戦訓はどこに
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私は、今回の選挙で、いわゆる陣営の選挙参謀のお手伝いをした。
私が行ったのは、3選挙区だった。 いずれも自民党であった。
ご存じの大逆風だったが、2つの小選挙区で勝ち、残り一つを比例復活にまで持ち込むことができた。
小野田寛郎ばりにいえば「自民党は負けたが、私は負けていない」(苦笑)。 まあ、運が良かっただけ、とも思う。 それにしても、朝といわず夜といわず、土曜だろうが日曜だろうが携帯がかかってくる生活は、それなりに大変だった。 おかげで、良い経験もした。
私が今回の選挙戦で感じたのは、マスコミの分析とは全く違う「風」であった。
報道では、今回の選挙では「小泉改革の負の側面」が影響した、格差社会や医療の貧困、後期高齢者制度に関する反発だとしている。
しかしながら、私が感じたのは、むしろ逆だった。
「改革を止めた自民党」「昔の通り、利権政治に戻りつつある自民党」「官僚政治を打破できない自民党」に対する失望感が「逆風」の正体だったと思うのだ。
世論調査において、当初は「福祉」と「景気対策」のベクトルの戦い、だと思っていた。私も、すっかりマスコミのペースに巻きこまれていたのである。
この軸において、自民党は「景気対策重視」民主党は「福祉重視」の数値が現れる。 麻生総理も、そのような理解で「景気対策の継続」を訴えたのであろう。
しかしながら、それは間違いだった。
あるきっかけで、私は分析によって、民主党の支持層が「福祉」ではなくて、むしろ「官僚政治の打破」つまり「行革」の支持層であることを知った。 選挙民は、民主党の子ども手当や農家の戸別所得保障などの個々の政策を、決して支持しているわけではなかった。民主党は勝ったのでなく、自民党が負けたのである。
自民党への「失望」は、つまり「改革を進めず、挫折して旧態依然の利権政治に戻ろうと」しており「税金の無駄遣いに甘い」姿勢への批判だった。
ここからは私の想像であるが、おそらく選挙民は、遠からず将来に増税が不可避であると意識下では認識しており、だからこそ改革をしなければ「納得できない」と強く感じているのだろうと思う。
民主党の支持者を、実は「改革推進派」であると仮定し、そこから戦術転換を行って、辛くも勝利に結びつけることができた。つまり、民主党の支持者を自民側に呼び戻せば、相手は1票を失い、こちらは1票を得るので、選挙戦後半になるほど「真の支持理由」を発見することが勝利に結びつくわけである。
おかげで、危ういところをなんとか制することが可能となった。
この仮説は、反自民勢力である国民新党の敗北によって裏付けられたように思える。もしも「郵政民営化が悪であって、旧来に戻すのが良い」のであれば、国民新党はもっと議席を得られたであろう。
あるいは、単に福祉制度の充実であれば、公明党はもう少し議席を確保できたかもしれない。 しかしながら、これらは全くダメであった。 選挙民は、昔に戻すことを欲していない証左である。 自民党指導部は、この違いを見誤り、マスコミのミスリードにのって「行きすぎた市場原理主義を見直す」と発言した。まったく方向違いだっただろう。 結果はご存じの通りである。
さて、真に問題なのは、今回の自民党がその大惨敗の結果、本当に反省できるかどうか、である。
自民党は、今回は多く大物議員が小選挙区で落選し、その一方で比例順位が高かったために、彼らが復活して生き残る結果となった。その多くが地方を地盤とする。
日本の大きな問題として「地方の疲弊」があがる。しかし、地方救済を訴えたところで、現在の財政状況では、公共事業を地方へ昔のように配分することはできない。
もっと言えば、少子高齢化が進む地方を救済する手は、単に再分配の政策しかないだろう。 そして、この政策は、相対的に豊かな都会から地方へ、富の再配分を行うことを意味する。 都市民の多くはサラリーマンであって、無産階級そのものであるが、共産党ですら、このサラリーマン階級に対する目配りをしていない。労働者対資本家、という視点に固執し、都市と地方の対立とか世代間対立の概念を欠いているからだ。 再配分を要求すればするほど、都市は結果として富をはき出すことになるのは自明である。 選挙は、世代別や階層別でなく、地域別に行われるので、その視点を持たない理論は実用できない。
