税と社会保障と新しい公共と法制化
|
また少し旧聞になるのですが、「週刊金曜日」の9月23日号と9月30日号に連載で掲載されたのが、「税と社会保障の一体改革」についての対談でした。作家の大野更紗氏と、大学教授の宮本太郎氏の対談は、噛み合っているようでお互いの言い分を言って終わったという感じでした。前号では特集的に関連記事も掲載されており、「新しい公共」という名の下に行われてきた民間企業による福祉業界への参入や行政からの社会保障に対する逃げ腰の姿勢が書かれていました。
今、信じられないことですが、この手の世論調査では、国民の半数が、将来的な社会保障という言葉を聞くと増税しても良いという回答が寄せられると言う調査結果を出してくることになります。年金の問題などはその良い典型だと思うのですが、受給開始年齢を今よりさらに引き上げてもなお、まだ働き続けて年金を払い続け、そこから何十年も年金を受給されるということが可能なのかどうか不思議な結果だといつも考えてしまいます。
さて「新しい公共」という概念では、地域の多様化する社会サービスを、多様なNPO団体や、社会的企業や、ボランティアなどにより担うことができる、ともに支え合う社会を目指すものと言えます。本来は行政が公的な責任を持つ公共的な分野において、企業やNPO団体にその仕事を委ねることによって、住民参加型のまちづくり、官民協同の公的な計画がつくられるということになるのでしょう。しかし、現実的には行政指導型、あるいは行政主導の事業を民間企業や団体が低い委託料で行っているというのが実態ではないでしょうか。
福祉の現場で介護保険という制度が法制化されたことにより、多くの民間企業や団体が福祉のサービスを担ってきました。そこでは介護の社会化という言葉により、公的な部分で行われなければならないことも切り離されて、ある意味では後退したと言えることもありますし、多様な団体はまさしく多様で、福祉全体を後退させるような事例も見られました。見直しを続ける度に使いにくくなる制度が、本来であるならば公的な責任で行われなければならないことも民間に委ねることで福祉サービスそのものが後退していくと言うことになります。
今、「協同労働」に対する法制化が準備されています。永年取り組んできた運動の一つの成果であると思いますし、法律が整備されることにより、多くの人達が「協同労働」という職場を創っていくことになるでしょう。NPO法や介護保険法の初期からの変遷を考える時に、「新しい公共」を担う「協同労働」が安価で行政サービスを肩代わりするツールとして利用されることのないように気をつけていかなくてはならないと思っています。
|

