「クズ」になる薬 by 細谷 知司

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新幹線徒然

年度末の三連休、最終日の新幹線は非常に混んでいた。
大体いつも新大阪終点の自由席に乗るのだが、名古屋まで立っている乗客が多かった。
旅行、結婚式、ビジネス、服装や荷物から何となく目的の見当をつける。
それぞれに、それぞれの新幹線が在る。
そうした偶然の重なりが、ひどく不思議な感じがした。

本を読み始めるとすぐに睡魔に襲われた。
しかし、席を求めて急ぎ通り過ぎる人々の荷物が何度も肩先に当たり、その度に目が覚める。
名古屋手前で眠るのを諦め、再び読書に戻るが眠りはもう訪れなかった。
腹を立てても仕方ないと割り切りつつ、名古屋を過ぎ混雑も解消してやっと少しだけ落ち着いた。
そういえば、通路側の席に座るのが実に久しぶりだった。

10年ほど前、月の半分から2/3を出張で過ごす生活を送っていた。
もちろん新幹線だけを利用していたわけではないが、帰省でしか使わない今とは全く比べ物にならない。
実験用のマウスが高速移動をする乗り物の実験に用いられて死んだニュースをいつも思い浮かべていた。
始めのうちこそ楽しくて宿泊を選んでいたが、やがて宿泊できる場合でも無理に日帰りするようになった。
自宅の布団で眠りたかったからだ。

今はすっかりデスクワークが中心の生活を送っている。
経費精算がルーティンからなくなって久しいが、頭の片隅には今も精算に負われた日々の記憶が残っている。
高速移動は疲れる。
しかし、一日中椅子に座っている生活も肩が凝って仕方がない。
もう何年も今のような仕事をしているのに、一向に慣れる気配が訪れない。

少し遡って金曜日の東京行きの新幹線。
たまたま隣り合わせた若者が、席に座るとすぐにパソコンを取り出し、一生懸命何かを確認していた。
そこまで緊急の仕事ばかりではさぞかし疲れるだろうと思ったが、もちろん余計なお世話に過ぎない。
私はその横で、少しだけ酒を飲み、本を読み、そしてわずかに眠った。
人に人生ありとまで言わなくても、新幹線にも様々な乗り方がある。
想いを取り出して見ることはできないが、想像を巡らせるだけでもささやかな時間潰しにはなる。


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