将棋の棋書レビュー

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ネット将棋とソフト指し 〜将棋倶楽部24にて〜

 「ソフト指し」という言葉をご存知でしょうか?ネット対局において、将棋ソフトに助言を乞い、それをあたかも自分で考えたの手のように、恥ずかしくもなく堂々と指してる輩とその行為を「ソフト指し」と呼んでいます。これはネット対局における最悪最低のマナーです。ソフト指しの起源については、ネット対局が実用化された頃には既に存在したと思われます。ぼくがネット対局を始めたのは2002年からですが、「あの高段は終盤になると、よく接続が切れるが、実はソフトで詰みを確認しているのだ」「あいつの指し手は人間離れしてたな」といった話は、しばしば聞く話でした。真偽のほどはわかりませんが、全てが嘘というわけではなかったようです。その頃のソフトの棋力は、詰みがある局面はプロより強かったのですが、総合的には三段クラスでした。

 ところが、2005年頃から「将棋ソフト狂信者」が激増します。理由は将棋ソフトの棋力がアマ強豪クラスになったことと、それほどの棋力を持つソフトがフリーソフトとして手に入るようになったことが考えられます。

 2006年のある日のこと、ぼくはいつものように将棋倶楽部24で高段者の対局を観戦していました。その時、チャット欄で有名な高段者が、「この手は人間ではあり得ない」「人間の感覚ではない」旨の言葉を連発していたのを目撃しました。ぼくは興味を持ち、その人間の感覚でない人の棋譜を将棋ソフトの検討手順と照らし合わせて見ました。なるほど、最初の30手弱くらいまでは、ソフトとの一致率は低かったのですが、中盤以降はほぼ一致していました。その人間の感覚でない人が、レーティング点数2800点(七段)を超えた時、ぼくは将棋ソフトが遂に早指しならプロ級のレベルになったことを確信しました。その頃の「将棋世界」で、木村一基プロが、将棋倶楽部24で2700点を超えればプロ級だと書いていたのですから。

 ソフト指しの脅威はさらに加速します。2006年初めから2007年終わりにかけての将棋倶楽部24での特筆すべき状況は、2800点前後の点数を持つHN(ハンドルネーム)が急激に増えたことです。先に書いたように、2700点超えればプロ級なのであれば、そういう人が300人近く存在する状況は解せません。全プロ棋士の倍以上の数です。

 2006年10月に将棋倶楽部24を譲り受けた日本将棋連盟は、2007年になると毎月ある特定のプロが「@X」というHNで入場し、ログイン中は会員であれば先着順で誰の挑戦でも受けてくれるというファンサービスを行いました。正体はログインした月の2ヵ月後に発売される「将棋世界」で発表するという、ファンにとってはたまらないサービスでした。・・・ところが・・・
プロを相手にソフトをぶつける大馬鹿者が横行します。その数は、すでに判明しているだけで、二桁を超えています。このことは、プロをかなり怒らせたのでないかと思っています。「@X」の企画は好評であったにもかかわらず、2007年の12月で終了しました。

 2008年1月になると、遂に将棋倶楽部24は「ソフト指し」に対して天誅を下します。それは「24ソフト指し取締委員会」を立ち上げ、その中でソフト指しであるかどうかを検討し、「ソフト指し」と認定された者を永久出入り禁止にするというものです。将棋倶楽部24のトップページにしばらくの間、告知されていました。その効果は、正直な話、抜群でした。それまで毎日たくさん居た七段の棋力を持つ人が蜘蛛の子散らすように消え去りました。びびって指せなくなったのでしょう。永久出入り禁止になった者もたくさん出ました。将棋倶楽部24では、棋譜が1ヶ月間残るので、そこから足がついたのでしょう。中には、その状況を知ってか、知らずか、めげずに高段タブトップで「ソフト指し」を行っていた人も居ました。当然、その後、将棋倶楽部24の名簿から削除されています。

 さらに、将棋倶楽部24は「ソフト指し」に対して追い討ちをかけます。対局棋譜を対局が終了するまでは、コピーできないようにしました。「ソフト指し」は大別して3種類があります。一つ目は、最初から最後までソフトの手を指す馬鹿丸出しなお方。二つ目は、序盤だけ自力で指して、途中からはソフトの手を指す如何にも「ソフト指し」らしい半端者。三つ目は、部分的にソフトの手を頼ってくる哀愁漂う陰湿者。つまり、対局終了まで棋譜をコピーできなくすれば、上記二つ目の「ソフト指し」を排除できるわけです。すでに上記の一つ目は、将棋倶楽部24では1ヶ月間棋譜が残るため、「ソフト指し」にとっては決死覚悟の選択枝となっています。上記の3つ目は、ソフトの起動とサイトの起動が同時に行えないようにする以外は、排除する手立てはないようです。しかし、これまでの将棋倶楽部24の努力により、純粋な「ソフト指し」は激減しました。おかげで、懐かしい高段者のHNも見かける様になりました。やはり、「ソフト指し」が嫌で将棋倶楽部24から離れていたようです。現在、将棋倶楽部24の高段者では、随分平和が取り戻されつつあります。

 しかし、一掃された「ソフト指し」もめげずに新天地を捜し求めます。ぼくは「ソフト指し」の対局をリアルタイムで目撃したり、「ソフト指し」とチャットを交わす機会がこれまで幾度もありました。この話については、日を改めて、書き綴りたいと思います。


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