朝日ソノラマ航空戦史シリーズ『本土防空戦』渡辺洋二著
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今回読破したのは、太平洋戦争中の日本陸海軍機に関して多くの著作がある渡辺洋二氏著の『本土防空戦』です。
本土防空戦といえば、太平洋戦争末期、マリアナ諸島から飛来する超大型重爆撃機「ボーイングB-29 スーパーフォートレス」やアメリカ海軍航空母艦より飛び立つ艦載機を迎撃するため、帝都上空を守る陸軍の飛行第二四四戦隊や、横須賀上空を守る夜間戦闘機「月光」装備の海軍第三〇二航空隊、北九州上空防衛に任じた小月の陸軍飛行第四戦隊、四国松山に展開する海軍第三四三航空隊等が有名です。これら陸海軍航空隊とアメリカ陸海軍航空隊との熾烈な攻防戦を取り上げたのが本書です。
本土防空戦に関する通史的な著作物は防衛庁防衛研修所戦史室の『本土防空作戦』が有名ですが、この著作はやや専門的なものであり、これをより読みやすくしたのが渡辺氏の著作である本書であります。渡辺氏の著作の特徴は、一次史料やアメリカ側の史料を駆使しつつ、当時の戦闘体験者たちへの証言聞き取り調査、さらにそれを裏付けるといった作業を手を抜くことなくやりつつ、読み手が読みやすい文章で書いている点です。これは他の渡辺氏の著作物に共通する事柄であり、証言者の証言を尊重しつつも、アメリカ側の記録と照らし合わせての正確な戦闘結果を書いている点では、評価できると思います。
本土防空戦に興味がある方の入門書としてはとてもいい本であるとは思います。
『朝日ソノラマ航空戦史シリーズ 本土防空戦』
著者:渡辺洋二
出版社:朝日ソノラマ
初版:昭和57年5月25日
ページ数:366ページ
価格:580円 |


三四三空の戦果も米軍側資料を見るとかなり誇大だったようですね。
坂井三郎中尉の回想でもベテランパイロットはそんなに居なかったようで稼働機より故障機のほうが多かったらしいです。
2012/2/12(日) 午後 10:05
虎巨人様
こと空中戦に関しては、日米双方ともに、戦果報告は誇大に報告されております。これはある程度は致し方ないようです。
三四三空に限らず、本土防空任務についていた陸海軍航空部隊にはすでに歴戦のパイロットというのは少なくなっており、太平洋戦争開戦前後に航空部隊へ配属になったパイロットの生き残りが少人数、ベテランと称されていたようです。それくらい、航空消耗戦が激しかったということでしょう。
ちなみに、北九州防空戦で名を馳せた。陸軍の飛行第四戦隊は、B-29キラーの樫出勇中尉以外は実戦経験がなかったそうです(樫出勇中尉は一応、昭和十四年のノモンハン事件で空戦を経験したのですが、それですらすでに五年前の出来事ですから・・・)。
2012/2/12(日) 午後 11:51 [ へたれ海軍史研究家 ]
日本陸海軍機の稼働率の低さは工業力の差でしょうね。いくら試作機で優秀な発動機や機体を作っても、いざ量産となると品質が悪くなる・・・これは太平洋戦争中期以降とくに顕著となるのですが、その原因は、工作機械の不足、熟練工の徴兵による出征とそれを補うための学生勤労隊の飛行機製作による欠陥品の発生、陸海軍上層部の縄張り争いと見通しの甘さ、部品の材質悪化、燃料・潤滑油の低質化等があります。アメリカも似たような事例があったのですが、技術的なものや物質的なもので日本を上回っていたので、日本よりは稼働率や故障率は低かったようですが・・・それでも、アメリカ軍でも決して少なくはない故障機や欠陥機はあったようですよ?
2012/2/12(日) 午後 11:51 [ へたれ海軍史研究家 ]