人生初の救急車に
|
こんな経験はしないにこしたことはないと思うのだが、先日、ついに人生初体験の救急車で搬送されてしまった。 私には、メニエール病の持病がある。とはいっても、ふだんは、もう意識しない程度のもので、自分でも治癒したと思っていた。 メニエール病は内耳の病気で、原因は不明であるが、激しい耳鳴りと目眩を起こす。 しかし、ここ数年、まったく快調で、特に意識もしていなかった。 それが、先日、朝の電車に乗る前から、なんとなくおかしかった。 耳鳴りもするし、左を向くとふらつく。耳鳴りも左からするから、左の内耳だろうと思った。 デスクに座ってから休もうと思い、電車に乗ったとたん、激しい目眩に襲われた。 次の駅でようよう這うように降り、そのままトイレに直行。嘔吐である。 そのまま個室内で休んだが、発作がひどく、全身に冷や汗をかき、立ち上がることもできない。 緊急用のトラベルミンを思い出し、がりがりとかじって飲んだ。 しかし、途端に激しい嘔吐ではき出してしまう。2錠目を飲んだが、同じ繰り返しであった。 なんとか個室内からはい出て、洗面所で座り込む。もう動けなくなった。 ちょうど、駅員が見回りにきていて「お客様、どうしましたか?」 「メニエール病の発作です」 「すぐに救急車を呼びますから」 駅事務室で休ませてもらうが、その間も嘔吐する。タオルで受けつつ、床に寝ている。 ベッドが揺れるのが耐えられないのである。 そのうち、救急隊員がやってきた。 「バイタルとって」指をなにかで挟まれる。血圧らしい。メニエールの発作時は、これがかなり下がる。 「すみません、メニエールの発作です」 「すぐに病院に搬送しますから」 ベッドに乗せられ、救急車に乗せられたのがわかった。しかし、顔をあげることすらできない。そのまま近くの病院まで搬送された。 豪快な医者が待ちかまえていた。 「あ、これはきつそうだな〜。大丈夫、すぐに点滴をいれてあげるから」 氏名と生年月日を聞かれて、うつぶせのまま、答える。意識が明白なのを確認して、そのまま、腕に点滴を入れて貰う。 「楽になりますから」 本邦だけの不思議な治療法、メイロンの点滴を受ける。 と、みるみるうちに目眩が収まってきて、楽になった。摩訶不思議な薬である。 少し楽になってきたところで、そのままMRIに運び込まれて、脳検査を受ける。 結果はまったく正常で、メニエールであることがハッキリした。 ついでに言えば、自分は閉所恐怖症で、MRIがダメなのである。 しかし、このときは、恐怖を感じるヒマもなかった。たぶん、あの筒の中につっこまれて、妙な音がするわけだが、もうどうにでもなれ、と目をつぶっていた。 しばらくすると、どうにか動けるようになった。 ぐしょぐしょの自分の服をもって、歩いて(多少はふらふらするが)帰宅した。 人生で始めて、救急車に乗ったわけだが、どのようになったのか、まったくハッキリ覚えていない。 その光景も記憶にない。 七転八倒していたわけで、何も見てないし、覚えていないのである。 ただ、救急隊員達の措置は早く、落ち着いていた。 病院の医師は豪快な人だった。「あんた、疲れすぎだよ。今日はゆっくり休みなさい」 始めて救急車に乗った感想を一言いうと、ホントに有り難いとしか言いようがない。 おかげで、どうにか助けられたのである。 それにしても、この有様。
冷や汗を流してうずくまる中年男は、気持ちの悪い光景であろう。 いやあ、ホントに参りました。 |




