『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(著)加藤陽子 朝日出版社
商品の説明(内容紹介) 第9回(2010年) 小林秀雄賞受賞 かつて、普通のよき日本人が「もう戦争しかない」と思った。 世界最高の頭脳たちが「やむなし」と決断した。 世界を絶望の淵に追いやりながら、戦争はきまじめともいうべき相貌をたたえて起こり続けた。 その論理を直視できなければ、かたちを変えて戦争は起こり続ける。 だからいま、高校生と考える戦争史講座。 日清戦争から太平洋戦争まで。講義のなかで、戦争を生きる。 生徒さんには、自分が作戦計画の立案者であったなら、自分が満州移民として送り出される立場であったならなどと授業のなかで考えてもらいました。講義の間だけ戦争を生きてもらいました。 そうするためには、時々の戦争の根源的な特徴、時々の戦争が地域秩序や国家や社会に与えた影響や変化を簡潔に明解にまとめる必要が生じます。その成果がこの本です。……本書「はじめに」より ◆日本だけでなく、世界の人々がなにを考え、どのような道を選択したのか、 かつての人々が残した言葉をたどりながら、詳しく鮮やかに紐解いてゆきます。縦横無尽に「戦争」を考え抜く。歴史の面白さ・迫力に圧倒される5日間の講義録◆大変興味深く読みました。高校生向けとなっていますが一般社会人が読むに値する、いな読むべき知的好奇心を刺激される良書です。 Amazonレビューでは100近くのコメントがありおおよそ好意的ですが中にはいわゆるイデオロギー的観点からの感情的なコメントがありました。 数あるコメントの中に次のようなものがあり私も同じような事を考えていたのでいたく共鳴しました。 そして、当初は朝鮮半島が日本の利益線であったのが、それが満州や南洋諸島に広がっていき、最後には勝算のないままに無謀で多数の犠牲者を出した米国との戦争に踏み切る過程に対しては、結果論といわれるかも知れないが、当時の為政者に日本という国体を維持することと同程度に、国民の命の尊さを尊重する発想があれば、もっと慎重で賢明な選択肢が取れたのではないかと残念でならない気がした。この発想は日本は戦争に負けたが戦後の民主化で結果的に「良い幸せな国」になったという現在の一般的国民感情からすれば、大変な危険思想と指弾されそうですが、私の親たちの世代は結構こんな鬱憤を自嘲的に漏らしていたもんです。なにせ300万人に及ぶ死者を出しながらの無条件降伏ですから。 私の読書メモとして敢えてこのような観点に立ち僭越ながら思考してみました。 日本軍部は究極の仮想敵国は共産主義国ソ連と考えていたはずですね。朝鮮を植民地にしただけで満足できず満州国という傀儡政権を作ったのも対ソ連対策だと思いますね。 蒋介石率いる中国の国民政府の中でも汪兆銘のように共産主義を第一の敵とし日本との和平を考えていたグループもあった。 満州事変での国際連盟のリットン調査団の報告書は端的に言えば満州の主権は中国にあるが満州地域の権益は既得権として日本に認めると言うものでした。日本が朝鮮、満州を属国化せず経済的利権だけで満足し、華北進出・熱河侵攻作戦という暴挙をしなければ米英を刺激せず、中国共産党の闘いに苦しんでいた蒋介石主席と一定の妥協の余地があったのではないでしょうか。 かの「日本切腹、中国介錯論」(「広い国土を活用して日本軍との長期戦化で米英を巻き込み、日本切腹の事態に追い込んで中国が最後の介錯をする」)を述べた胡適も一時は「日本が華北から撤退し停戦に応じるのであれば、中国としては満洲国を承認してもよい」と主張していたとの話もあり非現実的な話ではなかったのです。 さすれば米国も日本への警戒感を緩め、究極の敵はソ連だと認識し蒋介石主席を説得し毛沢東の共産党を一掃することに全力を注げば良かったのではと思いますな。 大局的に考えると共産主義国家ソ連は日本と米国の太平洋戦争の間に着々と国力を増進させ、第二次世界戦争後の共産圏の確立を目論み毛沢東を支援し中国も共産化するという漁夫の利を得たと解釈できますね。 日本軍部が華北進出という昭和天皇も危惧したという強欲を抱いたために蒋介石と毛沢東の国共合作を招来し、米国の日本に対する疑念を徹底的にしたのが日本の指導者の大きな誤算でした。 しかし米国が最初から太平洋の覇権を握ろうとして日本排除を企図していたとしたら太平洋戦争は必至であったのかもしれません。スペインとの戦いでフィリピン、ハワイを獲得しアジアに進出していましたから。なにせ1919年ベルサイユでの国際連盟規約における日本提案「人種差別撤廃条項」を他の列強と共に否決し、カリフォルニア州を中心として高まっていった排日移民運動の帰結として、1924年に「排日移民法」を制定した米国ですから。 さて加藤教授は「日本は安全保障上の利益のために植民地を獲得し続けた特異な国」だと評しています。イギリス、フランス、ドイツなどの帝国主義列強のように本国から遠く離れた植民地でひたすら経済的利権を漁った国とは違うんですね。かの松岡洋右の有名な「満豪は日本の生命線」という言葉も悲痛な響きがあります。
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