歴史資料ネットワーク(史料ネット)

電話078-803-5565(平日午後1時〜5時) / お問い合わせは「s-net@lit.kobe-u.ac.jp」まで

サイト移転のおしらせ

いつも歴史資料ネットワークのブログをご覧いただき、ありがとうございます。
さてこのたび歴史資料ネットワークはホームページをリニューアルし、下記に移転しました。ブックマークの変更をお願いいたします。

新サイトのURL http://siryo-net.jp
・事務局からのおしらせrssはこちら
・各種情報提供についてのrssはこちら

なお、これまでの神戸大学ウェブサイト・yahooブログの内容はすべて新サイトに引き継いでおり、これらが今後更新されることはありません。

また、事務局メールアドレスはこれまでと変わりません。お問い合わせや情報提供などはこちらよりお願いいたします。

引き続き、歴史資料ネットワークの活動にご支援たまわりますようお願い申しあげます。

この記事に

昨年9月に発生した台風12号、15号により和歌山県、奈良県、三重県を中心とした大規模な豪雨災害が発生しましたが、
その被災地である奈良県南部の現在の状況について、史料ネット運営委員の澤井廣次さんがレポートを寄せて下さいましたので、転載させていいただきます。(か)



紀伊半島大水害における奈良県南部被害状況報告(文責:澤井廣次)


○実施日:2012年5月13日(日)
○参加者:谷山正道(天理大学教授)、澤井廣次(神戸大学大学院人文学研究科)

■はじめに
 2011年9月に発生した台風12、15号被害は奈良県南部に大きな被害をもたらした。被災当時は道路状況が悪く、立ち入ることが困難であったが、2012年2月8日に警戒区域がすべて解除され、交通規制が徐々に緩和しつつあるため、2012年5月13日に五條市大塔町・十津川村を中心に状況視察を行った。

■国道168号線沿い
○五條市大塔町の被害状況
 まず五條市中心部から168号線を走り、五條市大塔町へと向かった。大塔町辻堂地区では、大まかなゴミ・流材は処理されたと思われるが、土砂により道路が遮断されたままであり、かついまだデイサービスセンターなどが土砂に埋まったままであった【写真1】。
イメージ 1

次に訪れた大塔町宇井地区でも集落の間際に発生した大規模な土砂崩れがそのままの状態で残っていた【写真2】。なお辻堂地区・宇井地区ともに人影はなく、住民はすべて仮設住宅などに避難しているものと思われる。さらに河川流域においてはショベルカーなどが目撃でき、復旧工事が進行している様子が窺えるが、集落及び集落へ繋がる道路(幹線道路ではなく、ローカルな道路)には工事の手が入った様子はない。
イメージ 2

○十津川村の被害状況
 大塔町宇井地区から15分ほど走ったところにある十津川村長殿地区でも状況は同様であり、国土交通省によって応急橋梁が出来ているものの、土砂に埋まったままの自動車が存在するというような状況であった【写真3】。
イメージ 3



同村宇宮原地区では山崩れにより旧道が完全に埋まってしまっていた【写真4】。
イメージ 4

今回の視察では上記の二地区の被害が大きく見えたが、それ以外でも土砂崩れや仮設橋梁などがいくつも散見できた【写真5】。
イメージ 5


■国道425号線沿い
 168号線沿いと比較すれば被害は小さいが、道路の復旧の不十分さは否めない【写真6】。さらに湧き水が吹き続けている場所があるなど、次に大規模水害に見舞われた際にはどうなるのかと不安になる部分が少なくなかった。
イメージ 6

■国道169号線沿い
 こちらも168号線沿いと比較すれば被害は小さい。1ヶ所迂回路が設置されている場所が存在したが、それ以外は大した被害がなく、また425号線沿いのような怖さを感じることもなかった。

■歴史資料の被害状況について
 参加者2人とも大塔町・十津川村の資料状況について深く知らなかったため、十津川村歴史民俗資料館でお話を伺うこととした。
 現在のところ資料館の方及び教育委員会が把握している範囲では、古文書の被害はなく、民具の被害が1件あった。この民具被害についてはすでに教育委員会を通じて対応・処置が行われており、現在香芝市で対応しているとのことであった。
 また、資料館の方・教育委員会が把握していない歴史資料の被害もあると考え、地元の歴史資料に詳しい方をご紹介いただき、お話を伺うことにした。可能であればその方の案内のもと旧家を巡廻する予定であったが、その方と連絡が取れず、日を改めることとした。
日記・アルバムなどについても、史料ネットやわかやまネットで対応している旨を伝え、そのような情報があれば連絡してくれるように伝えた。
 指定文化財については、奈良県HPにあるので割愛する。

