冷戦終結、湾岸戦争、平成不況のトリプルパンチ:03中期防
1991年(平成3年)8月、保守派クーデターの失敗を契機に
ソ連邦が崩壊しました。その背景にはさまざまな要因がありますが、西側との激しい軍拡競争による軍事費増大に耐え切れなくなったことが大きいと言えます。
冷戦という名の軍事対立に西側は勝利しました。この勝利者の中に日本も重要な一翼をなしました。自衛隊、とくに海上自衛隊は米海軍とタッグを組み、ソ連太平洋艦隊の外洋進出に敢然と立ちはだかりました。ソ連海軍もたび重なる兵力増強でこれを打破しようとしましたが、ついに果たせませんでした。国民がバブルに浮かれる一方で、海上自衛隊は人知れず実戦無き戦いに勝利したのでした。賛否両論はあるものの、歴史的に見れば80年代の海上自衛隊の大躍進はソ連崩壊の一因となったと言っても過言ではないでしょう。
しかし冷戦終結で世論は「これで世界は平和になる。軍縮!軍縮!自衛隊縮小!」と大騒ぎしました。8艦8機体制4個群完成間近な海上自衛隊の装備調達計画にも大きな影響が及ぼうとしていました。
他にも大きな情勢変化が起きていました。湾岸戦争です。日本は多国籍軍の戦費調達に協力するため90億ドル(最終的には130億ドル)を拠出しましたが、それを捻出するために各省庁の予算を削減しました。防衛庁の割り当ては約1000億円で、自衛隊の正面装備費は当然削減される事となりました。
またバブル崩壊の影響がじわりじわりと効いてきて財政は年を追って悪化していきました。1992年4月、こうした情勢を踏まえ、安全保障会議は当初61中期防を踏襲するとしていた
03中期防(平成3年度中期防衛力整備計画:平成3年度〜平成7年度)の
削減修正を決定しました。
以前書きましたように中期防は3年目で見直しが行なわれる仕組みになっていますが、この削減修正は2年目に行なわれました。こうしたことからも財政悪化がいかにひどかったかが理解いただけると思います。
03中期防で海上自衛隊は護衛艦10隻(イージスDDG2隻、DD8隻)を整備する予定でしたが、2隻が
撃沈され、8隻(イージスDDG2隻、DD6隻)となりました。航空機では44機(P-3C×8機、SH-60J×36機)が32機(P-3C×5機、SH-60J×27機)に削減されました。
とはいえ、この厳しい状況下においても8艦8機4個群体制実現への歩みは着実に継続されていきました。
03中期防の新型護衛艦は次回紹介します。ここでいつもながら03中期防期間中の一般世相と海上自衛隊の歩みを記します。(色付きは海上自衛隊関係。資料が無いので艦艇の就役、遠洋航海、観艦式などのみです)
1991年(平成3年)
1月:湾岸戦争勃発。
61中期防艦・DE「おおよど」竣工
2月:
拙ブログ管理人SAC第2術科学校入校修業、護衛艦「むらくも」乗組み
3月:湾岸戦争停戦。都庁新庁舎完成。
61中期防艦・DD「うみぎり」、DE「せんだい」竣工
4月:
海上自衛隊ペルシャ湾掃海派遣部隊出港。牛肉・オレンジ輸入枠廃止
5月:雲仙普賢岳火砕流噴火。千代の富士関引退。ジュリアナ東京開店
6月:
掃海派遣部隊掃海任務開始。4大証券巨大損失補填事件。東北・上越新幹線東京駅乗り入れ
遠洋航海(世界一周、艦艇3隻派遣)
8月:ソ連で保守派クーデター事件
9月:
掃海派遣部隊任務終了
10月:
掃海派遣部隊帰国
11月:宮沢内閣成立
12月:ソ連邦正式解体
1992年(平成4年)
1月:
拙ブログ管理人SAC護衛艦「むらくも」退艦、横須賀教育隊海曹予定者課程
来日中のブッシュ大統領が倒れる
3月:ユーゴスラビア解体、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争勃発。東海道新幹線に「のぞみ」登場
拙ブログ管理人SAC横須賀教育隊海曹予定者課程修業、護衛艦「あまぎり」乗組み
6月:PKO協力法成立。
遠洋航海(オセアニア・北米・アジア方面、艦艇3隻派遣)
7月:バルセロナオリンピック開催
9月:
カンボジアPKO部隊派遣、海上自衛隊は輸送艦による輸送任務を実施。日清ラ王発売
宇宙飛行士毛利衛がスペースシャトルで初飛行
10月:佐川献金疑惑事件で金丸議員辞職。天皇陛下中国訪問
相模湾で観艦式(参加艦艇52隻、参加航空機54機、観閲艦「しらね」)
拙ブログ管理人SAC受閲艦艇部隊として観艦式に参加
11月:風船おじさん消息を絶つ
12月:宮沢改造内閣成立
1993年(平成5年)
1月:チェコスロバキア分離独立。米クリントン新大統領就任
2月:
61中期防艦・DE「ちくま」「とね」竣工
3月:
61中期防艦・DDG「こんごう」竣工。金丸信逮捕
6月:皇太子御成婚。ゼネコン汚職事件発覚。
遠洋航海(北米・南米方面、艦艇3隻派遣)
拙ブログ管理人SAC護衛艦「あまぎり」退艦、第2術科学校海曹課程
7月:
北海道南西沖地震災害派遣。衆議院選挙、自民分裂で野党転落
8月:細川内閣成立。東京でブルセラショップ摘発。レインボーブリッジ開通
10月:
拙ブログ管理人SAC第2術科学校海曹課程修業、同専修科へ
1994年(平成6年)
1月:ロサンゼルス地震
2月:
拙ブログ管理人SAC第2術科学校専修科修業、護衛艦「よしの」乗組み
4月:中華航空機墜落事故。羽田内閣成立
6月:松本サリン事件。村山内閣成立。
遠洋航海(北米・中米方面、艦艇4隻派遣)
7月:金日成死去。日本初の女性宇宙飛行士向井千秋が初飛行
9月:自衛隊ルワンダPKO派遣。関西国際空港開港
10月:米朝枠組み合意。
相模湾で観艦式(参加艦艇45隻、参加航空機52機、観閲艦「しらね」)
12月:三陸はるか沖地震
1995年(平成7年)
1月:阪神大震災。
陸海空自衛隊大規模災害派遣
2月:
拙ブログ管理人SAC海上自衛隊退職
3月:地下鉄サリン事件。オウム真理教教団施設一斉捜査。警察庁長官狙撃事件
61中期防艦・DDG「きりしま」竣工
5月:オウム教祖麻原逮捕。青島知事が都市博中止決定。
遠洋航海(世界一周、艦艇2隻派遣)
6月:安全保障会議「防衛計画の大綱」改訂
北朝鮮へ50万トン米支援。全日空機ハイジャック事件
8月:村山改造内閣。ウインドウズ95発売
9月:沖縄米兵少女暴行事件
10月:PHS全国サービス開始
11月:「ゆりかもめ」開通
12月:高速増殖炉「もんじゅ」ナトリウム漏れ事故
(つづく)