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「ルールある経済社会」の手本といわれるヨーロッパで、政治右傾化の波が押し寄せている。EU加盟27か国で6月4〜7日に投票された欧州議会選挙。仏独などの保守与党が所属する中道右派の欧州人民民主党が進出し、オランダ、イギリス、ハンガリーでは極右政党や反EU政党が躍進したという。
なぜヨーロッパで右傾化旋風なのか。6月8日付けの毎日夕刊は「移民流入に対する市民の反発や、経済危機に伴う社会の閉塞感が右派陣営に有利に働いた」と分析している。移民問題というのは即雇用問題だと思う。ヨーロッパの失業率は軒並み10%を超えている。特に若者の雇用が深刻な状況なのだ。
確かにパリの街を歩くと黒人が目立つ。いつかパリの下町で幼稚園の子どもの行列に出会ったことがあったが、半分が黒い肌をしていた。フランスの出生率が上がったという話を聞いたことがあるが、あれは移民の子が増えたためなのではないかと思ったりした。
ヨーロッパに仕事を求めてやってくるのは東南アジアやアフリカからが多い。東南アジアもアフリカも自国では生活していけるだけの仕事がない。ソマリアでは、食っていけないから海賊でもしようか、ということになっているらしい。だから、移民問題と言うのは、移民流入をどうするかというヨーロッパの問題であると同時に、移民元(そんな言葉があるのかな)の東南アジアやアフリカの問題でもあるのだ。
「移民が増えた」「だから若者の仕事がない」「従って移民を排斥しなければならない」。そんな三段論法で片付くことではないだろう。EUも欧州労連(ETUC)も、右派台頭の流れに流されずに頑張っている。派遣をはじめ下積みの労働者の労働条件と権利の確保に汗を流している。「排斥」ではなく「共生」を目指して。
進歩には反動がつきものである。しかし、そこで道を踏み外すのでなく、何が本道なのかを見極める勇気が必要となる。EUが一時的な反動の波に呑まれずに、国際的視野で移民問題を含めた労働者全体の幸福追求にまい進することを切に期待する。
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