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現在、ロシア唯一の空母「アドミラル・クズネツォフ」は、遠距離航海を行なっています。


以前の2010年4月初頭、その「アドミラル・クズネツォフ」が大規模な近代化を実施すると報じられました。


2010年4月2日10時10分配信

ロシア北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」は、本格的な近代化を造船企業「セヴマシュ」で実施する。
『インタファクス』は、防衛産業企業体の情報提供者の談話を報じた。
航空母艦の修理及び機器改善作業は2012年から始まる。
更新された艦は、2017年に再び水上へ出る。

近代化の枠組みにおいて、「アドミラル・クズネツォフ」兵器システムと旧式化した電子機器を完全に入れ替える。 
同艦の航空機は増加するものと見られる。 
航空母艦は大規模な装備の入れ替えを行なうが為、作業は2017年以降に完了させる事が出来るだろう。

特に、インド海軍の為の航空母艦「アドミラル・ゴルシコフ」の近代化作業が2004年から開始されており、艦は2008年には納入される予定だった。
2010年には、その時期は2012-2013年に延期された。

情報提供者によると、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化には、航空母艦を1985年に進水させたウクライナ黒海工場の技術者が参加するかもしれない。
しかしながら、共同作業の為の特定合意には達していない。

ソヴィエト社会主義共和国連邦海軍の一員だった「アドミラル・クズネツォフ」は、「ソヴィエツキー・ソユーズ」、「リガ」、「レオニード・ブレジネフ」、「トビリシ」と呼ばれていた。

航空母艦の満載排水量は約60000トンである。
艦は29ノットまでの速力発揮が可能であり、内蔵燃料で12000海里を航行できる。
巡洋艦の艦上には26機の艦上戦闘機Su-33及びMiG-29K、更には24機の対潜ヘリコプターKa-27-18機のKa-27或いはKa-29、2機のKa-27PS、4機のKa-31-を配置できる。

「アドミラル・クズネツォフ」は、対艦ミサイル、対魚雷防御ロケット、高射ミサイル、高射砲複合体で武装している。
航空母艦の近代化の際には、高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ」の海洋ヴァージョンを受け取る事になるだろう。

肝心の近代化の内容については、こう書かれています。

近代化により、「アドミラル・クズネツォフ」は兵器システムと旧式化した電子機器を完全に入れ替える。
同艦の航空隊は増加するものと見られる。


そして、同月下旬、「セヴマシュ」報道部は、「そんな話は聞いていない」と表明しました。


2010年4月22日配信

セヴェロドヴィンスクの造船企業体「セヴマシュ」は、同社が北方艦隊の航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」の近代化を行なうという情報を確認していない。

巡洋艦近代化の為のいかなる受注文書も「セヴマシュ」は受理していない。
しかしながら、ロシアの他の企業で航空巡洋艦の近代化は行えないので、この作業は、おそらく「セヴマシュ」での実施が計画されるだろう。
4月21日、工場(セヴマシュ)報道サービス部は、『中央海軍ポータル』特派員に伝えた。


さて、その重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」は、2010年6月初頭からムルマンスク第35艦船修理工場「セヴモルプート」修理を開始し、6月25日には、ムルマンスク近郊のロスリャコヴォ第82艦船修理工場超大型浮きドックPD-50に入渠しました。

浮きドックPD-50に入渠中の「アドミラル・クズネツォフ」
(2010年7月末)
イメージ 1

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イメージ 4


「アドミラル・クズネツォフ」は、9月11日浮きドックPD-50を出渠し、またセヴモルプートに戻りました。

少なくとも、「修理」ремонтに関しては、2012年を待つまでもなく、そして、セヴェロドヴィンスク市へ回航するまでもなく、ムルマンスク艦船修理工場で実施されました。




ムルマンスクへ帰港してからセヴマシュ(セヴェロドヴィンスク市)へ行くにしても、セヴェロドヴィンスク市が面する白海は、例年12月末頃から翌年5月下旬頃まで結氷しています。
ですから、遠距離航海から帰港しても、すぐにセヴマシュへ行く事は出来ません。


