茨の道
|
福田氏の辞任には、2つの大きなポイントがあると見ます。
1.テロ特措法延長のめどがたたない 2.公明党の離反
まず、テロ特措法の件ですが、この問題は安倍前首相の命とりにもなりました。私は、洞爺湖サミットで福田氏がブッシュ大統領と延長の密約をしたことまでは知りませんでしたが、もしも特措法延長ができなければ「日米同盟に与える傷は浅くない」と米国は述べています。
「傷は浅くない」という報道がされたことの意味は大きいです。
さて、仮に日本国首相の立場になって考えたとして、日本に「日米同盟」以外の安全保障オプションがあるか?
「日米同盟があるからテロの標的になるのだ」という論理は、少なくとも国際政治の場ではただの妄言であります。 今や、米軍は基地移転を掲げており、太平洋の守備ラインを下げています。 私は、その狙いを単に「軍縮」ではなく、もちろん軍事技術の発達によるものでもなく、また中共との太平洋分割統治でもない、と思います。私見ですが「今後、中共の混乱が近いうちに高い確率で起こると予想しており、かつての日本の二の舞、つまり大陸支那に巻き込まれて泥沼におちる愚を避けるために、防衛ラインを下げて距離をとる戦略」と見えてなりません。 この状況で、日米同盟が緩むということは、支那の混乱に日本が巻き込まれても米国はいっさい支援も介入もしない、という立場の表明だと思わなければいけないはずです。 「米国の中東を支援しない日本が、米国の支援だけを受ける資格はないだろう」というのが、おそらく米国の論理でしょう。 しかし、福田氏には、すでに再可決を乗り切る気力はありませんでした。
さらにテロ特措法延長問題に影を落としたのが公明党です。
政権政党である以上、本音は公明党でも「仕方がない」とわかっているのです。しかし、政府に対して「慎重な姿勢」を保つことで、つまり「自分だけ良い子」になろうとした。 福田氏は、実はかなり短気な性格です。辛抱たまらず「じゃあ、知らんぞ」とやってしまった。公明党にとっては寝耳に水ですが、福田氏に言わせれば「あんたらが反対するからじゃないか」となる。
麻生氏が、公明よりの姿勢を見せたのは、公明の5%を重視したからです。衆院選で、だいたい公明は5%前後の固定票を持ちます。自民党は前回の郵政選挙で大勝していますが、得票率の差でみると5%前後で勝った候補が半数近いのです。もっと簡単にいえば、もし5%がなければ、獲得議席が半分に落ちる。300以上の議席が150というのが単純計算の判断ですが、今の支持率ですと、ハッキリ言ってもっと落ちる可能性があります。私は、下手をすると「議席が100」だと思っています。
いいですか、「100議席減」ではない。「議席数が100」です。そんなラインだろうと見ています。 結論;自民党は次回下野。 可能性は限りなく高い、と思うのですが。
河野洋平氏は、麻生氏に「あんた、俺みたいになるよ」と耳打ちしました。「俺」とは、自民党総裁なのに首相になれなかった、という意味です。。。
この際、公明党に妥協して、過半数をとにかく維持、が麻生氏の戦略でした。
これに対して、福田氏は「仮に過半数をとって政権維持したとしても、参院は解散がないのだから、ねじれ国会は継続。民主が与党案に賛成することはあり得ず、重要法案はすべて廃案。今度は2/3再可決することもできず、どう転んでも政権は死に体」と読みました。 さんざん「ねじれ国会」に苦汁を飲まされた福田氏の思いは、ムリからぬところがあります。 「それならいっそ、公明と手を切って、たとえ負け戦でも、やりたいようにやる」が「賭け」でしたが、次回選挙が怖い自民党議員は、誰も福田氏とともに「討ち死に」を選びませんでした。 結果、福田首相は孤立。ひとり腹を切ることになりました。
さて、今後ですが。
誰を首相にしても、自民の勝利はない、と見ます。仮に勝っても「ねじれ継続」ですから、再び参院で廃案連発「解散しろ」となるのは見えています。 これをもって、福田首相は辞任会見で「私は(あなたと違って)客観的に自分をみることができる」と言いました。その心は、すでに自民政権は死んだ、ということです。
公明は、慌てて「野党連立」に走る可能性があります。しかし、今の民主には拒否されるでしょう。
民主は、公明との連立を断れば、より以上に支持率を稼げると分析済でしょう。
