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2011年12月6日に出港、12月23日ジブラルタル海峡を通過し、地中海へ入ったロシア海軍北方艦隊旗艦・重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(ソ連邦海軍元帥クズネツォフ)と随伴艦は、2012年1月8日シリアタルトゥース港へ入港しました。




航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」に率いられるロシア戦闘艦艇グループは、シリアのタルトゥース港に到着した。

訪問の目的は、遠距離航海における物資補充である。

大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」、警備艦「ラードヌイ」、給油船「レナ」は港内に接岸した。
巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」と救助曳航船「ニコライ・チケル」は、タルトゥース港外で錨を降ろした。
(モスクワ時間2012年1月8日18時45分配信)


リンク先の動画では、タルトゥース港の沖合に投錨している「アドミラル・クズネツォフ」の様子が写っています。

「アドミラル・クズネツォフ」部隊のシリア入港は、日本のメディアでも報じられています。

『MSN産経ニュース』より。
日本時間2012年1月9日08時24分配信 

ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフなどから成る艦隊が8日、地中海に面するシリア西部のタルトスに入港した。
タス通信などが伝えた。

ロシア国防省は「補給のための寄港」と説明しているが、反政府デモへの武力弾圧を続けているとして欧米諸国に非難されているシリアのアサド政権への支持を誇示し、欧米をけん制する狙いがあるとみられている。

タルトスに入ったのはほかに対潜駆逐艦アドミラル・チャバネンコや巡視艇、補給用タンカーなどロシア北方艦隊所属の艦艇数隻。
昨年12月、海上訓練を名目にロシアから出航していた。

アドミラル・クズネツォフは戦闘機「スホイ33」などを搭載するロシア海軍唯一の空母。
アサド政権への制裁を求める欧米に対し、ソ連時代からシリアと友好関係にあるロシアは制裁に強く反対している。(共同)


「巡視艇」って、警備艦「ラードヌイ」の事ですか?
ここは笑うところですか?

イメージ 1

黒海艦隊公式サイトより。
基準排水量3200トン、全長123m、幅14.2m。
日本でいえば、だいたい「はつゆき」型護衛艦と同サイズになります。

それが「巡視艇」って、ギャグで書いているんですか?

>ロシア北方艦隊所属の艦艇数隻

「巡視艇」じゃなかった、警備艦「ラードヌイ」は黒海艦隊所属ですが。
あと、「補給用タンカー」の「レナ」はバルト艦隊所属ですよ。

今回の「アドミラル・クズネツォフ」機動部隊の構成。

[ロシア海軍艦艇航空グループ]
指揮官:北方艦隊副司令官アレクサンドル・ヴィトコ中将

重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(北方艦隊)
大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」(北方艦隊)
警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」(バルト艦隊)
警備艦「ラードヌイ」(黒海艦隊)
救助曳航船「ニコライ・チケル」(北方艦隊)
給油船「セルゲイ・オシポフ」(北方艦隊)
給油船「ヴャージマ」(北方艦隊)
給油船「カーマ」(北方艦隊)
給油船「レナ」(バルト艦隊)

ロシア側の報道では、繰り返し「北方艦隊、バルト艦隊、黒海艦隊の艦艇で構成される異種艦隊グループ」という表現が出てくるのに、産経の連中はどこを読んでいたのかな?

>海上訓練を名目にロシアから出航していた。

「名目」じゃなくて、出港からずっと訓練していますが何か?
海上に出て訓練しないと、乗員の技量は維持できません。そんな事も分からないのかな?

相変わらず、産経はロシア軍に関しては「情弱」ですね。
少し、頭冷やそうか・・・


『アサヒ・コム(朝日新聞)』より。

日本時間2012年1月8日19時42分配信
 
シリア国営通信などは8日、同国西部の地中海岸タルトスのロシア海軍基地に、空母など複数の艦船からなるロシア艦隊が入港したと伝えた。
6日間ほど寄港するという。
ロシアが改めてアサド政権支持の姿勢を示し、政権打倒に傾く米仏やトルコなどを牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。 

ロシアは旧ソ連時代からシリアと友好関係にあり、タルトスの基地はロシアが地中海で持つ唯一の基地だ。
反体制デモでアサド政権が倒れて基地を失えば、世界戦略に大きな影響が出るため、ロシアは同政権への支持を続けている。
(ダマスカス=貫洞欣寛) 

