ハチドリのエコレポート

日本の未来を明るくする「エコライフ」をみんなで考えましょう。

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前回に続き、10月25日に日本自転車普及協会のセミナーでロンドン在住のジャーナリスト青木陽子さんが講演した内容を中心に「ロンドン自転車革命」を紹介します。以下、青木さんの報告です。
 
【ロンドン自転車革命−CSH誕生】
イメージ 2次に、2009年以降の変化を考えてみます。
まず一番の目玉施策は、4つの「CSH=サイクル・スーパー・ハイウェイ」が完成した事です。※注1
このCSHは、東京では調布、三鷹のぐらいの範囲で、青山〜厚木の246号線や中原街道ぐらいの幹線道路に造られました。これにより自転車がこれまで以上に“より早く”“より走りやすく”なった自転車レーンが誕生しました。しかし、このCSHは自転車専用道路ではなく、基本的に青色に塗られた広めの自転車レーンです。
 
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ロンドンの道路地図の中の青い線がCS3(東京で言えば246号線)とCS7など4本のCSH=サイクル・スーパー・ハイウェイですが、CS3では2倍ぐらい自転車通行量が増えたようです。
2013年までにオレンジ色の4本が完成します。今後残りも2015年までに完成を目指していて、最終的には放射状に12本できる予定になっています。
私は当初CSHに懐疑的だったのですが、CS7は幅が広くなり本当に安心して走れるようになりました。
 
アンケート調査では、CSH敷設で自転車は70%も増えました。沿線のサイクルニスト10人の4人が「乗る回数が増えた」と言っています。これまで自転車に乗らなかった人も34%が自転車の乗るようになったそうです。
利用しているサイクルニストも6割りが「より安全になった」と答えています。また、利用理由の8割りが通勤だそうです。
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中心部から放射状になっていることや通勤用の幹線道路に自転車で通勤する人のために造ったレーンだからです。
現在、注目されている自転車政策は「時速20マイル(32キロ)の導入」です。ドイツなど欧州の自転車先進地域では時速30キロになっていますが、ロンドンでも取り入れようというものです。※注2
また、ロードレースなどのサイクルスポーツでも英国は強くなってきたのも自転車増加に追い風になっています。
スーパーなど書籍コーナーにも自転車雑誌が普通に置かれるようになってきました。ヤフーのトップページにも自転車のコーナーが載っています。
 
【ロンドン自転車革命−サイクルハイヤー誕生】
イメージ 6▽もう一つの目玉施策は、青いレンタル自転車「サイクルハイヤー」(公共自転車)です。7月末で1周年になりましたが、一般の人や観光客が簡単に乗れるようにカードの使用が可能になったのが昨年の12月に入ってからでした。
現在6000台弱がありますが2012年までに収容ステーションを増やし14400の置き場にして8000台にする予定です。
昨年12月から本格運用で780万回の利用があったようです。平均利用時間は16分と短時間です。同じ人が通勤時に往復2回使うという事もあります。
この事業経費の半分弱5000万ポンド(60億円)はバークレイズ銀行がスポンサーとして出しています。このサイクルハイヤーの青色がバークレイズのコーポレートカラーと同じ色というような点もあるような気もします。
利用料金はパリのベリブと同じ、1日カジュアルユースと言われる観光客などの料金で、1ポンド=120円を払
います。しかし24時間の利用券が手に入ります。30分以内ならい1日に何回乗っても無料です。
30分過ぎると段々と高くなってくるので、こまめに返却してもらうシステムになっています。
▽駐輪施設も2008年〜2012年で6万6000台の駐輪設備を、市の交通局が整備する予定です。
イギリスの駐輪場にあって日本にないのが、自転車用ラックです。大きな駐輪場でなく街かどのそこそこのスペースがあれば、どんどん歩道上にも自転車置き場を造っています。
 
【ロンドン自転車革命−行政予算】
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▽さて、こうした「ロンドン自転車革命」を後押ししたロンドン市の自転車の予算ですが、2008年から09年
で日本円にして66億円。
2009年から10年は133億円。2010年から11年は139億円。実際に使ったのは120億円。
日本と違って行政の予算は単年度決算ではないので、繰り越しになっても他の事に使われる事はありません。
66億円用意しておいて半分しか使いきれなかったこともあるようです。
今年2011年からは112億円用意されています。ちなみに、自転車革命がはじまった2001年は10億円ぐ
らいでしょうか?ですから、ここ数年は年間予算が10倍ぐらいと大幅に増加しました。
 
【ロンドン自転車革命−事故対策】
イメージ 8自転車の交通量は増え続けています。
2010年のロンドンでは前年度比9%の増加、全国では前年比15%の増加になっています。英国の場合は都市部以外は自転車はまだまだ少ないです。地方では町と町の間が空いていますし、夜など街灯も少ないてるので自転車で走るのは怖いです。ですから英国全土が自転車革命というのではないのです。
2011年 今年は女性と子どもの自転車利用が大幅に増えたのですが、交通事故での被害者にもなっています。事故で死亡する7割が女性。警察も問題視して自転車の安全な乗り方教えるためのキャンペーンも始めています。
警察では、車の間をぬって走る事や信号待ちで車の前に出る事など…ある意味「ずる賢しこさがない」女性の自転車の乗り方にも原因があるのではと分析しているようです。
 
