ハチドリのエコレポート

日本の未来を明るくする「エコライフ」をみんなで考えましょう。

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英国のロンドンでは今、「自転車革命」と言われるほど自転車交通の在り方が大きく変化しています。
一方、わが国では警察庁が10月25日に全国の警察に対して自転車の車道通行の原則の徹底や取締りの強化などを盛り込んだ自転車総合対策を指示しました。また11月10日には国土交通省と警察庁が、有識者を集めた検討委員会を作り自転車通行レーンや自転車と歩行者が守るべきルールなどのガイドラインを年度内にまとめる事を発表しました。
「世界の中の自転車後進国・日本」もいよいよ転換期を迎えようとしています。
そこで、今回は、10月25日に行われた日本自転車普及協会の第5回自転車セミナーを中心に、今後の日本の自転車交通政策を推進するうえで、もっとも参考になると思われる英国の自転車交通政策について2回にわたって紹介します。講師は、ロンドン在住のジャ−ナリス青木陽子さんです。
 【講師 青木陽子さん紹介】
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青木陽子さんは、日本の自動車ジャーナリズムを確立した二玄社の『NAVI』編集部、婦人画報社『ラ・ヴィ・ド・トランタン』編集部などを経て独立。
ネット上の『カフェグローブ・ドット・コム』を共同で設立するなどマルチなジャーナリストして活動していました。
現在は、東京とロンドンを往復しながら編集者、プランナー、ジャーナリストとして幅広く活躍しています。
以下、青木さんの報告です。
 
 【ロンドン自転車革命―概要】
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いまロンドンは「自転車革命」と呼ばれるほど自転車が多くなっています。
そもそも、イギリスは欧州では自転車劣等生とも言える自転車後進国でした。優等生にはデンマーク、オランダ、スウェーデン、ベルギー・・・の国々が入っていました。
変化が始まったのが2000年ごろと言われています。そのきっかけは、温暖化の進展と自動車による交通渋滞がありました。また、英国は欧州で肥満率が高いので健康なライフスタイルを広める必要があった事などのいくつかの要素がありました。
 
いま日本がこのロンドンの変化に注目してよいのは、英国は欧州でも自転車後進国だったからです。
そこで、今回はこの10年ほどにロンドンに起きてきた自転車革命について、実際に何があったのか?
私が何を感じたのか? 実際に東京がロンドンに学べるの事とは何か?・・・これらについてお話します。
私が英国に渡った2000年ごろですが、当時、英国では自転車をあまり見かけませんでした。
たまに見る自転車は、ヒッピー風の人がユルリユルリと走っていたり、都心ではメッセンジャーがNY風に赤信号を無視して走っていた姿でした。どちらも私が自転車で英国の道路を安全に走るのには参考にならないので困っていました。
しかも英国は自転車の歩道走行が全く認められていません。自動車に挟まって走るのが怖いというのが当時の私の実感でした。それが、現在、急速に自転車が多くなっており、鳥肌が立つぐらいに感動しています。
私が住んでいるロンドン郊外では、日曜日になるとロードバイクがヒュー・ヒューと走っていきます。昔の10倍
ぐらい増えた感じですね。
欧州でも自転車後進国である英国、その象徴がロンドンでした。
2000年当時、NPOの友人から聞いた話ですが、大人の3分の1が自転車に乗れなかったそうです。
何故、英国人は自転車に乗らなかったのか?
その理由ですが・・・
 
【英国自転車事情】
イメージ 5▽第1に、階級社会であって、自転車は貧しい人が乗るものだというイメージが根強くあった事。それがここ10年で自転車乗る人は、ヤングプロフェショナル。わりと収入が高く都会的で知的な人が乗るものという雰囲気が出てきました。
 
▽第2に、英国は雨が多い事。いまも雨が多いのですが、良い雨具も揃えたりして乗っています。また英国人(欧州の各国にも言える)はそれほど雨を嫌がりません。傘なしでも平気でコートの襟を高くして歩いています。
 
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▽第3に、道路の混雑。
ちなみにロンドンの広さは東京23区の倍ぐらいと思ってください。そこに760万人。人口密度は東京より良い
かと思います。しかし、鉄道路線があまり整備されておらず自動車を通勤に使う市民が多いのです。

そこで、政治と行政が自転車を欧州の自転車先進国のように取り入れようと動き始めました。
 
【ロンドン自転車革命の始まり】
ロンドンの前市長ケン・リヴィングストン氏は労働党の党員で個性が強い人だったのですが、自動車が嫌いでロンドンで自動車を使いにくくするために、いわゆる“自動車イジメ”といってもよい政策を打ち出したのです。
その1つが「コンジェスチョン・チャージ=混雑税」です。(注1)
2003年に導入されました。範囲は大手町から青山ぐらいまでの距離を直径として、その円内に入ると、1日1
回10ポンド(1200円、円高なので今だと1500円か)を支払う事になりました。市内いたる所に監視カメ
ラがあって必ず支払わねばならない課金・課税システムになっています。
現在の市長も続けているという事は、混雑の軽減や税収の面でも効果が出ているのでしょう。
しかし、自転車、バイク。そしてプリウスなどのエコカーも対象外です。
70年代には自動車の流れを良くするために一方通行も多くしました。しかし、この一方通行についても議論されています。
2003年ぐらいからロンドンサイクルネットワークという名前で、東京23区の倍の広さで900キロの自転車
網の整備に着工しました。
結果的に2009年の時点で、自転車交通量は2.7倍に増えました。
 
