「蛇衆」矢野隆
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「蛇衆」矢野隆(2009)☆☆☆★★[2009061] ※[913]、国内、小説、近世、時代劇、傭兵、侍、室町時代、家、第21回小説すばる新人賞、ライトノベル、アクション あれ?「小説すばる新人賞」って、こんな感じの作品を選ぶ文学賞だっけ?本書を読んでいる最中、なんとも形容しがたい違和感がつきまとった。 「小説すばる新人賞」は、わりと相性のよい文学賞として、先般、この文学賞に絡む作品についての自分が書いたレビューリスト[ http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/57591677.html ]を作成してみた。 一覧で見る限り、この賞、特段これと決まった特徴を持つ作品が並ぶわけでなく、しいて共通の特徴を挙げるならば、いわゆる文芸、ないし文芸に近い読み物のいったところか? 本書は「魚神」[ http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/57610668.html ]と同時に第21回の受賞を果たした作品。図書館のリストで「魚神」「蛇衆」とふたつのタイトルが並んだとき、ぼくが期待したのは伝奇のような小説であった。しかしふたつの作品とも想像というか、期待と違う作品であった。正直に言えば、がっかりした。「魚神」についてはそちらの作品のレビューを見てもらうとしても、まだこの賞らしさがどこか残っている。しかし本書はただのラノベでしかない。無残。 室町末期、各地の戦で力をふるい、恐れられていた傭兵集団「蛇衆」。頭目・朽縄ら6人は、そのときどきの雇い主のもとに赴き、銭を得ている。 一方、九州の鷲尾領では、当主・鷲尾嶬嶄の2人の息子が、家臣らを巻き込み、激しい家督争いを繰り広げていた。 「蛇衆」が鷲尾家に雇われ、めざましい働きをみせた戦が終わり――――。 朽縄が、30年前に死んだとされる嶬嶄の嫡男ではないか?という噂が、どこからともなく囁かれるようになる・・・。(オビあらすじより) あらすじはオビより引用。内容は概ね正しい。しかし当主・嶬嶄の2人の息子の家督争いは激しくなったのは作品の後半であり、それまでは父親である現在の当主・嶬嶄の出方待ちというところで、ちょっと伝えるニュアンスが違う。また傭兵集団「蛇衆」も、それぞれ独自の武器を持ち、6人ひとりひとりが人間技とは思えないすさまじい戦闘能力を見せるというあたりも、あらすじに欲しいところか?もっとも結果的に、6人のひとりひとりが人間としてきちんと書かれたかといえば甚だ疑問であり、そういう意味で女性ひとりを含む彼らが、「蛇衆」という集団でくくられてしまうものまた、ひとつの正解かもしてない。 戦国の戦場(いくさば)を舞台にしたアクション・ゲームのような作品。敵兵を殺戮する描写は痛快。爽快とさえいる。しかしそれだけしかない。侍を頂点とした身分格差が出来あがっていく時代に於いて、そうした社会制度からはみ出した、「はみ出し者」としての「蛇衆」の存在を、形だけ描こうとうするが、深みがない。6人の設定もそれぞれにきちんとあるのだが、それが作品に生かされたといえない。ゲームの操作説明書に、登場人物紹介が書かれているが、それに似ている。そこに来歴が書かれていても、どれだけのゲーマーがそれをプレイするキャラクターの下地として捕らえるだろう。 30年前の事件に端を発する本書の物語は、マンガやゲームに見られるような、ありふれた父と子の呪われた血の運命と、はみ出し者がユートピアを夢見ることだけで終わる。仲間達の性格、行動を含む人物設定もどこかで見たことのあるステレオタイプなそれだけ。それ以上の深みがない。勿論、ステレオタイプを深読みすれば、はみ出して生きていかざるを得なかった彼らの哀しさを、読者が過去読み、あるいは見、知った物語と重ね合わせ読み取ることもできる。しかしそれを本末転倒だ。作家はそれを自分の作品で描き、読者に読み取らせることが仕事だ。 昨今の、ゲームやアニメの影響かもしれないが、魅力ある事物や、言葉を選ぶこと、読みやすいという意味での文章的なセンス、このふたつをこの作家に感じる。(もっとも昨今の小説の読みやすさが、会話主体ということに拠るということが、この作品にも当て嵌まるが、。)ならば問題は肝心の物語作りだ。読者に自分が伝えたいものをもっと深く掘り下げ、何を伝えたいか、どのように伝えるかにもっと留意すべきだろう。 本書を単純な読み物として楽しむぶんには問題はないのかもしれない。しかし他のラノベ新人賞でなく、先に触れた文芸的な要素を含む「小説すばる新人賞」に応募した作品ならば、もう少しが欲しい。いや、もっとが欲しい。 前年の同賞の受賞作「桃山ビート・トライブ」(天野純希)[ http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/56603723.html ]も 同様な雰囲気を持っていた。しかし「桃山〜」の場合、作品が訴える何かより、それを伝える手段として用いたロックの描写に不満を持った。対して本書は、対照的に、訴える何かが大きく不足している。 どちらを買うと問われれば、ぼくは「桃山ビート・トライブ」のほうを、まだ買うだろう。 |
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『蛇衆』 矢野隆
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2009/10/14(水) 午後 11:29 [ 本読みの記録 ]

蛇衆 読みました!
あっという間に読み終え。
最後には爽快感が残りました。
TBさせてきださい。
2009/6/30(火) 午後 8:33
たしかに終盤はどこか流行の戦国アクションゲームのような雰囲気がありましたよね、規定枚数のせいか後半はどうしても物足りない、展開が早すぎてなにかが抜けているといった印象を受けた作品でした^^;TBさせてください。
2009/7/7(火) 午後 9:50