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映画「赤ひげ」・・・黒澤明

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江戸時代末期、エリート青年医師・保本登(加山雄三)は心ならずも貧民たちの施設・小石川療養所に配属される。しかし、そこで出会った「赤ひげ」の異名をとるベテラン医師・新出去定(三船敏郎)に感化され、真の人間愛にめざめていく。  山本周五郎の名作を黒澤明監督が2年の歳月をかけて映画化した超大作で、黒澤ヒューマニズム映画の頂点ともいえる名作。貧困にあえぐ人々のさまざまなエピソードから、逆に人間の尊厳が醸し出され、強い希望をもって生き続けていくことの大切さなどが、パワフルな説得力を伴って描かれていく。三船敏郎は本作でヴェネツィア国際映画祭主演男優賞を獲得したが、同時にこれが黒澤映画最後の出演作となる。(Amazon作品紹介より)


 テレビ朝日で今週、黒澤映画の傑作「天国と地獄」と「生きる」がリメイクされます。賛否両論。どちらかといえば「否」の方が多いようです。
 当然といえば当然。サスペンス映画の傑作とヒューマニズム映画の世界的最高峰ですので、先ずそれらを超える作品が想像できません。まして、前作を観た人たちの心に刻まれた感動は途轍もなく深く大きなもののはずです。
 ある意味「神様」に挑む大冒険でしょう。

 「天国と地獄」…三船敏郎→佐藤浩市 三橋達也→阿部寛 香川京子→鈴木京香
 「生きる」…志村喬→松本幸四郎 小田切みき→深沢恭子 
 
 現代の実力派俳優を配役していることは評価できます。ただ、深沢恭子さんがどうのこうのではなく、映画「生きる」における小田切みきさんの存在は特別です。フカキョンだけでなく、現代の人たちに小田切みきさんの「目の輝き」を求めるのは無理でしょう。心から明日を夢見る瞳は、あの時代の「瞳」だから。
 そして、あの時代の「瞳」がなければ「生きる」は成り立ちません。
 ラストの締めくくり方も気になります。リメイク作品ではラストを変えたがる作家が多いのですね。それが自分の主張だとしたいのでしょう。でも、映画「生きる」の真骨頂は「ラスト」です。このラストでこの映画が傑作に登り詰めたと観るたびに思っています。

 「天国と地獄」の現代版のハンディは、多分テープがフィルムではなくビデオであること。そしてカラー作品であること。
 今はビデオテープの解像度がすごく高くなり、画面は綺麗です。でも、映画フィルムの持つ奥深さ、臨場感とは質感がことなります。良い悪いではなく、原作がその良さを十分に引き出しているのですから、比較してしまいそうだからです。
 カラーとモノクロ。アッパーヒルに豪邸を構える大金持ちはモノクロの「白」のイメージ。それを常に見上げる苦学生のアパートの西向きの小部屋は「黒」のイメージ。それだけでもカラー作品では難しそう。よほど心して苦学生の部屋周辺を描かないと、本題を捉えきれない恐れがあります。
 それと、事件解決の手がかりとなった「赤い煙」。どう表すのでしょうね?

 「観ない」という選択も勿論あります。でも、お化け屋敷に入っていくような「怖い物見たさ」もあります。比べずに「あるがまま」を受け取るという「カウンセラー」的な見方をするのも一つでしょう。


 「赤ひげ」も以前リメイクされました。三船敏郎→江口洋介 加山雄三→伊藤英明
 端的に言って、色々な面で「重さ」が違っていましたね。上の二人だけでなく、香川京子さんの狂女、仁木てるみさんのおとよ、頭師佳孝さんの長次などの鬼気迫る演技は、求めに応じられる演技力だけでなく、ギリギリの求める監督の執念が乗り移っているようでした。
 この作品とて、山本周五郎の原作と比べられてしまうと小説と映画の違いが浮き彫りにされてしまうようですが。

 黒澤映画をある程度年齢を重ねた後に見返してみると、若い時とは異なった感じ方ができるものですね。若い頃は、強烈に受け入れていたように思います。感動もMAXでした。
 黒澤が「赤ひげ」を作ったのが54才頃。今のボクくらいです。そうやって観ると、黒澤監督の純粋なヒューマニズム、真っ直ぐな表現意欲などがより強く感じられます。そして、それらを主人公に投影させています。
 それが、黒澤と他の監督との作品とを隔てている所以だと思います。人間としての中身が異なるのですから、出来上がる表現作品も異なって当然なのですね。これは「良い悪い」ではなく「好き嫌い」の問題だから・・・。

 これが「黒澤=三船」の最後の作品です。これ以前と以降では確かに作風も変わってしまったようで、ボクも「どですかでん」以降の作品は単純に受け入れにくいものと感じています。「カラー」「ソ連」「ハリウッド」と異分子との結合は、決して成功しているとは言えないでしょう。
 そういった意味でも、如何に志村・三船との融合が核反応を引き起こしていたかがわかります。勿論、三船も迷走状態に入っていきますが。

 この作品の後は、勝新太郎とケンカ別れし、曾ては嫌いな俳優だった仲代達矢を主人公に迎えざるを得なくなります(後には高く評価していますが)。また、常連だった「黒澤組」の俳優達もひとり欠け、ひとり抜けていき、画面から受けるイメージもどんどん変わっていきました。
 そういった面でも、この作品は「最後の黒澤作品」と言ってもいいほど。「時代劇」「ヒューマンドラマ」「親子(師弟)ドラマ」「娯楽作品」などの黒澤映画のジャンルが詰まっています。


 今回、何回目かを観て、一番印象に残った部分は・・・香川京子さんの鬼気迫る美しさでした、ウン。

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はじめまして。立派な作品ですね。ボクも江口&伊藤版「赤ひげ」観ました。見た後気を失いそうになりました。

2007/8/14(火) 午後 5:38 yne*o*7

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訪問&コメントありがとうございます。伊藤英明さんは意欲的かも知れないけれど、時代劇は無理でしょうね。お正月の織田信長も残念でした。この人だけではなく、時代劇ができる俳優さんがどんどん少なくなっています。NHKの大河も(新国劇あたりの)新人の起用を真剣に考えないといけませんね。

2007/8/15(水) 午後 5:11 rei*ir*197*

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私は・・・たのきんのトシちゃんが主演で・・・萬屋錦之介が赤ひげを助演
・・・という作品を見た事あります・・・(♪わぁらう〜しかな〜い〜・・・馬鹿だね・・・♪)

2007/8/18(土) 午後 7:28 [ suetumubana ]

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錦之介さんは、立ち回りができ、時代劇の台詞を言える最後の大物の一人でしたねぇ。彼なら赤ひげ先生にうってつけかも。トシちゃんか・・・ファンの方には失礼かも知れませんが、時代劇の発声の面で無理があるかも。演技はできるかも知れませんが。

2007/8/20(月) 午前 11:41 rei*ir*197*

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※12/1全国公開の『椿三十郎』を大特集。⇒ (右の バナーをクリックするとGyaOへジャンプできます!)

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