ファン感激のDeNA新ユニフォーム。ピンストライプに込めた「継承と革新」。
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DeNAからの答え。
うぉーオーオーオオオー♪……よーこはまでぃえぬえいベイす……よこはまでぃえぬスター……でぃえぬえベイスターズ……。
どうしても、字、あまる。
1月29日、新ユニフォーム発表会に向かう京浜東北線の車中でベイスターズの球団歌「熱き星たちよ」の歌詞をDeNAベイスターズ版にして何度も歌ってみたが、なんともしっくりこない。
翻ること4日前「熱き星たちよ」が一部歌詞を変えて存続するとの報道が流れた。
昨年末にチーム名が「横浜DeNAベイスターズ」に決定してからというもの、球団歌、マスコット、そしてユニフォームなど、横浜ベイスターズの遺産はすべて負の歴史として闇に葬り去られるのだろうと覚悟していただけに、このニュースは素直に喜ばしかったのだが、この歌の据わりの悪さによる漠然とした不安は消えないままだった。
マスコットのホッシー一家は橋の下に追いやられる!? 球団歌だけじゃない。マスコットはまったく新しいキャラクターが採用され、ホッシーとホッシーナ、ホッシーゾは戦力外という一部報道もあった。オリックスのバファローベルの成功例は確かに魅力だが、職を失ったホッシー一家は大岡川アンダーザブリッジの奇怪な住人になってしまうことを考えると実にしのびない。
そんな中、球団の広報部を問い質してみても
「球団としてはまだ公式には何も言えない状態です」
なんて言葉しか返ってこない。
桜木町駅前でのあり得ない光景に目を見張る。 そんなヤキモキを抱えたまま、新ユニフォーム披露会場のクイーンズスクエアへ向かうべく桜木町駅を出た途端、周囲の光景に驚いた。
「今シーズンの試合日程表でーす」
駅前の至るところでベイスターズのスタッフジャンパーを着た球団職員が大声を張り上げ、今季の日程表を街ゆく人に配っていたのだ。聞いた話によると球団職員総出、DeNA本社からも応援部隊を出してこの日のキャンペーンを行っているのだとか。
こんな前向きな姿勢、あり得なかった。1月の末、桜木町で、こんなとこにいるはずもないのに……。
さらに会場となったクイーンズスクエアには期待のあらわれか、約2000人のファンと報道陣約100人が集結。黒山の人だかりの最後方で舞台がまるっきり見えずユニフォーム発表も音声のみで迎える大誤算になったのだが、新ユニフォームへの不安が杞憂だったことは、発表の瞬間に舞台を見つめる多くの人たちの表情を見れば理解できた。
伝統を継承した新ユニフォームに「DeNAはわかってる」。 今季の新ユニフォーム。ホーム用は横浜ベイスターズ誕生時から日本一になった1998年を含む「ベイスターズがベイスターズだった頃」の象徴でもある白地にピンストライプ。ビジター用は、これまた横浜大洋時代を彷彿とさせる濃紺地である。
悪くない。というか、かなりいい。
これって絶対にファンが作ったんだろうと思うような、大洋・横浜の伝統を尊重し新しさも兼ね備えたデザインは、「継承と革新」というコンセプトに相応しいものといえる。
しかし、これらは個人の感想であり商品の効能を確約するものではありません。
なので、会場に詰めかけたファンに感想を聞いてみた。
「カッコいい。一番好きだったピンストライプのユニフォームが復活したのも嬉しい。ちっとも似てないのに一瞬石川がタクローに見えて泣きそうになった」(オノデラさん)
「昨年までのものが全部変わっても文句は言えないのに、あえて球団の歴史を引き継いでくれたDeNAさんには気を遣っていただき感謝しています」(スズキさん)
「デザインどうこうよりも前開きかどうか気になっていたので、これなら文句ないです」(名前を聞きそびれたファンの女性その1)
「ベイスターズの選手が着れば全部カッコいい」(その2)
「去年のユニフォームがカッコよかっただけに残念。古くさい感じがする」(タケダさん)
人が変われば思いも変わる。センスやデザインそのものに関しては賛否もあるだろう。だが、筆者がこの新ユニフォームを評価する要素はただひとつ。「DeNAはわかってる」ということだ。