【注】
・台風12号による県下指定文化財の被害状況について(平成23年12月22日現在、奈良県文化財保存課)


■おわりに
 今回は状況の視察に重点を置いたため、踏み込んだ活動はできなかった。また状況の視察と言っても幹線道路がその中心であり、脇道・旧道の被害状況まで把握できなかった。しかし425号線沿いの状況を鑑みれば、脇道・旧道の状況はより深刻な状況にあると思われる。これらの状況把握は今後の課題である。
 また歴史資料の状況に関しては、今回の視察で得られたものは多くない。後日教育委員会・地元の方からお話を伺う機会を設けることとなり、今後の進展に期待する。ただ、これは十津川村に限っての状況である。大塔町に関しても合併先の五條市の教育委員会からお話を伺う予定であるが、五條市とは地理的にも歴史的にも一体感があるとは思えない大塔町の状況について、どこまで踏み込んだ情報がその場で得られるか不安である。今後はその地域に即した対応が必要であると思われるが、対応のあり方などについては、多くの方の協力を得て一歩ずつ進めていく必要があろう。
 昨年の大水害の傷跡も癒えず、今後の水害の影響も非常に不安である上に、県の復興計画に集落移転が明記されている。そのような状況を鑑みると、歴史資料をめぐる状況は深刻であると思われ、今後の継続的な活動が重要になろう。



この記事に

開く コメント(2)

開く トラックバック(0)

5月6日に茨城県および栃木県において大きな竜巻被害が発生いたしました。
被害に遭われた皆さまには心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈りいたします。
現地の状況について、茨城史料ネットさんより速報(『茨城史料ネットニュースレターNo.43』)が入りましたので、
転載させて頂きます。
ご周知のほど、よろしくお願いいたします。(か)

■茨城史料ネットホームページ


【茨城史料ネットニュースレターNo.43】

 5月6日に発生した竜巻は、茨城県・栃木県に大きな爪痕を残しました。茨城史料ネットでは、5月8日に、事務局の山川千博と泉田邦彦が緊急に現地に入り、文化財・歴史資料の被災状況の確認を行いました。その成果を、山川の文責による速報記事として掲載・配信します。転載・転送自由です。関係団体の皆様は、被災状況の周知に御協力ください。また文化財・歴史資料の被害について、情報をお持ちの方は、茨城史料ネット事務局まで、お寄せください。よろしくお願いします。

速報 5月6日の竜巻による茨城県つくば市北条の被災状況
 山川千博

はじめに
5月6日に発生した竜巻により、茨城県つくば市・常総市、栃木県真岡市・益子市・茂木市をはじめとして、各地において被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。
茨城文化財・歴史資料救済・保全ネットワーク準備会(茨城史料ネット)では、災害発生から3日目の5月8日、被災地の中でも特に大きな被害が報じられた、つくば市北条地区を訪れ、被害の確認調査を行いました。この時の知見をもとに、同地区の被害の概要及び、文化財・歴史資料の被災状況について、簡単に報告したいと思います。

1、竜巻の進路と北条地区の被害
常総市大沢新田で発生したとされる竜巻は、北東方向へと進み、つくば市北条地区で国道125号線を横切り、雇用促進住宅北条宿舎を襲いました。宿舎ではガラスが割れ、多くの家財道具が瓦礫として搬出されています。その後竜巻は、主要地方道取手・つくば線や、県道石岡・つくば線沿いに展開する商店街・住宅地に大きな被害を及ぼしながら、県道筑波山・公園線(旧つくば道)沿いの谷へと入り込み、さらに北東方向の集落(市立北条小学校北側)へと抜けました。竜巻が直接通過した場所では多くの倒壊家屋が見られ、竜巻の外縁部に接触した多くの家屋でも、屋根・壁などに被害が出ています。