小泉選挙は、基本的に、東京と地方の県庁所在地を重視した「都市部向け選挙」で旋風を起こした。選挙の天才小沢氏は、ここからしっかり敗戦の教訓を得た。
結果、民主党は、都市部を中心に大勝した。前回の郵政選挙と逆になったが、票が動くメカニズムは同じであったと思う。
しかし、自民党は、比例で救われた高齢議員を中心に、再び地方中心、公共事業中心の越山会型の政党に戻ろうとするのではないか。
敗戦から得られる教訓は貴重であるが、間違った総括をすれば、もう未来永劫、政権を取り戻すことはあるまい。 その経世会出身の小沢一郎氏は、すでに戦訓を得て、変革を遂げたのであるが。 |





仰るとおりだと思います。とっても的確な分析です。国民が望んでいるものは政府の改革ってことですね。
確かに・・・でも、その「国民が望んでいるモノが、本当に正しいの?」・・・ってなると別なように思います。私は無駄を省くと言うのでは、経済が良くなるとは思えないし、政府を必要以上にダイエットさせることにも反対です。諸外国と比べても、そんなに贅肉ついているとも思えないですから。でも、それを国民が理解していないのが辛いところですね。
そもそもの誤りは、国の借金は国民一人当たり、いくら・・・って奴。あれが良くないと思う。大嘘だし。
2009/9/1(火) 午後 4:49
おやおや。この最後は困ったことです。私はとある自民党の方に、8月中ごろに「おそらく、下野されるでしょうから、もう一度伝統文化をキチンと学びなおしてください」と申し上げました。
主旨は、新しいの農林業の有り様の提案。官僚に武士道の復活。市民、とくに老壮年層が若者のために奉仕すること(80であろうが90であろうが遊ぶことを考えずに次の世代が楽になることに知恵をしぼって臨終まで働き続けること−これは真宗型の庶民像)。老人を大事にすることと、おカネをそこに欠けることはイコールでない。等々。
歴史から学べることがいっぱいある。自民再生を願います。10〜20年の間にもう2,3、回の政権交代があると、国民主権は熟すと思うのです。
2009/9/1(火) 午後 5:53
>自民党への「失望」は、つまり「改革を進めず、挫折して旧態依然の利権政治に戻ろうと」しており「税金の無駄遣いに甘い」姿勢への批判だった。・・・仰る通りであり、ど真ん中に命中していると思います。。\_(-_- 彡
>ここからは私の想像であるが、おそらく選挙民は、遠からず将来に増税が不可避であると意識下では認識しており、だからこそ改革をしなければ「納得できない」と強く感じているのだろうと思う。・・・これまた仰る通りで、私も激しく同意です。。。\_(-_- 彡
2009/9/1(火) 午後 6:47 [ グリフィン通り。 ]
お疲れさまでした。(この惨状にあって、素晴らしい戦果ではありませんか♪)
ぽちっ!確かに、止まった改革こそが問題だったと思います!
2009/9/1(火) 午後 7:23
素晴らしい選挙結果でしたね。
やっと、嘘つきのならず者達から、民主主義を取り戻しました。
様々な困難を乗り越え、自民党に変わる政党を作り上げた民主党議員に、国民全員で感謝し、支えて行きましょう。
民主党は、古い政府システムを、民主行政システムに作り変える必要があります。
国民支配のために作られた行政組織を、国民を支援する組織に変えなければなりません。法律違反した国民を逮捕し罰するための公安・司法を、国民を守るための公安・司法に変える必要があります。
官僚や公務員を守る法律や制度を、国民を守る法制度に変えなければなりません。自治体の地方議員や首長の利権を排除し、市民の自治体に作り変える必要もあります。
国民を愚民化する学校を、賢明な国民を育てる学校にもしなければなりません。「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望日新報道)から、急いで子供を救い出す必要があります。
大変な大仕事です。
国民がしっかり支えて、本当に国民のために働く政府を作る決意が必要ですね!
