ソメイヨシノの不定根
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明後日は大学の入学式だが、今年はちょうど桜(ソメイヨシノ)が花盛りになりそうだ。
近所のソメイヨシノの大木を見ると、おそらく枝が切られたところが腐って幹にウロのようなくぼみができている。驚いたことに、そのウロの縁から根がくぼみの中に向かって生えている。
さらに、そばの木を見上げてみると、なんと3メートルほどの高さの位置に、幹の樹皮がはげ、そこから根がたばになって生えている。これらは幹から生えた根なので不定根だ。
ソメイヨシノは老木になると、地表を横に這った太い根からひこばえ(不定芽)が生じる場合があるが、そのひこばえも花はソメイヨシノ。よく考えるとこれは不思議な事だ。挿し木の台木の根はヤマザクラのはずなのにどうした事だろう。これは、長い時間をかけて穂木のソメイヨシノが台木に覆いかぶさり台木を包み込んでしまったためだと言われている。また、深植えをした場合に土の中の接ぎ木の接合部分から根が生えた可能性もある。いずれにしても発根しにくいはずのソメイヨシノの茎から不定根が形成されたわけだ。
挿し木では切り枝が無根の状態に置かれるために、短期間のうちに不定根を形成できないと枯れてしまう。ところが接ぎ木苗の場合は台木の根が有るのだから、不定根の形成に長い時間をかけることができる。ウロの縁や幹の途中の不定根も何年もかけて出てきたのかもしれない。この現象は、取り木とよく似ている。取り木は、樹皮を剥いで篩部を取ってしまうことで、道管を通しての養水分の供給は保ちながら時間をかけて根を出させる技術だ。
挿し木が難しいということは、不定根が生えにくいということ。植物種によって不定根の出やすさが異なる理由は良く分かっていないが、一般的にバラ科の果樹は挿し木が難しい。ところが2010年に化粧品会社の資生堂が住友林業と共同で、脂肪酸の一種であるKODA (ketol-octadecadienoic acid)を処理することで、ソメイヨシノの挿し木の成功率を格段に上げられることを公表している。しかも挿し木苗は2年目には花を咲かせるという。
KODAはもともと資生堂が花芽形成誘導物質(フロリゲン)の探索をしていた時に見つけた植物の成長調節物質。残念ながら花芽形成を「誘導」するフロリゲン活性はなかったが、多くの植物の花芽形成を「促進」する作用が見いだされて園芸等で利用されている。そのKODAが不定根形成の促進作用も持つことが分かったわけだ。しかもソメイヨシノ以外の樹種でも同様の効果が有るそうだ。花を早く咲かせる効果も有るらしい。どの様なメカニズムが働いているのか大変興味深い。 |
命令の看板
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エクステリアが家のファサードの一部ならば、これは地域のファサードと言えるだろう。通勤途中に見かける「ごみ置き場」だ。
鉄筋コンクリートと鉄格子からできている頑丈な小屋。あまりに立派なので子供たちが登って落ちると危ないということで、正面と側面に看板が掲げられている。「〜禁止」という看板が多い中で、子供に読めるようにひらがなで命令している掲示は新鮮だ。
ふと見上げると近くにはこんな命令の看板も。この地域は昔からの住宅街なのでこのような直接的な掲示が多いのかもしれない。
と思ってみたが、道路にはおなじみの強い命令の看板が立っている。
その気になって注意してみると、職場の道路でもこんな看板を見かけた。
一方、職場の建物の入り口付近にはこんな看板がある。
ここは身障者のために駐車スペースを確保してある場所。たまにここに駐車する不心得者が居て問題になる。だがこの看板のように「駐車禁止」とか「止めるな」とか明確に言わずに「ご遠慮願います」では、遠慮しない人が出ても仕方がない。
ていねいな表現とあいまいな表現を混同している例は他にも多く見かける。近年の傾向かもしれない。
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シュンランの花
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昨日からの雨も午後になってようやくあがり、玄関先の花壇で咲いているシュンランの花が濡れている。