この件に関し、ロシア海軍側は、以前、こう言っています。

軍は、ロシア艦艇のシリアへの航海は、1年前から計画が立てられてる事を理由に、現地の事件とは何の関係も無いと反論した。
「タルトゥースへのロシア艦艇の航海は、シリアで発生した事件に対する意思表示として認識されるべきではありません。
この航海は、何も事件が無かった2010年に計画されました。
その活発な訓練を、延期したりキャンセルする理由はありません」
海軍総司令部の代理人は述べた。


「この航海は2010年に計画された」という発言についてですが。

空母「アドミラル・クズネツォフ」は、2010年6月25日から同年9月11日までロスリャコヴォ超大型浮きドック(この前の原潜エカテリンブルク火災事故が有った場所)へ入渠し、修理を行ないました。
この時の写真を見ると、船体全体に赤茶色の錆止め塗料が塗られ、アイランド周辺にも作業用の足場が組まれていますから、かなり大規模な修理だったようです。
地中海遠征の為の準備の一環だったのでしょう。

おそらくは、修理を終えた後の2010年12月初頭あたりから地中海遠征に行くつもりだったのでしょうが、延期されたという事でしょう。
随伴艦艇、特に給油船など支援船の都合が付かなかったと思われます。

そして2011年3月半ば以降、シリアでは暴動が起きておりますが、ロシア海軍としては、そんな現地の事情など「知ったことではない」(構っていられない)のでしょう。

「暴動が起きる以前から計画されていたのなら、何故、延期あるいはキャンセルしないのか?」
という疑問もあるでしょうが、「アドミラル・クズネツォフ」の遠征に合わせて救助曳航船や給油船といった支援船の都合を付けたのに、キャンセルしたり延期すれば、今度、いつ支援船の都合が付くか分かりません。
これらの支援船は、軍人ではなく民間人によって運航されており、普段は別の仕事をしているのです。
従いまして、現地の事情がどうであろうと、「台所事情」の観点からも、今、実施するしかないわけでして。
延期したりキャンセルすれば、せっかくの色々な準備が無駄になるでしょ。
遠距離航海の為の各種物資の用意だってあるんだからね。

イメージ 2

ま、日本のメディアが、ロシア連邦海軍の詳細な情報(特に、台所事情)を知っている事を期待するべきではないのでしょうが・・・
(いわゆる「軍事評論家」ですら怪しいのに・・・)

この記事に

閉じる コメント(11)

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ここまで詳しいと、情報本部分析部ロシア担当官も「へぇーそうなのかぁー」ってリリカルなのはの映像も合わせて見ていると思いますよ。

個人的には「レッドオクトーバーを追え!!」以来タイフーン級が、神的存在なので画像をありがたく見ていました。

2012/1/9(月) 午後 1:58 [ いしかわ ゆうや ] 返信する

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この種の軍事的行動って、「間が悪い」ことがしばしばなんですよね。近隣でも、米韓軍事演習なんかで色々と軋轢が報じられていますが。
かといって、タルトゥースをスルーするわけにも行かないでしょうね。お弁当箱(給油艦)も空になってきているだろうし(レナが入港したということは、そろそろ重油が足りなくなってきている?)。
1日だけ停泊して、さっさとおいとまするのは、せめてもの「政治的配慮」なんでしょうか。それとも、不測の事態を避けたかった?

大昔に、ベトナムのプレイク基地を米政府のお偉いさんが訪問した際に、「たまたま」解放戦線が攻撃してしまって、その後の泥沼化に拍車をかけたなんて話もありましたが。
なんにせよ、変に話がこじれないことを祈ります。

2012/1/9(月) 午後 4:43 [ bygzam_ma08s ] 返信する

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入港すると、親睦を深めるためのレセプションなどをやる事が多いと思うのですが、今回は微妙ですね。乗組員の上陸も制限されるかもしれませんね。 削除

2012/1/9(月) 午後 4:56 [ ビクター ] 返信する

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そもそも、本気で「アサド政権支持」を表明する為にロシア艦を派遣するのなら、途中でいちいち燃料などを補充しなければならない空母部隊じゃなくて、「給油要らず・支援船要らず」の原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーをさっさと出しているでしょうよ。