2、指定文化財の被災状況
大きな被害を受けた県道石岡・つくば線沿いの商店街には、国の登録有形文化財が2件存在します。そのうち旧矢中家住宅(建物2棟)では、瓦や壁の一部が崩落し、窓ガラスが何枚か割れるなどの被害がでています。その保全には、以前からNPO法人「”矢中の杜”の守り人」が関わっており、今回の被災に際しても、いち早く対応していました。災害発生3日目にして、旧矢中家住宅への応急処置はほとんど終えているようです。また、もう一件の宮本家住宅(建物8棟)では、瓦の一部が破損したものの、それ以上の大きな被害は受けていませんでした。
他にも北条の商店街付近には、県指定文化財・八坂神社石造五輪塔や、市指定文化財・毘沙門天種子板碑が存在しますが、どちらも、竜巻の通過ルートから僅かに外れており、被害は確認されませんでした。

3、古民家・土蔵の被災状況
指定文化財以外にも、北条の商店街や県道筑波山・公園線沿いには、旧家が多く存在し、歴史的な町並みを形成しています。今回の確認調査にあたり、古民家にお住まいの方や土蔵を所有するお宅には、東日本大震災への対応時に作成した、「被災した歴史資料についてのお願い」というチラシを配布して回りました。そうした活動の中で、あるお宅の土蔵1棟に立ち入らせていただき、所蔵資料の確認を行いました。土蔵は、以前煙草の乾燥に使用したもので、中にはほとんど何もない状態でしたが、古い写真を10点ほど見つけたため所有者に説明し、保全をお願いしました。
また、別のお宅では、家屋の外壁が剥がれ落ちて中に多くの掛け軸等が見えたため、確認したところ、200点以上の掛け軸を確認しました。今回は写真を撮影させていただき、今後の所蔵方法に関しては、後日、家屋内部の片付けが済んだ後、改めて相談に伺うことになりました。

4、周知の歴史資料の被災状況
今回の調査にあたり、北条地区に、周知の古文書を所蔵するお宅が数件所在するという情報を、NPO法人歴史資料継承機構から事前に得ていました。被災地外縁部での聞き取り調査の結果、古文書を所蔵するお宅のうちの何件かは、商店街の中でも激甚な被害を受けた部分に位置していることがわかりました。現地ではすでに、瓦礫の撤去や被災した家財道具の搬出など、家屋・土蔵内部の片づけが始まっており、その中に含まれる歴史資料の流出が心配されます。しかし、まだ災害直後であり、被災者の心情を考慮すると、所蔵資料に関する詳しい質問は憚られ、今回はチラシの配布のみを行うに止めました。幸い、そのうちの一件のお宅では、後日もう一度来てくださいと言っていただけたため、今後、時機を見て再訪する予定です。

5、今後の課題
今回、茨城史料ネットとしては、東日本大震災の被災資料への対応が終わらぬうちに、新たな被災資料への対応の必要が生じました。つくば市北条地区を通過した竜巻は、局地的にですが、建造物に非常に大きな被害をもたらし、その中に所蔵される歴史資料についても大きな被害が予想されます。今後、この確認調査で得られた知見を広く配信し、地元自治体、地域住民、他団体と協力しながら、文化財・歴史資料の保全に努めなければなりません。
また、周知の古文書が流出の危機に瀕しています。しかし、所蔵者にとっては、ライフラインの復旧・瓦礫の撤去等、生活復旧が最優先の課題です。生活が落ち着いて、その後にようやく歴史資料の保護など、違った場所に目を向けられるのでしょう。今後、早過ぎず、遅過ぎず、このタイミングを慎重に見極めつつ、今回把握した所蔵者のもとへ、再訪しようと思います。
北条地区のみならず、竜巻が発生した地点とされる常総市大沢新田から、北条地区へ至るまでの地域にも、当然ながら被害は出ています。この間には、水守・山木などの旧集落が所在し、今後はこれらの地域への確認調査も必要になるでしょう。さらに、被害が報告されている常陸大宮市・桜川市などでの文化財・歴史資料被害に関しても、確認を急がねばなりません。これらの地域に関しても、広く、情報提供を呼び掛けたいと思います。
最後になりますが、今回の竜巻被害による被災地の、一刻も早い復興を願っております。
                             (2012年5月8日記)



この記事に

開く コメント(0)

[ すべて表示 ]


.


みんなの更新記事