2009/9/1(火) 午後 8:27 [ N.M ]
選挙の手伝いをしたとは,毛色が変わってますね。
>あるきっかけで、私は分析によって、民主党の支持層が「福祉」ではなくて、むしろ「官僚政治の打破」つまり「行革」の支持層であることを知った。
そのきっかけとは,どんなものですか?
踏み込み内容の点で,傑作。
2009/9/2(水) 午前 3:03
選挙の最中に気がつきましたか・・・
ちょっと 遅すぎましたね (^^;
2009/9/2(水) 午後 0:55
keiのheartさん、コメント有り難うございます。
政府の規模は、どこの国でも議論の対象になりますから、その意味では、我が国の政策論議は正常なんだと思います。
政権交代で、ようやく特会にメスが入るかどうか?私は、年金積立金などは、実は中身が相当腐っているのではないか、と思ってます。とすると、逆に、負債は増えてしまいます。。。
2009/9/2(水) 午後 1:35
naznaさん、自民党は数が減っていますので、おそらく政策の違いが浮き彫りになってしまうんじゃないでしょうか。「寄らば大樹」「政権与党」の飴を失ったとき、いったいどのような方向で再建するのか。
そういう意味では「野党自民党」は、目が離せない存在です。
日本の伝統的価値観に基礎をおく労働重視の政党に再生してくれれば、こんなに嬉しいことはありません。
2009/9/2(水) 午後 1:38
グリフィン通りさん、コメント有り難うございます。
どうやら、同じ見方であるようですね。自民党の再生を祈りたいと思います。
2009/9/2(水) 午後 1:40
あなろぐさん。大逆風の割には、まあまあの戦績と自画自賛ですよ(苦笑)次は、、、とうぶん勘弁して欲しいですね。
2009/9/2(水) 午後 1:41
N.Mさん、冷静に言いますが、その民主党が、これからは「国民支配」をするのですよ。
2009/9/2(水) 午後 1:42
たつやさん。あまり詳しくは語れないのですが、世論調査の項目に、ある日思い立って、税の無駄遣いという選択肢を入れたのですよ。択一式アンケートでは、「その他」の回答が多い場合は、選択肢が適切でない可能性が高いわけです。それで入れたら、見事に反応したわけです。
仮説が検証されて、それで自信をもったのです。
2009/9/2(水) 午後 1:45
こかげさん、美人投票同じで「美人か」ではなく「みんなが美人と思うか」を考えなければいけないので、迷いました。株式投資に似ています。
2009/9/2(水) 午後 1:49
ふ〜む・・。
>税の無駄遣いという選択肢を入れたのですよ。・・それで入れたら、見事に反応(何%の?)したわけです。
いずれの詳説を期待します。
2009/9/2(水) 午後 5:43
安倍政権のときに、安倍が郵政造反組を復党させたら、支持率が大きく低下しました。麻生はその頃の時点で気が付かなければならなかったはずですが・・・
総理大臣就任後、『 私は郵政改革には反対だった 』 と国会答弁で公言するのですから・・・ アホータロウですよ
全てはアホーのもたらした災いです。
2009/9/2(水) 午後 10:29
>・・・NMさんは、「お仕事」っぽいですね。もう工作員がいるということでしょうか。
2009/9/3(木) 午前 5:45
こかげさん、「消えた年金問題」やら「格差問題」やら「医療崩壊」やら、基本的にマスコミは「小泉改革の悪」を並べ立ててましたから、麻生さんもその文脈に乗ってしまったんだと思います。その上、リーマンショックのために、目先の景気対策一辺倒になってしまった。麻生総理は、それなりにやったと私は思いますが、国民の求める「その先」を提示できませんでしたね。
2009/9/3(木) 午前 11:44