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赤信号で欧州仕様の大型トレーラーの脇にいて巻き込まれるという女性の事故のケースも多いそうです。
そこで、大型トレーラーやタンク車の運転手などへの教育と自転車側の防衛運転の教育の試みも始まっています。
走っている実感ではバスは自転車と共存関係を保っています。ただ、タクシーは怖いです。
また、自転車を乗る人も黄色などの目立つ服装や反射する生地をたすきに掛けるなどと自動車との事故を防ぐ工夫をしています。
 
フランス、オランダ、ドイツ、スペインなど欧州を自転車で走った私の実感では、英国の交通感覚は断トツで自転車を大人扱いします。右折する時に右折レーンに入らないで“うろうろ”すると怒られます。また、交差点で止まる時、大型車の横になどいると前に出ろと言われます。
自転車の交通量も多くなったので事故も急増しています。しかし、事故率は自転車の普及率に比べて高くはなっていないようです。それは、自転車が増えたので自動車のドライバーが自転車にこれまで以上に注意をはらうようになった事もあるようです。
 
【ロンドン自転車革命から学ぶもの】
イメージ 10まとめになりますが、日本と英国の違いです。
▽まずは、英国ではずうっと自転車は「車両」でした。
私の経験ですが狭い道で向こうがからトラックが来た場合、日本だと自転車側が待ちますが、英国では、トラックの通行側に障害物があると自転車に走る権利があると言う認識で、トラックが待ってくれて「早く通れ」と言うのに感動しました。
▽自転車の走行に限らず、交通マナーを守ります。基本の交通ルールとメリットが理解されています。
公共意識や権利意識が日本より高いとも言えます。
 
▽エコの政策が票になります。そして政治家が熱心に動いてくれます。市長や政治家とは対等という市民の意識も強いようです。
▽マスコミの理解とサポートがあったと思います。
TVのニュースキャスターや有名人も自転車に好意的な意見を持っている人が多いようです。
▽「道路は誰のものか」行政でも・警察のものでもなく「俺たちのものだ」という市民の意識が底流にあります。
こういう点が日本にもあれば、都市交通の中で正しい自転車の活用が進むと思います。
(司会者)長時間に渡りご講演いただき有り難うございました。
拍手!!
 
【「ハチドリのエコレポート:日本に自転車革命を起こすために】
以上、「ロンドンの自転車革命」と題したロンドン在住の青木陽子さんの講演をまとめました。
イメージ 4この報告で青木さんは、英国ではドライバーを含め交通体系の中で「自転車を大人扱いします」と述べています。また、行政や政治家も真摯に自転車政策を進めているようです。
さらに自転車通勤者も自動車から目立つ服装なども含めて安全対策を心がけているとも語っていました。
そのうえで「ロンドン自転車革命」が進んでいるのは道路が自分たちのモノだという市民の意識があるのではとしています。
一方、日本では自転車が歩行者をはねる事故が8年連続で2000件を超えています。昨年、東京都内で起きた歩行者と自転車の事故は103件で全国の4割にも上り、今年の8月までの交通事故全体に占める自転車関係の事故の割合も37.8%と過去最高を更新中です。また自転車による歩行者の死亡事故報道も珍しくなくなりつつあります。
 
イメージ 3いまや自転車は道路上(歩道含め)を歩行者感覚?で信号無視や逆走は当たり前のごとく無茶苦茶に走っています。
誰でも“自転車でヒヤリ、ハット”の経験はあります。自転車に乗る人すべてが悪者になりそうな勢いです。一方で、自転車に乗って事故にあった場合の身体的なダメージを感じていないのではとも思える若者の自転車姿も数多く見られます。
日本では「甘えの構造」が個人に、社会に、まん延・・・マナー&ルールの徹底も含め「自転車が大人になれない」社会環境があります。「自転車革命」にはまだまだ遠い道のりのようにも思えます。
しかし、「当ブログをお読みいただいた一人一人が自転車の正しい乗り方を実践するとともに、多くの仲間を増やしましょう。その為に、まず自ら日本サイクリング協会、日本自転車普及協会、自転車活用推進研究会にお入りになる事や友人や地域で加入する事を勧める活動を行いましょう」と言う事をまとめとします。
 
注1:CSH(サイクル・スーパー・ハイウェイ)3と7号線の完成は2010年。2と8号線は2011年7月完成。
   その他は、2012年のオリンピックのため工事停止。その後2015年までに残りを完成させる予定。
   (自活研 亘理氏より)
注2:英国「Cycling routes & maps」のサイクリングルートでは「裏通り」「運河公園」の“簡単ルート”の
   速度は12Km。“中程度ルート”は速度16Km。“高速ルート”は速度20Kmと記載されています。
   
   また、欧州ではクルマと自転車の共生を図るため「ゾーン30」がありクルマの速度規制を導入している都
   市も多い。市街地全域を30Km規制している都市(オーストリア・グラーツ市など)。
   幹線道路以外をすべて30Km規制している都市(ドイツ・シュツットガルト市など)。
   (自活研 亘理氏より)

※映像は10月25日日本自転車普及協会「第5回自転車セミナー」上映映像、私の自転車関係映像と「Transport for London」上の公開映像を使用。
編集責任:自転車活用推進研究会 会員として
2011.11.13   追記及び訂正 11.29

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ロンドンの幹線道路の中に青いレーンを設定することが面白いと思いました。日本人はルールを守る空気が出てくれば、すぐ礼儀正しくなると思います。肝心なことは自転車あるいは低速で安全・快適な乗り物をきちんと生活の中に位置づけること。また、一昨年、北京に行ったところ、電動自転車が全盛でした。高齢社会における快適で安全な乗り物を開発してほしい。

2012/10/10(水) 午後 6:08 [ 水のフォルム若林祥文 ] 返信する

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