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2006年5月9日

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現代人へ…ミヒャエル・エンデの『モモ』

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朝から開店前のレンタルビデオ屋に寄り、返却ボックスにDVDを返却。会社に着くなり、あさってまでに完成しなきゃいけないVTRの仮編集に追われ、担当作家との打ち合わせをこなし、さらに明日の番組収録の打ち合わせ。帰ったら娘との遊びに熱中する…。今日も時間に追われた日々を過ごすボクですが、今朝、通勤途中の電車の中で、ミヒャエル・エンデの『モモ』を読み終わりました。エンデの処女作『ジム・ボタンの機関車大旅行』に出会ってから、エンデ作品に惹かれました。代表作の一つ、『モモ』もとても素晴らしく、『ジム・ボタン』に比べると、より人間の生死や尊厳について考えさせられる作品でした。

≪あらすじ≫
おおきな都会の街はずれ、古びた円形劇場に小さな女の子がある日 住み着くようになる。じぶんでつけたという彼女の名前はモモ。穏やかでゆとりある街の人々とのくらしに、「時間貯蓄銀行」から来たという灰色の男たちが介入してくる。ゆとりある生活は全く無意味、人生 の無駄遣いをしないために時間を貯蓄せよと説得する。いつしか街は 灰色になり、人々はどんどん不機嫌に、怒りっぽくなってゆく。友を失ってゆくモモは、ふしぎなカメ・カシオペイアとともに盗まれた時間を人々に取り戻すべく長い道のりを歩き出す。

この物語のテーマは「時間」です。すごく難しいテーマだと思います。そのテーマをこんなに面白く、尚且つふかく考えさせられる作品を作り出したエンデは、本当に素晴らしいと思います。この物語の重要人物、時間を司るマイスター・ホラは、自分の仕事について、こうモモに説明します。

「人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんじしんできめなくてはならないからだよ。だから時間をぬすまれないように守ることだって、じぶんでやらなくてはいえない。わたしにできることは、時間をわけてやることだけだ。」(P211)

「もし人間が死とはなにかを知っていたら、こわいとは思わなくなるだろうにね。そして死をおそれないようになれば、生きる時間を人間からぬすむようなことは、だれにもできなくなるはずだ。」
「そう、人間におしえてあげればいいのに。」
「そうかね? わたしは時間をくばるたびにそう言っているのだがね。でも人間はいっこうに耳をかたむける気にならないらしい。死をこわがらせるような話のほうを信じたがるようだね。これもわからないなぞのひとつだ。」(P213)

時間貯蓄銀行の灰色の男から自分の時間を守れず、知らず知らずに「時間に追われた生活」を送っている街の人々。そんな街の人々の盗まれた時間を取り返す為に、マイスター・ホラやカシオペイアの協力を得て、モモは灰色の男たちに立ち向かいます。その展開にドキドキしながらページをめくりましたが、ふと思いました。「モモって、一体何者なにだろう」って…。どこからか来て、円形劇場に住み着いた浮浪児モモ。誰にも縛られることのない、自由の象徴なのでしょうか?

この本のあとがきに、エンデがこんなことを言っています。この『モモ』の物語は、電車の中である謎めいた男性から聞いた話だと。そして、その謎の男性は『モモ』の物語について「過去に起こったことのように話しましたね。でもそれを将来起こることとしてお話してもよかったんですよ。わたしにとっては、どちらでもそう大きな違いはありません。」と語ります。これを読んだ時は、時間に追われる現代に生きるボクも、思わず苦笑いをしてしました。

それにしても、この物語を今の技術を使って映画化したら、とても面白いものになるんじゃないか、と思いました。灰色の男たちなど、映画『マトリックス』のエージェント・スミスのようです。『マトリックス』の時に受けた衝撃を、『モモ』からも感じたので、ぜひ実力のある監督に映画化してもらいたいものです。『モモ』はヨハネス・シャーフ監督によって、以前映画化されていますが、ストーリーを追っているだけに感じたので…。

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