次回の衆院選で、民主政権が誕生する可能性は高いでしょう。
もちろん、長くもつとも思えないのですが。。。
今の自民党総裁を目指すということは、イエス・キリストが、自らの十字架を担いで、ゴルゴダの丘を登るのに似ています。
その行き着く先には、自らの磔刑があるばかりでしょう。
そんな茨の道を歩かなければならないなんて。理想に生きるとはそういうことなんでしょうかね。
「現実が見えるから」辞めてしまった福田首相には、正直言って親近感を覚えます。ムリもないなあ、と思うのです。
それにしても、今どき、日本国首相ほど馬鹿馬鹿しい商売はないと思うのですけどね。なんでも反対で、自分の意思は通せない。通せなければ、首相にリーダーシップがないと批判される。もっとも難しい仕事で、与えられるのは栄光ではなく非難だけであります。
選挙のない官僚が、政治家よりも偉そうにするわけでありますなあ。。。
|
トラックバック(4)
トラックバックされた記事
【株式市場】2008/09/02 福田さん辞職相場
●NY市場 レーバーデーのため、休場。 ●福田首相辞職 福田相場になりそう。正式には、麻生相場か? <font size="5">福田さんお疲れ様でした。辞めるのは自由ですが、何もやっていないのに、いかにも実績を残したような言い方をして辞めるのは、止めてくだ
2008/9/2(火) 午後 6:25 [ ぷよぷよトトロの杜 ]
茨の道
福田氏の辞任には、2つの大きなポイントがあると見ます。 1.テロ特措法延長のめどがたたない 2.公明党の離反 まず、テロ特措法の件ですが、この問題は安倍前首相の命とりにもなりました。私は、洞爺湖サミットで福田氏がブッシュ大統領と延長の密約をしたことまでは知りませんで
2008/9/2(火) 午後 8:46 [ 末期高齢者のコンビニ・ブログ 憲坊法師の徒然草 ]
藁さえ掴めずプライドも捨てず。
参議院は解散がありませんから任期6年を勤めあげます。 仕事していない議員でも6年ですか・・・・。 現有院内勢力(242議席) (次回2010年改選) 自民党 84 ・・・・・・・・・・・・・ 49 公明党 21 ・・・・・・・・・・・・・
2008/9/2(火) 午後 8:59 [ 星州・DUCK? BY 東南・・・日本人 ]





議員職の辞任はしないのですよね。
2008/9/2(火) 午後 5:44
素晴らしい分析です。
「テロ特措法」に関してですが、日本の海自がインド洋での給油活動から引っ込むと、中共海軍がやらせてくれと言ってくるのです。
彼らはその任務を手に入れると、補給を口実に各所に中共海軍の寄港地を設けるでしょう。その上でインド洋−南シナ海−東シナ海のシーレーンの支配を目論むのです。
米国はそれを一番嫌っているので、一年時限立法の「テロ特措法」で毎年右往左往させられる事にかなりイライラしているはずです。
公明党が妨害しているのは中共の差し金とまで私は考えています。
2008/9/2(火) 午後 6:11
日米同盟ってなんだろうね、、、不実にみえる。
米国の支援って、日本からすると大した事ないじゃんよ。
日本は郵政の流れは米への上納金化したし 年間よぉ
日本にいる米軍への目玉飛び出る金も膨大(ありえん多)2000億
位に聞くけど どんだけ米へ流せば気が済む
2008/9/2(火) 午後 6:26 [ じじ ]
大変有意義な分析です。転載させていただきます。
2008/9/2(火) 午後 8:44
TBいたします。我が祖国の総理大臣は、今では会社の中間管理職同然でしょうか。拝
2008/9/2(火) 午後 9:15
日本って、手持ちカード少なすぎ。“核”もなけりゃ“資源”もなし。こんな状態でよくやってきたものだと思う。米帝国にとって日本の役割は終焉を迎えつつある。ここは画期的代替エネルギーの開発で起死回生の一発をかますしかない。やっぱ、日本を救うのは“政治力”ではなく“技術力”ってこと。でないと、いずれどこかの国のように“脅し”だけで世渡りしていかなけりゃあならん、なんてことになるぞ(露帝国復活ってなことになると、地政学的復権の目はあるが…)。
2008/9/2(火) 午後 9:20
「テロ特措法延長」問題というのが、アメリカにとってそれほど重要でしょうか???
