DOC.沖縄返還交渉
第一章「交渉の準備期」=世論を誘導した「基地研報告」(ドキュメント沖縄返還交渉) 基地研の報告書が発表されると各紙とも一斉に一面トップでこれを報道した。このために 細心の注意が払われていたのは先に述べた通りだが、ここでマスコミの評価についてもう少 し触れておきたい。基地研の報告書については各紙とも“妥当な線”だという受け取り方が 全体を占め、これを手がかりに政府は対米交渉を進めよ、というのが目立った。例えば毎日 新聞の3月9日の社説は「国民合意の手がかりに」と題して次のように述べている。 「われわれはすでに沖縄返還時の基地様態については、わが国は当然“本土並み”を主張 すべきであるとの立場をとってきたので、この報告書の提案には賛成である。今後は政府部 内でも同報告書を貴重な資料としてさらに検討を進めるべきであり、また国会の論議に当た っても、各党各派の立場から、この報告書を基礎に十分な論議を進めて欲しいと思う。さら に一般国民もまた、これを沖縄問題を考えるための参考とすることを望みたい。このように して同報告書が各界の研究資料となり、それによって沖縄問題の認識が深まり、今後の日米 交渉に当たってもっとも必要とされる“国民合意”への一つの有力な手がかりになることを 期待したい。」 基地研報告がすでに見てきたような複雑な論理構造をもっているのを捨象して、その結論 部分をとらえて“本土並み”賛成の立場を表明している。また基地研の報告書がすでに政府 部内で検討済みであるのを指摘せず、逆に「政府部内でも同報告書を貴重な資料としてさら に検討を進めるべき」だと論じている。この社説の論調は「毎日」紙だけでなく全体的なも のだったが、これくらい政府にとっての強い援護射撃もなかったであろう。 ついでながら沖縄の新聞はこれをどう受け止めたか。「琉球新報」は3月10日の社説で「現 実に外国の施政権下にあり、もろもろの困難な問題と日常的に遭遇し、国が悩むことを人民 一人ひとりが悩まねばならぬという状況下にある沖縄では、報告書の提案は不満であっても、 これによって“拒絶反応”を起こすほどのものではない内容を報告書は持っている。つまり それほど現実的に可能性を探った施政権返還への道といえよう」と論じ、“沖縄の現実”を 考えた場合はやむを得ぬとの立場を示した。 しかし一般の沖縄の反応は、この社説とは異なっていた。屋良主席は「基地問題について は核基地撤去、基地反対を革新共闘の統一綱領で打ち出している。したがってどのような形 の基地についても賛成の態度はとるわけにはいかない。反対である。本土並み基地であろう となんであろうと、私としては統一綱領の線に沿って要求を貫く」と反対の立場を明らかに した。また安里社大党委員長は、「基地研の考えは、安保条約の存続と自衛隊の強化が前提 になっており、県民の要求とはほど遠いものでけっして容認できない」と論評したが、ひと り沖縄自民党だけは「基地研の結論はわれわれの方針と基本的に一致している」(桑江自民 党政調会長)と賛成の立場を表明した。 琉球神開 歴史の扉 担当 柳田邦雄 琉球神開のホームページ [ http://www.ryucom.ne.jp/users/sinkai/ ] 琉球神開公式ブログ『心の足跡』[ http://blogs.yahoo.co.jp/rqkabayama ] 琉球神開『千一夜』(シンカのblog) [ http://blogs.yahoo.co.jp/izhikari ] 琉球から日本人への手紙 [ http://ameblo.jp/rqsinkai ]
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