たつやさん、いまや「工作員」ではありません。「権力の手先」とか「政府の犬」とか、まあだいたい、そのようなことを言えばよろしいのです。なんせ相手は与党、すなわち「権力側」なんですからね(苦笑)
2009/9/3(木) 午前 11:45
この記事を読んで、大袈裟に言えば「思想的な既視感」を覚えました。
あれ、「この相手の棒銀の角の仕掛けは前に1回対戦したっけな」それとも自分が指したんだっけ、で、その結果はどうだったっけ、と。そんな、心地よくもスリリングな感覚を覚えながら読了しました。これこそ「生きた球」による傑作。転載させていただきます。
2009/9/6(日) 午前 0:05
私は、小澤一郎氏はご縁がないのですが(昔、彼が自民党を出たところまでくらいは評価していたのですが、そして、もう皆忘れておられるでしょうが、あの「大連立騒動」の時には冷や汗をかいたのですが)、小泉元首相のことは個人的にも少し知っています。この両者を一言で言えば、
・選挙の鉄人−小澤一郎
・政局の天才−小泉純一郎
・組織論の鬼−小澤一郎
・人事の天才−小泉純一郎
なのかと。而して、小澤氏は2003年頃まで、小泉元首相を「格下」と思い込んでいた節があり、その後、実績を積み人気を高める小泉元首相に対して2005年の郵政選挙で、完全に「あら、俺より上の人だったのね」と認識したのだと思います。で、小澤侮り難しの点は、そこから学ぶし、そこから逆算して(自分の代表辞任のタイミングも含め「8.30」の勝利から逆算して)政局の流れを決まられること。
これ、大山名人の晩年、「今時点で若手は俺より強い」と認識してから亡くなるまでの4年ほど(もうそこで引退しても死んでも「大名人」の名は残るのに)棋風を攻撃的なものに変えたことと一脈通じる凄みを感じます。と、余談でした(笑)
2009/9/6(日) 午前 0:21
全く同感です
素晴らしい論点です
私は地方の建設業の役員です、長年自民党を支持してきました。
民主党が勝てば公共事業が減り大打撃を受けるだろうと思っています。そんな私共でも今の自民党ではだめだと言う意見が多々あります。田舎の賃金は低いですが県職員、自治体職員は高給と高額退職金を受け取り高級官僚は天下りで生涯高賃金です。
田舎の自治体でも平均給与500万退職手当2500万程度の収入があります、田舎の農家は年収200万以下、数年続く赤字で役員の私でも年収400万弱であります、この官の公費の食いつぶしに対し皆今の自民党ではあかんと思ったのが今回の選挙結果だと思います。国民は小泉改革を非難していません、抵抗勢力の巻き返しで元に戻ろうとする安部、福田、麻生政権と自民党に愛想を尽かしたのでしょう
2009/9/6(日) 午前 8:07 [ jyu*n_*e ]
KABUさん、転載ありがとうございます。
小沢氏という人は、基本的に「勝負の鬼」だと思います。その執念は、あの小泉元首相を上回るものがあると思います。
ただ、思想的には、この人は「構造改革派」なんですよね。自民党を倒すという目標を達成した後、いったいどう変貌するか?私は、興味津々で見守っています。
2009/9/7(月) 午後 5:28
jyuneさん、コメントありがとうございます。今や建設業界は大変なことになっていますが、私はこれは耐震偽装騒ぎで規制強化という人気とりに走った「人災」ではないかと思っています。
それはともかく、自民党の敗北の原因は「改革を進めなくては、将来がない」という切実な国民の思いに応えられなかったことにあります。マスコミが騒ぐセーフティネットの問題だけではありません。まだしも、民主党のほうがマシだった。この国民の評価を、よくよく心に刻まなければならないと思います。既得権益重視の人は、国民新党に合流すればいいのです。今後の自民党の再生を期待しています。
2009/9/7(月) 午後 5:35