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学歴詐称
学歴詐称(がくれきさしょう)とは、学歴を偽ること。一般には実際より高い学歴を名乗る場合が多いが、逆のケースも稀にある。
[編集] 概要
高度な教育を受けて高い知見・教養を身につけているものと見せかけるために、最終学歴を偽り、より高等な教育機関を卒業したと主張するのが一般的である。
また、就職・受験等で所定の最終学歴を持つ事が要求される場合には、これに適う学歴を持っていると主張することもある。
学歴を詐称する場合、より高い学歴を名乗った方が良いようにも思える。
しかし、「東京大学卒業」のような学歴を名乗った場合、世間的注目度が高いため、詐称が露呈しやすいともいえる。
したがって、学歴詐称が行われる場合には、比較的無難な学歴が用いられることも多い。
また、日本の大学と比べて卒業の確認をするのが困難な、海外の大学もよく用いられる。
[編集] 類型
真実とは異なる学歴を主張するケースとして下記の様な類型が見られる。
[編集] より高等な教育機関を卒業したと主張する
例えば最終学歴が高等学校卒業であるにも関わらず、大卒であると主張する。
[編集] より評価の高い教育機関を卒業したと主張する
より評価の高いとか一般受けのする学校を卒業したと主張する。
[編集] 正規に卒業していない教育機関を卒業したと主張する
当該教育機関を中退・除名・除籍等となって、正規に卒業していないにも関わらず、卒業したと主張する。卒業の単位が足りず、実際には卒業を認定されていないのに敢えて卒業と主張したり、自身は卒業したと認識してそう主張する場合もある。
[編集] 関連講座を受講して卒業・留学したと主張する
殊に海外の大学について、正規の教育課程を全て修得せず、一部だけを修得して卒業を主張する。
また、市民向け・外国人向け等、受講資格を設けず一般に開放されている講座を受講し留学を主張する。留学の語を以って、正規の教育課程の全て、または一部を正規に受講・修得したと誤解させる。
[編集] 最終学歴を隠し、より初等な学歴を主張する
より高等な教育機関を卒業しているにも関わらず、それを隠し、最終学歴としてより初等な教育機関を卒業したと主張する。これは、大学を卒業していながら、中卒・高卒の採用枠に応募して採用される場合などがある。
[編集] 対策
審査の際に、当該教育機関から卒業証明書等、根拠となる書類を取り寄せたり、願書と共に応募者に提出させる。
但し、当該書類が偽造されている場合もある。海外には、卒業証明書等を偽造する組織があり、これに依頼して偽造した書類を持って入国した留学生の事例も確認されている。
尚、中小企業や、パート、アルバイト等では厳密に審査をせずに採用を決める事があり、その場合には審査の時点で学歴詐称が発覚しない場合もある。
一方、大卒者がその最終学歴を隠す場合には、中学や高等学校を卒業したことはまず間違いが無く、卒業証明書も確かに提出されるので、大学を卒業した事実を把握するのは困難である。
[編集] 法律上の扱い
学歴を詐称することが直ちに犯罪行為にあたるとは限らないが、学歴詐称にともなって財物の交付を受けると詐欺罪になるなど、刑事法上の構成要件となる場合も多い。
[編集] 学歴詐称が報じられた事例
就職や受験では願書と共に卒業証明書の提出を求めることから、学歴を詐称することは容易ではない。
一方、政治活動や芸能活動では、最終学歴を確認する典型的な機会が無く、事実とは異なる最終学歴が本人や関係者の主張するままに流布することがしばしばある。
安倍晋三 -
成蹊大学を卒業後、南カリフォルニア大学政治学科2年間留学を自称するが、実際は“政治学専攻”でドロップアウト。しかも単位を取得した6コースのうち3コースは外国人のための英語講座で政治学の単位ではなかった。
梶原一騎 -
劇画原作者。最終学歴は東京都立芝商業高等学校中退だったが、早稲田大学英文科卒業を詐称(斎藤貴男『夕やけを見ていた男 評伝梶原一騎』p.184 新潮社、1995年 ISBN 4104030015)。
同書p.257によると、1954年ごろ、初めて大山倍達に会った時も、梶原は「早稲田大学の学生で、アルバイト作家なんです」と名乗っている。
同書p.331によると、1983年7月20日、レイプ未遂と暴行傷害と恐喝のために東京地方裁判所505号法廷で初公判が開かれた際にも、この学歴詐称を検察の冒頭陳述で指摘されている。
小泉純一郎 -
ロンドン大学政経学部に2年間留学したと称して選挙に立候補。
しかしロンドン大学に政経学部は存在しない。
小泉は英語ができないためロンドン大学の試験に合格できず、誰でも入れ、単位も認定されない外国人向けの講座に半年在籍していただけであった。
1983年、「政界往来」誌の「ニセ坊主・桐山靖雄(阿含宗)を糾弾する」と題する記事の中で、桐山靖雄(宗教家、阿含宗の代表者。日本大学芸術学部出身)が、天台宗僧籍取得のため天台宗宗務庁に提出した履歴書(1968年8月)および小田慈舟大僧正の金剛頂経講伝に提出した履歴書(1970年8月)の中で早稲田大学国文科中退を詐称したことを報じた。1
986年4月には、早川和広が著書「阿含宗・桐山靖雄の知られざる正体」(あっぷる出版社)の中で同じことを明らかにしている。
2003年、古賀潤一郎
