読書求道録
聖書の敬語(3)『聖書のことばと日本語』(関根文之助著)福永書店
著者は、日本聖書協会『口語訳』聖書の翻訳委員を務めた人。
文中の「現行聖書」は「口語訳」のこと。(37,38ページ)
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・・・現行聖書翻訳の際、問題になったのは、この敬語のことであって、これまでの文語訳が、長いあいだ敬語を用いてきたこともあって、口語訳の場合も、そうした形式を踏襲したいという希望が、なんと言っても圧倒的だった。
しかし、原語にはいわゆる「敬語」はないはずで、これは、日本人としての思いからの表現で、とくに宗教的なものとしては、どうしても敬語を除くということはできないという心情から出たことのようである。
文語の場合は、いわゆる文章語であって、日常の会話とは直接の関係がないから、まだ救われるわけだが、いざ口語となると、いわゆる談話語であるから、そこには文語では考えられない問題がいろいろと起こってくる。
わたしは、「おのずからなる敬意」ということが、考えられるという立場から、思い切って口語の場合は、敬語を省いてみたらどうかということを提案した。
はじめに神は天と地を創造された。(創世1・1)
ではなく、
はじめに神は天と地を創造した。
という表現をとろうということだった。
しかし、委員会においては、その賛成を得ることができなかった。
でも、わたしは、「おのずからなる敬意」は、じゅうぶんに出ていると、今でも思っている。むしろ、敬語を用いない方が文章としても、すっきりしてくるように感じられる。
じっさい、口語を「書きことば」として取扱った場合は、どうも、こうしたむずかしさが出てくるのである。
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