もともと、原子力巡洋艦というのは、そういう役目も有りました。
少なくとも、アメリカ海軍が1970年代にキーロフ型のような大型の原子力打撃巡洋艦を計画した時には、そういう用途(遠隔地で何か起こった時、単独でパッと出港し、速やかに現地へ到着し、自国の意思を示す)も考慮されていました。

2012/1/9(月) 午後 5:54 [ 高町紫亜 ] 返信する

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解説の詳細さ、洞察の深さ、つっつ込みと皮肉の鋭さ、それに数々の至言には脱帽でありまする。(とくになのはさんの「そっちに事情があるって事はこっちにもあるって事なの!」の言については至極その通りででありまする。)
つくづく当ブログについては日本の防衛省情報本部の電波部や分析部のロシア担当官、それに海幕や海上自衛隊の各部隊の司令部のN2部は必ず目を通すべきだと思いまする。

2012/1/9(月) 午後 6:29 [ 03808491 ] 返信する

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>そもそも(中略)「給油要らず・支援船要らず」の原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーをさっさと出しているでしょうよ。

目からウロコでした。デカブツだけに鈍重なイメージを抱きがちなんですが、キーロフ級は単艦で突出できる腕力とフットワークを兼ね備えているんですよね。
好きな艦ですが、「冷戦の遺物」的な印象もあって、どうしてこの時期に復活、近代化改装の話題が噴き出してきたのか、ちょっと不思議だったんですが……。

正規戦以外には使い道の乏しいグラニートから、カリブル&オーニクスに換装されたら、冷戦の遺物どころか、非正規戦全盛の現状にも有力な艦に変身できるのかも。
ロシアも、いよいよ「フロム・ザ・シー」戦略を視野に入れ始めたんでしょうか。

2012/1/9(月) 午後 8:29 [ bygzam_ma08s ] 返信する

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確かに、今後建造されるロシア海軍の新型水上戦闘艦の大半にはカリブル&オーニクス発射可能な3R-14UKSKが搭載されますし、原潜セヴェロドヴィンスク型は、長射程対地攻撃用有翼ミサイルを搭載しますからね。

今後建造される予定の新世代多用途駆逐艦は、152mm砲を搭載する可能性もあるようですし。

2012/1/9(月) 午後 9:13 [ 高町紫亜 ] 返信する

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>相変わらず、産経はロシア軍に関しては「情弱」ですね。

記事にありますが、「共同」通信も同罪でしょうね。
元々、共同通信の情報の質の悪さ(単にいい加減でなく頭の中身が××な記事が…ry)には定評がありますから、これを安易に産経は載せるべきではなかったでしょうね。

2012/1/9(月) 午後 9:45 [ 小窪兼新 ] 返信する

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「情弱」だから、そんな記事を安易に載せるのでしょうね。


だいたい、クズネツォフの地中海遠征って、ロジスティックの面では物凄い負担ですよ。

この9隻の乗員全部合わせて約3500名は居るんだから、それだけの生活物資も必要だし、9隻の燃料も必要だし、しかも1隻は重油バカ食いだし、燃料は軽油と重油の2種類用意しなきゃならないし、加えて航空燃料のケロシンも必要だし、組織的な艦隊行動を取るのは初めてのフネが3隻混じっているし・・・

だから、そんなに頻繁には出来ないし、いったん準備したら、そうおいそれと中止にはできないし、ましてや「外国の都合」ごときに左右される事が有ってはならないのです。
少なくとも、北方艦隊の補給担当者にとっては。

2012/1/10(火) 午後 9:08 [ 高町紫亜 ] 返信する

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>>そんなに頻繁には出来ないし、いったん準備したら、そうおいそれと中止にはできないし、ましてや「外国の都合」ごときに左右される事が有ってはならないのです。少なくとも、北方艦隊の補給担当者にとっては。<<

至言中の至言でありまする。

2012/1/10(火) 午後 9:26 [ 03808491 ] 返信する

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一昨年の「ヴォストーク-2010」で北方艦隊が原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーを派遣したのも、ロジスティックへの負担が最も少なかったからでしょう。

これがもし空母クズネツォフを出すとなれば、北方艦隊の補給担当責任者は過労死するかもしれません。
それ以前に、ムルマンスクからウラジオストクまでクズネツォフを往復させるるだけの纏まった重油の備蓄が北方艦隊にあるかどうかも疑問ですが・・・

2012/1/11(水) 午前 4:38 [ 高町紫亜 ] 返信する

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