(元衆議院議員)が衆議院総選挙に出馬した際にアメリカ合衆国のペパーダイン大学卒業と虚偽経歴を公表した。実際には卒業していなかったため、公職選挙法容疑で告発を受けたが、議員辞職を条件に起訴猶予となった。
ラジオパーソナリティの新間正次が、
最終学歴が高等学校卒業であるにもかかわらず、明治大学二部入学を名乗って参議院選挙に出馬し当選したが、当選の3日後に学歴詐称をスクープされ、公職選挙法違反で起訴された(1992年)。
このため議員としては失職した。上告し、最高裁判所まで争ったが、禁錮6月執行猶予4年の有罪判決が確定した。
タレントの野村沙知代が、
1996年に衆議院総選挙に出馬した際アメリカ合衆国の「コロンビア大学留学」との虚偽経歴を公表した。
このため1999年に公職選挙法違反で東京地方検察庁に告発されたが、嫌疑不十分で不起訴処分となった。
ジャーナリストの本多勝一は、
1954年3月に千葉大学薬学部を卒業した後、1954年4月に京都大学教養部に入学。
1956年4月、京都大学農学部農林生物学科応用植物学教室に進み、卒業しないまま1958年10月に朝日新聞社へ入社したが、講談社文庫版『アラビア遊牧民』の奥付で「京大農林生物学科卒」と明記していた。
この記述を引き継ぐ形で、『現代日本人名録87年版』(日外アソシエーツ)でも「京大農学部農林生物学科卒」と明記されている。
「日本映画俳優全史 男優編」(猪俣勝人・田山力哉、1977年、社会思想社)によると、
俳優の三國連太郎が、旧制工業専門学校卒業であるにもかかわらず、映画界入りに際して「旧制静岡高等学校を経て東京帝国大学卒業」と詐称したとされる。
[編集] 最終学歴を隠す
より高等な教育機関卒業にも関わらず、中卒乃至高卒の採用枠、殊に自治体の公職に応募して就職する事例がしばしば報じられる。
生活の安定している公務員職を志向する余り、難易度が低く確実に採用を見込める枠を選んだとの見方もあるが、一方で、大卒でありながら大卒相当の職業に就職できないという、学歴難民の存在がある。
殊にバブル崩壊後には民間企業の採用枠が細り、就職難の状況のもと、なんとしても就職口を見つけるために敢えて斯様な採用枠を志向するとも指摘される。
なお、正社員として採用されるのを嫌いアルバイト職として勤務する為に敢えて学歴を隠した永井一郎の例もある。
採用要件として中卒ないし高卒に制限することにつき「逆差別であり、憲法で保障されている職業選択の自由に反するため制限すべきではない」という意見がある一方、「中卒者や高卒者は大卒枠を受験できないほか、それらの雇用を確保するための資格要件という側面があり、制限は妥当である」とする意見もある。
しかし公務員試験の場合、大卒必須の試験は少なく、大卒枠の試験を高卒者でも受験できることが多い。外務省エリートは大学中退が多いことも知られている。
なお、自治体によっては高卒程度の場合、年齢制限の上限が低く設定されており大学卒業年齢では資格が無くなる場合もある。
[編集] 事例
青森市営バスの運転手が、1995年以降、「中卒または高卒に限る」となっていたが、短大卒や大卒であるにも拘らず、高卒と学歴詐称していた例が2005年に発覚し、この職員は失職している。
公務員への就職意識が強かったため、学歴詐称をしたと思われる。
2006年には、神戸市立の小学校・中学校・高等学校で働く職員十数名が、短期大学や大学を卒業しているにも拘らず学歴を低く詐称し、中卒・高卒限定枠で採用されていたことが露見。全員が諭旨免職処分を受けていた事実が判明した。
2007年1月には、4年制大学卒業の最終学歴を隠し、高卒と偽って兵庫県尼崎市水道局に10年間近く勤務していた同局管路補修課の男性職員が、学歴詐称ゆえに諭旨免職処分を受けた。
2007年4月には、大阪市職員約4万5,000人のうち1,000人以上が、学歴が大卒や短大卒であるにも拘わらず「高校卒」と偽り、 受験資格が高卒以下に限定されている職種で採用されていたことが判明した。
大阪市は、こうした職員が業務を支障なくこなしている上、安定した生活を奪うのは厳しすぎるとして、停職1か月に処すると共に、2007年世界陸上選手権でのボランティアを推奨した。
2007年7月には、横浜市は2007年7月末を期限として最終学歴が大卒や短大卒にもかかわらず「中学・高校卒」と詐称していた者に自己申告を求め、最終学歴を隠していた事が発覚した場合には即免職とすると発表した。
同職員の受験時の学歴要件は「高等専門学校、短大、大学卒は受験できない」となっているが、職員約2万7000人のうち728人が申告し、うち、専門学校卒や大学中退等該当しない者を除いた507人について「高校卒他の就職機会を奪った」ことへの懲罰として、停職1ヶ月の処分を下し3ヶ月にわたり交代で停職させる。
声優の永井一郎は正社員になることを嫌って京都大学卒業の学歴を隠し、高卒と自称して電通にメッセンジャーボーイとしてアルバイト勤務していたことがあるが、後に京都大学の先輩の口から学歴詐称が知られ強引に正社員採用された(2002年7月19日、テレビ朝日系『徹子の部屋』における当人の発言)。
2007年8月、熊本市は、受験資格が「高卒まで」とされている採用試験で、大学や短大を卒業、中退していることを秘匿し、最終学歴を「高校卒業」と偽って受験、採用されていた職員が計18人いたと発表した。同市は全員を停職2カ月の懲戒処分とした。
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