DeNAは数少ない旧来のファンを見捨てなかった……。 人間の心理として、対象の過去をそのまま受け入れるよりも、自分の色に染めたくなるのは自然なことなのかもしれない。野球界でも監督交代の時には新しい選手を起用したがるなんて話もよく聞く。現在の野球界の定説として球団を持つメリットが「親会社の宣伝媒体」である以上、親会社の思いとしては、買った球団の過去の歴史は切り捨て、何もかも新しくイチから歴史を作るべく、自社色に染めたくないわけがない。
それがボロボロの過去を持つベイスターズなら尚更。昨年の観客動員数が12球団最下位で新規客の獲得が至上命令である以上、たとえ数少ない旧ファンを切り捨てても、ドラスティックな改革を行うという選択肢もあったはずだ。
だが、DeNAはそれをしなかった。
前球団の枠組みを踏襲したソフトバンクの成功例。 似たようなケースが過去にはある。
2004年にダイエーからソフトバンクへと親会社が変更になったホークスだ。かの球団も、親会社の変更に伴い球団歌「いざゆけ若鷹軍団」のダイエーの部分をソフトバンクに変えただけで踏襲。マスコットのハリーホークもそのまま継続し現在に至っている。身売り当時、何人ものホークスファンから「ありがたい」という言葉を聞いたが、福岡のファンにすんなりソフトバンクが受け入れられ、人気球団としての求心力を失わずに済んだことは、たとえ無理やり詰め込んだ「ソフトバーンクホークスー♪」の部分が歌い難かろうと、旧ファンが愛したチームの枠組みを尊重し、引き継いだことも要因のひとつにあるだろう。
「継承と革新」を実践するDeNAなら球団歌問題も解決!? 愛情を注いだチームが、まったく知らないチームになってしまったらという恐怖。身売り決定時にスポーツ新聞に掲載された合成写真のような携帯マークが袖につくんじゃないか。背ネームのOの字にモバゲーのロゴと同じ目の玉が入るんじゃないか……なんてチームのフォーマットが決まるまでの期間、ファンというものはあらぬ妄想に取り憑かれ身を窶す。
だが実際にDeNAが球団買収後にしたこと。本拠地を横浜に残し、地域貢献室を設立した。コーチに高木豊、山下大輔らが復帰。木塚敦志、高木由一コーチらも残留し、加地前社長も会長として球団に残したりと、球団名を「モバゲーベイスターズ」で申請しようとした時はどうなるものかと思ったし、中畑監督就任記者会見の時は血圧が絶好調になりもしたが、今回のことも含め、チーム作りのところどころで旧ファンの思い入れを大事にしながら、「継承と革新」というこの矛盾した二つの要素を取り入れようという姿勢が見える。
これらは容易なことじゃないだろう。気に入らないことも必ず出てくる。だが、生まれ変わったベイスターズには、自身が大洋・横浜ファンを公言する池田社長をはじめ、各業界から賢い人材が続々と集まってきているという話も聞く。
その人らなら、素人では据わりの悪そうなDeNAベイスターズ版「熱き星たちよ」の歌詞やら、函館五稜郭へのトレードが噂されるホッシーをはじめ、議題山積となっている問題も何とかしてくれるんじゃないかという期待も抱けようというもの。
戦力は未知数ながら、DeNAの球団運営は合格! 就任当初は授業参観でハッスルする親を見る中学生が如く、見ないフリに徹してきた中畑監督の完全イロモノ扱いパフォーマンス報道も、最近はもう面白くてしょうがなくなってきた。やはり何の分野においてもやり切れる、突き抜けられる人は天才だ。
いやはや、長年横浜ファンなんてものをやっていると偏屈な性分になってしまうもの。肝心のシーズンについては未知数だが、これまでのDeNAの姿勢には感謝したい。どうせ元から踊る阿呆と見る阿呆。勢い余ってそろそろ中畑監督の“例の掛け声”にも乗っかってもいいんじゃないかと思えてきてしまったので、御礼かねがね試しにやってみる。
「熱いぜ〜! 横浜DeNAベイスターズぅ〜〜〜〜!」
今のところは。
1月29日に行われた新ユニフォームお披露目会見にて。写真左端の三浦大輔投手が着ているのがピンストライプ柄のホーム・ユニフォーム。そこから右に、巨人から移籍したラミレス、中畑清新監督 |





