人工呼吸管理に関するブログ

自発呼吸とAPRVを中心に考えるブログです。

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CPAPにすべきかAPRVにすべきか、それが問題だ。

今日はAPRVとCPAPについてです。
この内容はかなりディスカッションになりそうですね。どちらがお好みですか?
ちょっと長いですがついてきてくださいね。


ここで言うCPAPとは、適切なPEEPレベル(正しくはCPAPレベルですね)でのCPAPを指します。病的肺では相当量のCPAP(しばしば20 cmH2O程度のPEEP)を必要とし、適切なPEEPで肺胞を開き、肺胞が開いた健全な肺の状況で自発呼吸を行います。
この理想のCPAPは、可能な限り強制換気の要素をなくした自発呼吸で構成され、現時点では気管チューブ分のみの圧補助を行うTC、もしくはPAVを併用するべきでしょう。プレッシャーサポート(PS)は強制換気の要素となるため、このコンセプトのもとではかけるべきでない。
肺胞を開いた理想の肺の状態での自発呼吸となるため、圧補助をかけなくとも相当量の換気量が得られます。

一方のAPRVですが、適切なPEEPを付加した健全な肺での自発呼吸には変わりありません。人工気道の存在、鎮静薬の使用など、どうしても換気量が減少してしまうため、リリースという形で換気補助を行います。リリースと呼ばれる換気補助は、一気に低圧相(通常0 cmH2O)まで気道内圧を開放します。リリースはごく短時間で行われるため、内因性のPEEPが発生、肺胞が虚脱する前にもとの高圧相へ戻されます。
現時点で、補助換気では最もVALIが少ない換気法の一つと考えられます。しかし、肺にやさしいとはいえ、強制換気の要素であることは否めません。
適切な設定のAPRVでは、健全な肺の状況であればリリースで相当量の換気が得られますし、高圧相での自発呼吸でも相当の自発呼吸が期待できます。


ここ一年間位、
「適切なPEEPレベルでの自発呼吸が重要」
「換気障害がなければAPRVではなくCPAPで管理を行う」
「十分な鎮痛をかけたうえでの浅めの鎮静」
「徹底的に自発呼吸を残す」
「急性呼吸不全はほかの臓器不全に比べて(通常)治療優先順位が高い」
を基本コンセプトにして人工呼吸管理を行ってきました。
結果としては十分な手ごたえを感じています。以下に、感想・結果を羅列してみます。


・呼吸不全の初期から適切なPEEPを付加することによって、呼吸状態の悪化(酸素化・換気ともに)はかなり防げる。
・適切なPEEPを付加したCPAPからAPRVへ切り替えた場合、酸素化の改善は少ない。換気障害は改善する。
・適切なPEEPを付加した自発呼吸では、思ったよりも換気障害がない。
・自発呼吸を温存するのであれば、上位機種をもちいるべきである。特に、ARDSで自発呼吸を残すのであれば。
・適切な鎮痛(経口挿管はけっこう痛い?)をかけていれば、鎮静薬はごく少量ですむ。かなり快適に患者とコンタクトをとれる。ICUで経口挿管・人工呼吸器使用下でマンガが読める!(…人もいる)

ゆえに、「呼吸状態だけでいえば、換気障害がなければ積極的にAPRVの適応ではないかもしれない」が結論です。症例によっては、リリースが排痰効果を生み、有用なこともありますが。
一方で、呼吸状態以外のものをみてみると、


・APRVの方が、同じ平均気道内圧のCPAPに比べてうっ血肝が少なく、程度も軽い。
(リリースによる肝臓のスクウィーズ効果??)
・循環動態がなぜだか落ち着く印象。
(あくまで、印象。でもAPRVを積極的に行っている先生方の中には同様の意見が多いです。輸液も少なくて管理できる印象があります。動物実験では心臓仕事量の改善を認める報告があります。)
・同じ平均気道内圧のCPAPに比べ、APRVでは腸管血流の改善を認める
・尿量に関しては、症例によりさまざま。
(動物実験で示されている腎血流の改善は定かでない。)

などがあげられます。現在、APRVが有効な症例群を明らかにする研究を行っていますが、全身への影響という観点からは、まだまだAPRVには生きる道がありそうです。



結語:
呼吸状態だけでいえば、「換気障害がなければ、APRVでなくCPAPでもよい」
全身への影響を考えると、「アルカレミアにならない限りはAPRVでもよいかもしれない」



P.S.
そうそう、
呼吸性アルカローシスを呈している症例
代謝性アルカローシスの呼吸性代償でPaCO2をわざと貯めている症例
でのAPRVはおそらく有害だと思います。

ありがちなのが、
酸素化が悪いから利尿!
ラシックス使いまくって代謝性アルカローシス!!
CO2がたまったから換気補助!!!

…笑えない人、いませんか?
患者さまはわざと、ラシックス好きの貴方のために、CO2を貯めてくれているのですよ。換気補助をしたら、アルカローシスが進むか、自発呼吸の抑制がきます。低酸素の状態でのアルカローシスは有害ですからね。
(酸素解離曲線がシフトして、末梢で酸素を放しにくくなります。低酸素状態ではCO2を貯めてアシドーシスに保った方が少ない酸素を有効活用できます。パーミッシブ・ハイパー・カプニア:高二酸化炭素血症許容の理論的背景ですね。)

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