀蓄を語ることなく、酒ならぬ俳句に美味いものを語っていただくことにします。旨い食べ物・上手い俳句を探せば際限はありませんが、ここは俳人協会理事長も勤められ粋人・グルメで有名だった草間時彦先生のご著書から、私の好みも少し交えて抜きます。



一月

三椀の雑煮かゆるや長者ぶり    与謝 蕪村

らあめんのひとひら肉の冬しんしん   石塚友二


二月

梅若菜まりこの宿のとろゝ汁  松尾芭蕉


三月

炊き上げてうすき緑や嫁菜飯   杉田久女

われのみのあら煮所望や桜鯛   瀧 春一


四月

一匹の鰆を以てもてなさん   高浜虚子

ゆで玉子むけばかがやく花曇   中村汀女


五月

酒のあと蕎麦の冷たき卯月かな  野村喜舟

雨ごもり筍飯を夜は炊けよ   水原秋櫻子


六月

泥鰌鍋のれんも白に替りけり   大野林火


七月

冷酒の氷ぐらりとまはりけり    飴山實


八月

新牛蒡あぶらは胡麻の匂ひけり    草間時彦


九月

ビードロに洗ひ鱸を並べけり    正岡子規

亀甲の粒ぎつしりと黒葡萄    川端茅舎


十月

淋しさに飯を喰ふ也秋の風    小林一茶

栗うまし剥いて貰ひてひとつづつ   篠田悌二郎


十一月

ごまよごし時雨るゝ箸になじみけり   久保田万太郎


十二月

風呂吹にとろりと味噌の流れけり    松瀬青々


ゆく年や蕎麦にかけたる海苔の艶    久保田万太郎

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