なめ道場

最近生モノが熱すぎてすみませんww

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本当は、そうだったのかも。



★注意★


はいぎん・なまもの・べーす×うた・おとこどうしいちゃこら


























ライブの後はいつもこう。
なんかいろんな感情なのか、なんなのかが、ごちゃまぜになって。
どうにかなりそうで、どうしても一人になりたくなって。
だから頼んだ。一人に出来る場所が欲しいって。

でも、今回は特別やばかった。
もう歌ってる途中からどうしようもなくなって。
でも、途中で投げ出すことなんで出来ひんから、最後までどうにかやり遂げた。
アンコール終わり、すぐに部屋に閉じこもった。

「はぁっ・・・はぁっ・・・」

ソファに倒れこむみたいにダイブして、仰向けになって。
自分の呼吸音しか聞こえないことが分かった瞬間、一気に雪崩みたいに目から零れおちた。
なんでこんなん出るかなんて、自分でも分からん。
やから止めるすべも分からんかった。
世界が歪む。
隠すみたいに両腕を組んで顔の上に乗せた。
その間も止まることはなかった。
しばらくしたら止まるやろ、思うてそんままにしとったら。

「きょうくん」

普通やったら絶対ないはず、名前を呼ばれた。
声で分かった。としや。
僕は返事せぇへんかった。できんかったのかもしれん。
とにかくなんも言わんかったら出ていくやろと思うて。
そしたら、ぱたんて、ドア閉まる音がして。
人が近づく気配。嘘や。としやが近くに座ったのが分かった。
としやはなんか喋ろうとしとるみたいやけど、ぼくは何も喋りたくなくて、
やから『一人にして』って言ったんや。
そうしたら

「きょうくんごめんね」

なぜか謝られて、次の瞬間、めっちゃ強い力で、腕を解かれた。
いきなり真っ白な明るい世界。
まだとまらんから歪んだまま。
その白い世界の先に、少し困ったような顔したとしやがおった。
びっくりした。やってまさかこんなことされるとは。
ぽろぽろ未だ流れるのを放ったまま、訳わからんくてじっととしやを見つめていた。
そしたら、ほっぺたにあったかい、感触。
としやの指やった。
としやはなんも言わんと、僕の目からこぼれるそれをすくった。
なんでこんなことするんやろう?
分からんくてそのままじっと見つめとったら、
今度は反対側のほっぺたに指を移動して、おんなじようにされた。
交互にそれを繰り返すとしや。
僕の世界の歪みがなくなるまで、何も言わず、ただ、ずっと。
なんでか、抵抗はできんかった。

とまったのを確認したら、としやが指をぼくの顔から離した。
目がちょっとパリパリ。熱い。久しぶりやったせいか、出すぎやなぁ。
2・3回まばたきして、はっきりした視界のなかでも一回としやを見た。
そうしたら、としやは笑った。
ほっとしたみたいな、優しい感じ。
その顔見たら、なんか、さっきまでのぐちゃぐちゃしてたもんがふっと軽くなった気がして。

大丈夫やで、もう。

そういう気持ちこめて、ちょっと笑ってみた。
笑えてたかどうか分からんかったけど、としやは優しい顔のまんまやったから、大丈夫かなと思った。






あの後。
僕らは次のアルバムのために地下活動に入った。
としやとは普通に接しとる。としやも普通。
でも、あの日のことはなんも言わんまま。なんか言い出しにくい。
やけど、どうしても聞きたくて。
としやが煙草吸ってくるって外に行ったのを見計らって、時間差で、僕もスタジオを出て行った。
きっと、あそこや。
そう思って、屋上来たら、やっぱりおった。
屋上のてすりにもたれて立ってる、細長いシルエット。でかい背中。

「としや、隣、ええか?」

「お、きょうくんじゃん。珍しい」

ふぅっと白い煙をはくとしやの隣に並ぶ。
ぼくはタバコやめたから、あんまここには用ないねん。

「どうしたの?」

「うん、聞きたいことあってな」

「オレに?あ、ちょうどいいや、オレもあったんだ、きょうくんに聞きたいこと」

ドキっとした。
あの日のことかなって思うたから。

「きょうくんはさ、ずっと泣いてたの?」

やっぱり。

「・・・ちゃうよ、あの日だけ」

「そっか」

またとしやが一息吸って、煙をはきだす。
ゆらゆら揺れて、薄くなって煙は消えた。

「でな、なんであの日だけ、お前来たん?」

聞きたかったことを、ようやく口にする。
なんで、あの日に限って。
ずっと、気になってたこと。

「んー、なんでだろう」

いつもの頼りなさそうな笑顔でとしやは僕を見た。
なんやねんそれ。

「なんかね、気になってさ。あの日だけ、ライブんときからなんかきょうくん違うく見えたから」

さらりと言われた一言に、僕はびっくりした。
嘘やん。僕、あの日変に見えてたんやろうか。
血の気が引く感じがした。

「僕、なんか変に見えてた?ライブんとき、そんな」

「変とかじゃないよ、でもなんかいつもよりちょっと違う感じがしただけ。
 オレ、ライブのときほとんどきょうくんしか見てないからなぁ、だから、そう思ったのかも」

「へ?」

としやの、当たり前みたいに出てきた言葉に引っかかってしまった。
いや、普通やろ、僕、歌い手やし。・・・でも。
なんか顔が熱くなってきた気がして、思わず、俯いた。

「どうしたの、きょうくん」

「別に、なんでもあらへん!」

動揺して語尾強くなってもうた。
でも、なんかあかん。
としやはふふって笑うだけやった。
嫌な感じには取られんかったみたい。

「ねぇきょうくん」

「なん・・・!」

急に真剣みを帯びた声で名前を呼ばれたと思うた、次の瞬間、ぎゅって抱きしめられた。
右側から包まれるみたい両腕にすっぽり。
タッパ違いすぎるから。こいつと僕。

「今度から、泣きたくなったら、一人になるんじゃなくて、オレ呼んで?」

なんか、胸んとこぎゅっとした。

「・・・うん」

反射的に返事しとった。
腕の中で小さくうなずいて、前に回された腕をちょっとつかんで力入れたら、
もっかいぎゅって抱きしめられて、ゆっくり外された。

「約束だからね?」

顔覗かれて、としやはそう言って、笑った。
その顔見て、すごく安心した自分が居て、つられるように笑った自分に驚いた。

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