小学生の頃、毎晩ふとんの中に入ると夢中で読んだ本がある。
親戚のおじさんの薦めで読みはじめたのだが、それまでテレビのBD7でしか知らなかった少年探偵の、その世界とはまったく違う、深くどろどろとした内容に僕はすぐにどっぷりとはまってしまったのだ。
そう!「ポプラ社 少年探偵 江戸川乱歩全集」である。
自分が子供だったからだろうか?そのシリーズはほんとうに怖かった。
なにが怖いって、本編はもちろんのことだが、なんといっても表紙の絵。これが言葉では言いあらわせないような不気味さをかもし出しているのだ。そしてその絵が摩訶不思議なタイトルと合わさると相乗効果で怖さ倍増!ワクワク感もおのずと頂点へ。事実、当時の僕はあらすじよりも表紙の絵とタイトルで次に読む本を決めていた。今で言うCDをジャケ買いする感覚である。
そして表紙以外にも忘れちゃいけないのがところどころに入っている挿し絵。これがまたモノクロなのだが不気味きわまる絵で、一度見たら脳裏に焼き付き、風呂で髪を洗うのが怖くてたまらなくなるのだ。
僕がこのシリーズを、次から次へと読み続けたのは、なにを隠そう表紙や挿し絵を見たいからに他ならなかった。
しかし困ったことがひとつあった。
当時、自分の小学校の図書室には「シャーロックホームズシリーズ」は揃っていたのに、江戸川乱歩全集は1冊も置いてなかったのだ。そこでしかたなく近所の本屋で買うことにしたのだが、小さな町の本屋には全種類揃っているわけもなく、4、5冊置いてあるだけだった。なんとも歯がゆい。
しかしその数冊ですら、僕には十分に魅力のあるジャケ&タイトルだったのだ。
「電人M」「鉄人Q」「宇宙怪人」「魔人ゴング」・・・なかでもひときは不気味だったのが「夜光人間」。この本、表紙はそうでもないのだが、挿し絵が気絶ものである。30年以上たった今でも覚えているくらいだ。
そうそう。数カ月経って、本は取り寄せ可能という現実を知った僕は、水を得た魚のように、ほとんど全て読んだと記憶している。
それにしても、当時あれだけ胸をあつくし、集めた本は今はどこへいってしまったのだろうか。
先日、古本屋で偶然この2冊を見付けたときは、あまりの懐かしさに目頭があつくなった。
少年向けシリーズだが、もう一度読み返してみようか。そんな気分になった。
家につくなり、さっそくパラパラと挿し絵を探しまくったことは、言うまでもあるまい(笑)。
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