四季の森どうぶつクリニック

開業四年目、耀く飛躍の年にしたい!

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2010年9月6日

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皮膚科特別診療 〜ヒントは意外なところに〜

みなさん、こんにちは♪

愛知県豊明市にあります四季の森どうぶつクリニックです♪




ここ1週間は早朝緊急あり、夜間緊急ありでグッタリ・・・・若い時は1日でリセットできていたのが、

今では数日かかります(苦笑)

明日休診日ですので、明日ゆっくり休みます♪




今年は例年以上の猛暑ですが、冬はきっと厳冬で大雪になりそうな予感がします。

僕にとって冬=本番のため、今からシーズンに向けてコンディションを整えていかなければいかない

のですが、この調子だと体力不足は否めません(苦笑)

コンディション&体力UPのためにも、病気の子たちを治していかなければいけません!

ということで、先日また一人、皮膚科特別診療が終了しましたので、報告します♪



【症例】

    柴犬 13歳 女の子(不妊手術済)

【過去の病歴】

    ☆子犬時代にアカラス(毛包虫症)

    ☆1年前から脱毛(後足、お尻中心に)

    ☆他院にて「ダニかな?」

    ☆他院での投薬治療は抗生物質、ステロイド(改善なし)

    ☆痒みは・・・・「?時々掻くかな?」とのこと

    ☆2カ月前に「乳腺腫瘍摘出術&子宮・卵巣摘出術」をうけて以来、腹部も毛が生えてこない


では、さっそく写真をみましょう♪




イメージ 1



イメージ 2





さらに局所の皮膚病変の拡大の写真です。


イメージ 10







ここから治療約2カ月後の写真になります。


イメージ 3



イメージ 4



後肢とお尻まわりの被毛はほぼ再生しました。



並べて比較してみます。



イメージ 5



イメージ 6



イメージ 7





皮膚科特別診療で来院される多くの症例が、アレルギー疾患ですが、今回は初回で「違う」と判断しました。

そのためアレルギー検査もしていませんし、アレルギー対策もまったくしませんでした。

そして初回の診察時は検査のみで、検査結果がでるまで治療なしとしました。


初回の検査は以下の通りです。

    ☆皮膚検査・・・顕微鏡による細菌、マラセチアの検出

            ⇒細菌わずかに+、マラセチア+〜++(ちょっと多め)

            顕微鏡による寄生虫の検出

            ⇒陰性(寄生虫は検出されず)

            糸状菌培養検査(7〜10日かかります)

            ⇒陽性

    ☆内分泌疾患検査・・・甲状腺機能、副腎機能検査

            ⇒甲状腺は正常、副腎機能は抑制されていました

            ⇒1ヶ月後副腎機能の再検査で正常


「痒い・・かも?」という主訴はありましたが、さまざまな点から考慮して初回からの投薬治療は

あえて不要と判断しました。



2週間後の2回目の診察時に、細菌感染による皮膚炎が認められたこと、初回の真菌培養が陽性になった

ため、抗生物質と抗真菌剤と薬用シャンプーによる治療をスタートしました。



イメージ 8


※局所の細菌感染




初回の検査結果をふまえ、2回目の診察時に「○○○による脱毛&色素沈着が基礎疾患」と仮診断しました。

そして「○○○による皮膚機能低下とステロイド使用により、2次感染で糸状菌症発症、さらに

局所で細菌感染を併発したもの」と説明させていただきました。






治療結果は上記の写真の通りです。

2回目の診察時に認められた局所の細菌感染も改善しています。



イメージ 9







腹部の脱毛が残っていますが、それは治療対象となるものではないと判断できるため、治療終了としました。






では、「○○○」にあてはまるものは・・・・・・?




それは以前の動物病院で受けた「乳腺腫瘍&卵巣・子宮摘出術」の検査結果にヒントがありました。

飼主さまが以前かかられていた病院は、とてもしっかり検査をする動物病院で、摘出した卵巣の病理検査

も実施されていました。

初診時に持参していただいた病気検査結果に記されていた診断名は「卵巣のう腫」。




ここからは予測になりますが、1年前からの脱毛以前に「卵巣のう腫」が存在し、そこからエストロゲン

が過剰分泌が起こっていたと考えられます。

持続的な高濃度のエストロゲンは左右対称性の脱毛&色素沈着や、2次的な脂漏、膿皮症を引き起こす

ことがあります。

今回の症例で初回の診察で認められたマラセチアの検出は、その2次的な脂漏から引き起こされたもの

と判断しました。

初回に認められたマラセチアに対する治療を不要と判断したのは表面上のマラセチアを治療しても

改善しないと考えたからです。



次に考えたのは左右対称性の脱毛&色素沈着、フケや脂漏を引き起こすその他の内分泌疾患(甲状腺、

副腎機能異常)の有無です。

初回の診察時に「卵巣のう腫からくる皮膚病変」を疑っていたので、「除外」のための検査ですが、

これも非常に重要です。

検査結果から、甲状腺&副腎機能異常は否定されたため、やはり卵巣のう腫から引き起こされたものが

根本的と言えるでしょう。



そしてこの病気は原因となっている卵巣を摘出すると、エルトロゲン濃度が低下するのであとは時間が

解決してくれます。

今回の治療は、ステロイドなどによる2次的な病気の治療だけ行ったことになります。

腹部の脱毛が残っていますが、それもきっと時間が解決してくれると思います。







振り返って思うことですが、もし以前の動物病院での手術で病理検査をせずに摘出のみで終わって

いたら・・・・・・僕が卵巣のう腫の可能性に気付くのは難しかったかもしれません。

たった検査結果の紙1枚ですが、あの1枚があったからこそ初回からスムーズな診察になったと思います。

もちろん検査結果がなくても「内分泌疾患」と考えましたが、来院時には摘出されていた卵巣を

「卵巣のう腫」と診断するのはできませんし、僕の性格から「おそらく手術で摘出したものがきっと

卵巣のう腫だった!だから脱毛した!」と言い切るのは難しかったでしょう(苦笑)






今回も名古屋市を越えて、さらに遠くからの通院でしたが、しっかりと継続診療に来ていただけました。

検査・治療にも協力いただけて、ありがとうございます。

皮膚科特別診療の残念なところは、遠いとこからの来院で、治療終了すると次回の診察がないことですね。

治ったことはうれしいことですが、お会いできないのもまたさみしいものです。

今後もお大事にしてください♪





※飼主さまの了解をえて掲載させていただきました。





P.S.

今回はひじょ〜に長い文章になり、最後まで読んでいただけた方に感謝します。

内容もかなりマニアックでしたが、いかがでしたでしょうか?内容は伝わりましたか?

過去の皮膚科特別診療のなかでも、いつもとは少し違った症例でした。

特別な皮膚病ではありませんし、特別な治療でもないのですが、迷走することなく最短ルートでの

診療方針決定に、治療結果以上に診療内容に満足しています(笑)

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