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『シズコさん』(著)佐野洋子  2008年4月 新潮社

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著者略歴 <佐野 洋子>
1938(昭和13)年北京生れ。武蔵野美術大学デザイン科卒。ベルリン造形大学でリトグラフを学ぶ。絵本作家、エッセイスト。代表作に『わたしが妹だったとき』(新美南吉児童文学賞)、『わたしのぼうし』(講談社出版文化賞絵本賞)、エッセイ『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)など。2003年柴綬褒賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 
この小説は今年1月に実母を失った私の妻が読みたかったもの。私は御相伴に読んだ感じですね。妻とその母親にも微妙な愛憎関係があったのは承知していました。著者も語っていますが、結構母と娘の関係が上手くいっていない事例は少なくないみたいですね。

簡単に筋書きを述べますと、著者の佐野洋子さんは4歳のときにショックになるほどの邪険な扱いを母親にされて以来、母に嫌悪感を持ち、母親の視線に冷たい物を感じ続ける。遊び盛りの小学生の時にも水道がないため川の水の運搬を日課と命じられるなど種々の家事手伝いをさせられるが、母親は「ありがとう」の一言も発せず素っ気ない。時には頭を柱にぶつけられるなど理不尽な暴力も振るわれる。妹たちとは相応に仲良くしながらも著者には少しの親愛の情を示さない母親に、著者は長年憎しみの感情を持ち、母には触れたくも無いと言う生理的嫌悪感まで抱く。成人して独立後は母親との交流は極力絶ち母親の面倒は二人の妹にもっぱら任せる。しかし、母への憎悪の感情を持ちながらも一面では自責の念も捨て切れない。著者は、老いた母親が同居先の弟宅で嫁に追い出され行き場を失った際に、母親を引き取り呆けの症状が出た際に一流クラスの老人介護施設に入れ費用も負担する。そして著者は時折り訪問する際に母親の布団に潜り込んでは脈絡のないことしか言えなくなった呆けの母親と生まれて初めての親子らしい会話を交わし、母の身体にも触れるという実に切ない物語です。

以上のように書くと、この母親「シズコさん」は冷酷無比の鬼のような女に見えますが、料理も裁縫も上手で整理整頓もきちんとでき、来客の対応も上手、著者以外の妹達には慈愛の母で優秀な主婦なんですね。戦後の貧しい時代には古いセーターや衣類を活用し子供たちの衣服もお手製で作り、ドーナツとかのお菓子も作ってしまう。。遊び盛りの小学生の時代から家事を手伝わされた著者も母親から教わった料理には後年非常に役だったと感謝しているぐらいです。
シズコさんの夫は東大出身の元満州鉄道調査部のエリート研究者。敗戦で本土に引き揚げた後は高校の先生に甘んじた。5人の子供を抱え薄給の家計。夫の単身赴任した留守家庭で幼いながらも長女の働きに期待したのも無理からぬことかもしれません。そして夫は4人の子供を置いて50歳での早逝。42歳のシズコさんは母子寮の寮長となって子供たちを養い大学まで通わせるんですから大したものです。

どこで母と娘の行き違いが生じたのでしょうか。
母親のシズコさんが著者に冷たくなり始めたのは彼女が一番可愛がっていた長兄の夭逝の頃と著者は推断し、著者を憎んだ一因として夫が著者を可愛がり著者も新聞をさっと父に出したり、煙草盆を用意したりして好きな父親にサービスするという父娘関係に嫉妬したのではとの記述も在りました。
ひとつには余りにもしっかりした著者の性格もあるかと思います。「四歳位の時、手をつなごうと思って母さんの手に入れた瞬間、チッと舌打ちして私の手をふりはらった。私はその時、二度と手をつながないと決意した。その時から私と母さんのきつい関係が始まった」というわずか4歳の時の決心も普通ではありません、普通の幼い子供でしたらただ泣きわめくだけでしょう。幼くして母親への甘えを諦め反抗心を頑なに持ち続けた著者は母親にとって我が子ながら無気味なものを感じさせたでしょう。
そして早世した長男を巡る関係もあるかもしれません。母親は心臓が右胸にあり身体も弱かったが成績が優秀だった長男を特に可愛がり、著者も敬愛し一心同体のように兄と行動していましたから微妙な三角関係めいた心理も働いたのかも知れません。

この親子は性格的には似ていて双方の頑固なまでの一途さが長年の相克を生んだような気もしますが、どうでしょうか。

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佐野洋子さんのファンです。
しかし彼女、アーチスト特有の非常に個性的な方のようで
何回かの結婚も失敗に終わってしまう・・・面白くて魅力的だけど
一緒には暮らせないおんな・・・とか云われたこともあるとエッセイに
書かれていました。
トラックバックさせてください。m(_ _)m

2011/12/9(金) 午前 9:32 [ pilopilo3658 ]

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pilopilo3658様
トラバありがとうございます!「100万回生きたねこ」はぜひ読んでみたいですね。

2011/12/9(金) 午前 11:24 sai*ou*020*2

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100万回生きた猫、とてもいいですよ!娘に薦められて買いましたが、初めて読んだとき、わっと涙が溢れました。
「シズコさん」は週刊誌に連載されていましたね。私も娘との葛藤があり、大変な時期がありました。。。

2011/12/12(月) 午前 11:05 一葉(ひとは)

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一葉様
コメントありがとうございます。「100万回生きた猫」は子供向けというよりも大人向けの童話だという意見もネットにありました。ごく少ない方ですがゼロ評価の方もいました。ちょっと興味がわきました。昔、若い女性に「アンジュール」(ある犬の物語、作者ベルギーの女性)という言葉のない絵だけの本をプレゼントされ良さが分らなかった私です!

2011/12/12(月) 午後 2:48 sai*ou*020*2

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シズコさん

佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」は息子たちが幼い頃、よく読んで聞かせた。 さすがに100万回はないけれど、何十回かは一緒に読んだ記憶がある。 息子たちが気に入りの絵本は何冊もあったけれど、その本はあまりに深い人生の真実に触れていて、こどもの絵本とも思えぬほど、胸に刺さった。 その理由が、その答えが「シズコさん」というこのエッセイに書かれている、と思う。 洋子さんは母親のシズ子さんが嫌いだった。だから物心ついてからは母を遠ざけた。 そしてシズ子さんが老いて、息子の嫁と折

2011/12/9(金) 午前 9:26 [ あおちゃんのお茶ばなし ]

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