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http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/yw/yw06040901.htm?from=os1
消費者金融などの金利に関する取り決めは、二つの法律に盛り込まれている。一つが利息制限法で、貸金業の上限金利を、元本100万円以上は年 15%、10万円以上100万円未満は18%、10万円未満は20%に設定、それを超える金利は無効になる。ただ、もともと個人間のカネの貸し借りを定めた法律で、守らなくても罰則はない。
もう一つが出資法だ。この法律で定めた上限金利は29.2%。ずいぶん高いように思えるが、それでも制定当初の109.5%から段階的に引き下げられてきた。こちらの法律は、ヤミ金融の取り締まりを目的に制定されたため、上限金利を超えた融資を行えば、刑事罰もある。
つまり、元本100万円以上の場合、上限金利は利息制限法では15%、出資法では29.2%となる。いわば、ダブルスタンダードで、この二つの金利の間がグレーゾーン金利と呼ばれる。この金利の扱いについては、1983年に施行された貸金業規制法が、借り手が自らの意思で利息を支払い、貸金業者が適切な契約書や受領書を交付している場合は、利息の支払いを有効とみなす「みなし弁済」を規定、お墨付きを与えた。
このあいまいな金利が、貸金業界を潤してきた。中堅の消費者金融会社に10年勤務した男性は、こう解説する。
「利息制限法を知る人はまず、いません。こちらからは特に説明はせず、きちんと返してくれそうな人にでも、グレーゾーンの範囲で、できるだけ高い金利を適用しました。返済に困り、弁護士や司法書士に相談して初めて利息制限法を知って、文句を言ってくる人もいましたね」
最高裁が流れ変える
ところが、このグレーゾーン金利にメスが入った。最近になって、グレーゾーン金利を実質的に認めない最高裁の判断が続いたのだ。このため、借り手側が裁判で、貸金業者から利息制限法を超える利息を取り返すケースも相次ぐようになった。
全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会の本多良男・事務局長によると、弁護士などを立てて業者側に申し立てれば、
「払いすぎた利息はすべて取り戻すことができ、多くの場合は5〜6%の利息をつけて返還される」
という。
こうなると、貸金業者にとってもグレーゾーン金利の存在が、かえって経営の不安定要因になる。
大手のアコムは取りすぎた利息の払い戻しを進めた結果、2006年3月期連結決算の業績予想を約200億円も下方修正した。
こうした状況を踏まえ、金融庁の貸金業制度に関する懇談会は3月、利息制限法と出資法の上限(金利)を一本化し、グレーゾーン金利を撤廃することで意見がほぼ一致、新たな上限金利の設定が焦点に浮上したのだ。
この新たな上限金利に関する業界と借り手側の論争は熾烈を極める。借り手側を代弁して学者らが、
「出資法の上限金利は、銀行の貸出金利や借り手の返済能力に比べて高すぎ、多重債務の原因になっている。利息制限法の上限金利まで引き下げるべき」
と攻めれば、業界側は、
「無担保・無保証という消費者金融はリスクが高く、高金利はやむを得ない。金利を引き下げれば、信用力のない人がヤミ金融に流れる」
と、路頭に迷う利用者が出てくることを指摘する。
懇談会はこれまでに13回を数えたが、上限金利をめぐる業界と借り手側の主張は、真っ向から対立したままだ。
まず20%に引き下げを
上限金利の水準がどこに置かれるかで当然、借り手側の負担は大きく変わる。それを実感していただく。
例えば、50万円を借りて、毎月1万5000円ずつ返済するケースを考えよう。表の通り、利息制限法の18%なら利息は約20万円だが、出資法の上限の29.2%だと約54万円と倍以上に膨れ上がる。
消費者金融の利用者は、複数の業者を利用している例が多い。仮に4業者から計200万円を借り、毎月4万5000円ずつ返済した場合、金利が 18%なら、完済までに6年1か月かかり、利息は約131万円だ。ところが、金利が27%なら、年間の利息は54万円。支払額も年間54万円で、一生かかっても返済できない計算になる。
実際には、月に4万5000円ずつを払えない利用者も多い。現実問題として、借り手の返済能力を考慮した場合、新たな上限金利はどこに置くべきか。前出の本多さんは、
「高い利息を払うためにヤミ金融にまで手を出し、多重債務に苦しむ人が大勢います。まずは出資法の上限金利を(利息制限法の上限の)20%に下げるべきです」
と訴える。
一方の日本消費者金融協会(東京本部)の橋本正弘・事務局長の説明は、こうだ。
「消費者金融業者は全国で4500社ぐらいですが、金融機関から資金を低利で調達できるのは上位20社ぐらい。あとはノンバンクなどから調達していますが、仮に融資の上限金利が下がると、まず、こうした中小業者を直撃します」
業界が淘汰される一方で、利用者側にも大打撃を与えるという。現在の消費者金融の貸出残高は約11兆円(利用者1200万人)にのぼる。
ただ、審査ではねられる人もいて、契約率は約6割どまりという。現在のグレーゾーン金利内でも借りることができない人が大勢いるわけだ。
そんな状況で、上限金利を引き下げれば、「審査をさらに厳しくせざるを得ず、借りられない人が相当、出てくるはず」(橋本さん)というのだ。
関心寄せる大手銀行
ところで、この上限金利をめぐる議論に大きな関心を寄せているのが、大手銀行だ。銀行にとって、消費者金融は将来有望な収益の柱だからだ。04年 4月には三菱東京フィナンシャル・グループ(当時)がアコムに出資、同年7月には三井住友銀行がプロミスに出資して筆頭株主になった。
この提携とは別に、両行とも、グループ内に自前の消費者金融会社を抱えている。こうした体制を整え、金利の違いで「住み分け」を図っている。
三井住友の場合、銀行が12%以下、傘下のアットローンが18%以下、プロミスが20%台(グレーゾーン金利)で融資するという具合だ。
上限金利が引き下げられた場合、直撃を受けるのはアコムやプロミスだが、両社とも銀行の連結対象になっており、業績の悪化は銀行に影響する。
仮に消費者金融の上限金利が大幅に引き下げられれば、銀行側にとっては、金利差による住み分け体制が成り立たなくなり、グループ戦略の見直しを迫られることにもなる。
このため、今回の論争に関して、銀行関係者からは「じっと議論を見守るしかないが、できれば下げないでほしい」という声が漏れる。
金融庁は、この問題について、6月をめどに論点を整理する予定だが、業界と借り手側の“神学論争”の行方は、まだ見えない。
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