だって・・・昨年、綱渡りを経験しているし・・・
その後の一年間の日本の政治状況も見ているし・・・
すでに対応策も考えていると思いますよ。
日本がダメな場合の対応策を・・・
安全保障問題では、当てになるかどうかわからない日本を待っているほど、アメリカは甘くはないと思います。
2008/9/3(水) 午前 11:10
P_su315さん。福田氏は、次の選挙には出馬しない可能性があります。おそらく、子息を出すだろうと、地元ではもっぱらの評判です。
ただし、当選危うし、とみれば、自分が出馬するでしょう。いずれにしても「責任」を負って、とは考えていません。「誰も支持しなかった首相」に「責任だけ負え」というのは理不尽である、と福田氏は考えているでしょう。「支持したのだから、責任を負え、なら話はわかるが」という最低支持率宰相の弁明はいかがでしょうか。
2008/9/3(水) 午後 5:05
中野学校さん、おっしゃる通り、中共は「日本の代わりに給油をやっても良い」と表明していますね。それによって、国際的プレゼンスも上がるし、危険は少ない。その上、中東の石油資源に対しても、主張する根拠になる。他国からみれば「美味しい話」なのです。
日本の政治家は、中共から国際政治学の講義を受けるべきだろうと思います。
2008/9/3(水) 午後 5:08
じじさん、日本にいると、そう思えるのです。
しかし、他国から見た場合に「2000億円払えば、アメリカの同盟国となれる」のは美味しい話です。少なくとも先進国において、GDP比0.4%で米国との同盟が買えるなら、バーゲンプライスですから。
2008/9/3(水) 午後 5:12
憲坊さん、TBありがとうございます。
2008/9/3(水) 午後 5:13
東南さん。会社の中間管理職として考えると、実につらい状況ですな。だって、上司は「もう知らねーよ」といってるし、同僚部下からは総スカン。「俺だって、管理職になりたくてなったわけじゃねー!」という叫びが聞こえそうです(苦笑)
2008/9/3(水) 午後 5:15
惻隠の情さん。ロシアと米国の新冷戦か?という話が出た途端、日経平均が上がりました。市場の見方は冷徹です。「日本は、冷戦構造の狭間で美味しい国」だということです。
日本の省エネ技術はすごいのですが、さて、そう美味くいくかどうか。日本の技術者は、待遇に不満をもって、続々と好待遇を示したサムソンに転職しました。その後のサムソンの躍進は説明するまでもありません。人が動けば、技術は動きます。そういう個々の会社の経営陣の判断が、積み重なって国力となっております。
高い地位にある者が、尊敬も自尊心も持ちえず、責任感もないのですから、技術力は早晩底をつくだろう、と私は見ております。
2008/9/3(水) 午後 5:28
こかげさん。おっしゃる通り、アメリカは日本をアテにはしていないでしょう。日本自身が、そのようにしました。日本の代わりをやりたい国は、いくらでもあります。そういう国が、代わりにアメリカと組むだけのことでしょうな。
2008/9/3(水) 午後 5:30
記事を紹介させていただきました。
2008/9/4(木) 午後 3:04 [ robita ]
robitaさん、TBありがとうございます。
2008/9/5(金) 午後 1:37
>>仮に勝っても「ねじれ継続」ですから、再び参院で廃案連発「解散しろ」となるのは見えています。
二院制をとる国ならどこであれ、どちらの院が優越するか決めてあります。理論上は衆議院で優位にある自民党が衆院の優越で参議院での廃案を乗り切れます。いくら不信任決議案を野党が出そうとも、衆議院で自民党が多数である限りはその案は葬り去られます。
とはいうものの、世論とメディアがそれを許さないでしょう。だから「ねじれ国会」の報道のあり方には疑問があります。
ところで、single40さんは以前に私のブログに相互リンクを申し出ていましたか?実は、その方のブログが移転したのか消滅したのかでリンク先がなくなっていました。それで、そのブログとのリンクを消したわけです。
もし、以前に相互リンクを申し出られたのがこのブログなら、そのリンクを復活したいと思っています。
2008/9/6(土) 午前 9:03 [ Shah亜歴 ]
これはshah亜歴さん、いらっしゃいませ。実は、ちょくちょく拝見して勉強させていただいております(笑)相互リンクがもしもご了解いただけるなら、喜んでお願いいたします。
2008/9/7(日) 午前 0:01
ちなみに、憲法59条規定では2/3再可決ですが、解散総選挙をすると、自民も民主も2/3はとれないだろう、と思うのです。おまけに、参院多数の野党であれば、60日規定を使って「法案棚晒し」で「時間切れ」に持ち込める、、、これじゃあ衆院の優越はうまく機能しないと思うのです。「ねじれ」た場合、与野党対決すると延々と空転せざるを得ない構造になっている。私は、これは憲法の瑕瑾だと思うのですねえ。
2008/9/7(日) 午前 0:07