仮に近代化改装についての情報が正しかったとして、「アドミラル・クズネツォフ」が実施する近代化改装は、上記『インタファクス』の記事通りならば「兵器システムと電子機器の完全入れ替え」です。
(この他、記事では触れられていませんが、当然、寿命延長工事も行なわれるでしょう)

現在の「アドミラル・クズネツォフ」の兵装は、以下の通りです。

対艦ミサイル複合体「グラニート」垂直発射筒×12基
高射ミサイル複合体「キンジャール」8連装垂直発射機×24基
高射ミサイル・砲複合体「コールチク」×8基
AK-630M 30mmガトリング砲×6基
ジェット爆雷発射機「ウダフ-1」(10連装)×2基

イメージ 5

これを全て入れ替えるとして、まず、対艦ミサイル「グラニート」が撤去されても、新たな対艦ミサイル発射機、例えば、汎用ミサイル発射機3R-14UKSKが搭載される事は無いでしょう。

イメージ 6

電子機器に関しては、まず、艦橋4面のフェーズドアレイレーダー「マルス・パッサート」は無くなるでしょう。
「キンジャール」高射ミサイルが無くなれば、このミサイルの管制レーダー「ポドカート」も無くなります。

その他のレーダー等の電子機器類も入れ替えるかもしれません。

ロシアは、新たな原子力空母の建造計画を立てており(今のところ、実際に建造を開始するのは2020年代)、新空母の為の新型電子機器を試験用に搭載する可能性は有ります。


なお、一部で、「アドミラル・クズネツォフ」が近代化改装により原子力機関に換装するなどという情報が流布されていますが(元々の出所は、『ロシア通信社ノーボスチ』軍事解説員イリヤ・クラムニク氏の解説・論評記事)、上記『インタファクス』の元記事では、機関を換装するなどとは一言も書いていません。

可能性があるとすれば、現在、インド海軍用に改装中の空母「ヴィクラマーディティヤ」(旧アドミラル・ゴルシコフ)と同様、蒸気タービン機関ボイラー(蒸気発生器)だけKVG-3Dに換装するくらいでしょう。
「アドミラル・クズネツォフ」蒸気タービン機関は、キエフ型(「ヴィクラマーディティヤ」は元々はキエフ型4番艦)と同系列ですから、KVG-3Dへの換装は十分に可能です。

現在の「アドミラル・クズネツォフ」ボイラー重油専焼であり、艦船用燃料の主流が軽油になっているロシア海軍においては、ロジスティックの面で「厄介者」になっているのですが、「ヴィクラマーディティヤ」ボイラーKVG-3D軽油を使えるので、他の艦と燃料を統一できるメリットがります。

日本では、「アドミラル・クズネツォフ」の機関が欠陥品とか万年不調などと勘違いしている連中が多いけど、実のところ、「アドミラル・クズネツォフ」の機関の問題点は、技術的な事ではなく、ロジスティック面にあります。
即ち、ロシア海軍の他の艦船と燃料を共用できない、だから「アドミラル・クズネツォフ」が遠距離航海へ行く時には、燃料を2種類(「アドミラル・クズネツォフ」用の重油と、他の随伴艦用の軽油)用意しなければならない。

ボイラーの換装は、それほど難しい事ではありません。
少なくとも、「セヴマシュ」は、空母「ヴィクラマーディティヤ」で経験しているのですから、それと同じ方法を取れば良いだけの事です。
具体的には、特設船台(貯水池)に設置した後、船体の横を切り開いて、そこからボイラーを出し入れします。

「セヴマシュ」貯水池(屋外特設造船台)
イメージ 7

「セヴマシュ」屋外特設造船台で改装中のヴィクラマーディティヤ
イメージ 8


「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装も、同じ場所で行なわれるでしょう。

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興味深い記事であり、教えてもらえるところ多い記事です。ありがとうございます。
ロシア艦船の場合、この修理補修の記事が少なく、修理、慣熟訓練、任務への運用状況が今いちわかりませんので、大変参考になりました。
「クズネツォフ」は2010年10月21日バレンツ海で飛行訓練をしたとの記録が小生の資料にあります。同年6月初頭から9月11日造船所出港と合致しています。 削除

2012/2/9(木) 午前 7:49 [ カワウソ ] 返信する

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