 【ロンドン自転車革命の現状】
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今も自転車を乗る人は増えていますが、今年の夏、自転車に乗る女性の姿も目立ちました。
自転車の交通量が道路によっては自動車より自転車のほうが増えました。ロンドンの中心部にあるすべての橋の朝の通勤時間では、自転車が交通量の40%を占めたと計測されました。
例えば、テイムズ川にかかるロンドンブリッジでの1990年〜2010年までの間の乗用車、タクシー、自転車の台数の計測のデータがあります。グラフの青線が乗用車、赤がタクシー、緑が自転車です。燃料の高騰などで2004年ごろから乗用車が急激に減っているのが分かります。まさに分岐点です。※注2
 
現在は、朝と夕の通勤時間に、この橋を渡る自転車はコンスタントに30〜40%という感じです。
英国の場合、自転車利用は、通勤に使う人が多く朝、郊外から出て、夕方には帰宅します。したがって、昼間のロンドン市の都心での自転車密度はすごいです。5〜6倍に増えた感じです。
あっちを向いても、こっちを向いても自転車。その後も10%ぐらい自転車交通量は増えているそうです。
次に、そのために行政が実施した施策です。
 
【ロンドン自転車革命と行政の取り組み】
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イメージ 8▽行政として、自動車のロータリー交差点もやめ対面交差点にするなど交差点の改善にも取り組みを行いました。
▽駐輪場の整備にも力を入れました。2000年でもありましたが、現在は数倍に増えたようです。
▽「Cycle to work」は 国税局が行っている自転車優遇税です。これは自転車通勤ユーザにとって結果的に購入額がほぼ半分になる税制度といえます。
例えば、自転車通勤を望む人がA事業所の総務に申し出て、自転車通勤希望者が選んだ自転車をA事業所が購入し自転車通勤希望者に渡す。そうすることで事業税と自転車通勤者の所得税を国が減税してくれるのです。※注3
▽自転車プロモーター戦略。市バスや市設備に自転車のPRポスターなどを掲示し自転車の普及を行っています。
▽「Skyride」前市長のときから毎年9月に行われる自転車開放デー。東京でいえば「青山通り」を一日中
開放する。2010年には数万人。今年は8万人が自転車で走りましイメージ 4た。
▽「Bikabilty」主に子どもむけの自転車レッスン。英国では子どもでも10歳以上では車道です。
そこで学校にNGOの自転車教育チームが派遣させ、子どもにヘルメットを被らせ道路を数キロ走ります。
手信号の出し方や道路のどこを走ればよいか教えます。また大人でも3000円ぐらいで講習を受けられます。
▽「Cycle Friday」自転車通勤を促進するためのソフト政策です。
毎週金曜日に公園などの集合場所に自転車通勤の初心者が集まります。そして自転車のベテランNGOのメンバーが都心まで先導して走って、混雑する道路を走る実践的な技術を教えます。これは無料です。
▽「Cycling England」これは自転車モデル都市ですが現在は緊縮財政で無くなってしまいました
・・・などハード面とソフト面から自転車促進政策を行ってきました。
ハードとソフトの予算はちょうど半々だったようです。
 
(第2回に続く。)
 
※映像は10月25日日本自転車普及協会「第5回自転車セミナー」上映映像と「Transport for London」上の公開映像を使用。
※編集責任:自転車活用推進研究会会員として
2011.11.12
 
 注1:
コンジェスチョン・チャージ=混雑税。渋滞緩和を目的にロンドン市内に入る自動車に課税する徴収方式。通常は、ロードプライシング(Road Pricing)=道路課金と呼ばれる。
2005年に初の公選でロンドン市長に選ばれたケン・リヴィングストン市長が2003年2月17日にロンドン・インナー・リング・ロード内の官庁街や金融街、観光名所が多数あるセントラルロンドン地区に渋滞課金制度を導入した。世界の都市、オスロ、ストックホルム、ミラノ、シンガポール・・・等でも試みられている。
注2:
「ロンドン同時爆破テロ事件」2005年7月7日 現地時間午前8時50分ごろ、ロンドンで地下鉄やバスを標的にした爆弾テロがあった。この事件で56名が亡くなっている。事件後、自転車通勤が増加したと言われている。 今回の青木さんのデータでも2006年から自転車が急激に増えている事が分かる。
注3:
英国での自転車の平均価格は33000円ぐらいか?通勤利用者は50000円ぐらいではとの事です。 

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