きれいな緑色の花弁をぴんと横に張っている。以前、職場の林の中で花形の良いものを採ってきて植えたのが、いつの間にかずいぶん増えてきた。方位などと関係なく花の向きがバラバラなのが面白い。
植え込んだ場所は芝生からほんの少し高くなった花壇で、連結式のプラスチックの枠で仕切られていて水はけが良い。太陽がさんさんと照りつける場所だが、いつの間にか生えてきた夏緑性のシノブに似たシダと混生状態になっている。そのため、冬から春は太陽の直射を受けるが、夏から秋はシダの葉に埋まっている。それが葉焼けを防いで、シュンランに心地よい環境を与えている。世話は冬に枯れたシダの葉を取り除くだけですみ、手抜きグリーンエクステリアにぴったり。夏緑性シダとの混植はお奨めだ。もっとも、私以外の家族はシュンランが咲いていることなどに気づいていないと思う。
シュンランで不思議なのは、花が緑色なこと。ただし、花弁のうちリップと呼ばれる花びらは白色で、赤のドット状の模様を持っている。そもそも花は、イネ科などの風媒花を除けば、受粉を媒介するハチやチョウを誘引するためのもの。これらの昆虫は色を見分ける能力を備えている。そのため、野生の植物でも、まるで園芸種のようにいろいろな色の花弁を作り出し、虫たちにアピールしている。花弁はもともと葉が変化したものなので、色花の花びらは葉緑素の合成を抑え、周りの緑葉から浮き立つようにしている。昆虫は紫外線も見えるそうなので、我々より豊かな色彩世界を持っているに違いない。
リップは虫を誘引する役目を持っているが、上にかぶさっている花びらが緑色では、上を飛んでいる昆虫からは花のありかが分からない。ではなぜ、わざわざ緑色の花を着けるのであろう。花は通常、葉から篩管を通して養分をもらって生きているが、シュンランの場合は花自身でも同化産物を作り出すことができる。その結果、花が長持ちするのではないだろうか。花の寿命を延ばすことによって受粉の機会を増やしているとすれば、虫から見つかり難いことのデメリットが相殺されるのかもしれない。
シュンランでは、花弁から緑色が抜けて赤花や黄花になった変異体が古典園芸の世界で珍重されている。それらの品種の花持ちと受粉率を、自然環境下において野生種と比べればその正否が分かると思うのだが、こんなことを真面目に調べた人が居るだろうか。
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フキとツワブキ
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今日は春分の日。昼と夜の長さが同じという実感はないが、確かに日の出はずいぶん早くなった。気温もだいぶ上がり、花粉症の真っ盛り。春の到来を実感する。
庭に置いてある植木鉢のフキが花を咲かせている。いわゆるフキノトウだが、虫眼鏡で拡大してみると小さい白い花を多数着けている。
フキはキク科の日本自生の植物。この時期、葉も何もない所に地中から花茎を伸ばして花を咲かせる。変った生活型のように見えるが、よく考えるとそうでもない。地中に地下茎を持ち、そこから普段は葉を地上に出し、春には花を出すということで、例えば葉のない状態の梅の木が春に花を咲かせるのと大差ない。本体が地中に有るかどうかの違いと言えるだろう。
同じキク科で属は違うがよく似た植物にツワブキがある。我が家の普通種と斑入りツワブキの現在の状態はこんな感じ。常緑で、冬の寒さに耐えぬいてきたところだ。
フキとツワブキはよく似ているのだが、生活型はずいぶん異なる。ツワブキは秋の終わりから初冬に黄色の、さもキク科という感じの黄色い両性花をよく伸びた花茎に着ける。
フキは日が長くなってきた春に花を咲かせるから長日植物かとも思うが、そうではないことは明らか。なぜならばこの時期、日長を感じる葉が無いのだから。しかもこのような早春に花を咲かせるからには、前年のうちに花芽を準備しておかないと間に合わない。そう考えれば、ツワブキとフキはどちらも秋に日が短くなったのを感じて花芽を分化させ、ツワブキはそのまま開花まで進むが、フキはいったん休眠に入って早春に地温の上昇を受けて花を咲かせる点が違うだけかもしれない。
フキとツワブキが短日植物かどうかをちゃんと調べた人は居るのだろうか。 |
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