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2011年9月の読書メーター

2011年9月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2933ページ
ナイス数:56ナイス

■RDG4 レッドデータガール 世界遺産の少女 (カドカワ銀のさじシリーズ)
最初の巻の頃の作品世界観の説明的な描写に比べれば、物語として読む分にはとても読みやすくなった。しかし一方、この作品の設定があまりにマンガ的であり、本格ファンタジーを読んでいるというより、薄っぺらいラノベファンタジーを読んでいるに過ぎないという感じが離れない。勿論、こういう年頃だから恋愛も大切な要素だし、主人公たちの戸惑いや逡巡もリアルなのだが・・。世界を揺るがすような大きな要素が、ある年代の人物たちにのみ関わり、それがひとつの学園に集まるってことにどうしても違和感を覚える。俺もここで打ち止めか?
読了日:09月30日 著者:荻原 規子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13713804

■恋の病は食前に
惚れっぽく、すぐ一目惚れしちゃう料理評論家、草刈春男を狂言回しに、彼と関わる人々の姿を「B級グルメ」食品と絡めて書く、連作短編集。ただし連作ではあるが、一冊でひとつの物語を作るものではない。正直、言って、薄く、中途半端な作品。せっかく、B級グルメや料理評論家をモチーフに持ってきているのに、それを深く書きこまないし、奥田英朗の伊良部先生を思い起こさせる、料理評論家の奇人ぶりも物足りない。軽く、くすくす笑いながら読む分にはいいのかもしれないが、この作家に期待する「料理」要素も、物語も不満を残す。頑張って欲しい
読了日:09月30日 著者:拓未 司
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13713727

■畦と銃
ミナギと呼ばれる田園風景の広がる土地。そこは農業、林業、畜産業を営む第一次産業従事者が住まう地。荒くれで、銃が飛び出すような素朴な暴力的でパワフルな土地に起きる幾つかの事件。真藤順丈という作家は「地図男」で古川日出男の亜流を見、その後「庵堂三兄弟の聖職」には王城舞太郎を見た気がしてちょっとどうかと思っていたが気になる作家だ。本作はそのふたつがうまく融合し、なかなか読ませる「物語」になっていた。3つの物語を最後のエピローグでうまくまとめた。とにかく「銃」の存在は強烈。オススメ作品。
読了日:09月30日 著者:真藤 順丈
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13713547

■刑事のまなざし
薬丸岳はデビュー作を頂点にどんどんフツーの読み物作家へ転がり落ちている気がする。自身の娘を襲った悲劇をきっかけに少年鑑別所の法務技官から刑事へと職を転じた主人公、夏目。幾つかの事件を通し、明かされていくのは・・。この作家が書き続けるのは、法律が裁いたことですべては決して終わらないことであり、また人の哀しい現実。各短編はそれぞれ決して気持ちのよい読後感を与えてはくれず、考えるべき問題を提起していく。しかし作品の問題は、提起する問題がありがちなもので終わり、深みに欠けていること。もっと深くえぐり、書くべきだ。
読了日:09月24日 著者:薬丸 岳
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13586295

■ARAKURE あらくれ (ハヤカワ・ミステリワールド)
ま、タイトルからもエンターティメントしか期待できないのだが、見事に何もないからっぽな娯楽小説だった。幕末の時代、ひょんなことから拳銃、ライフルを手に入れた主人公たちが賭場を襲うケチな強盗から、いつの間にか弱気者の味方となる、あぁ、あのパターンね、の<股旅ウェスタン>。予想通りの物語の展開が、ラストまで驚かせるものが何もなく進む。読み終われば「あぁ、面白かった」だけの作品。飽きなく読ませるという意味では悪くない。しかしハードカバーの価値はない。
読了日:09月23日 著者:矢作 俊彦,司城 志朗
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13579449

■勝手にふるえてろ
女流作家としては割と好んで読んできた作家だが、どうもだんだんフツーの女流作家作品を書くようになってしまった感がある。26歳の処女OLである主人公の大人になりきれない姿が、彼女に行為を寄せる自己中心的な男性の姿とともに、どうにも共感できないまま、最後まで読み進めてしまった。そしてラストでは唖然。たぶんこの主人公がアラフォーで同じ設定だったなら、まだ共感が湧くと思うのだが、26歳の女性でこの妥協はたまらない。物語中盤までの主人公の観察力は、この作家ならではのものを感じたが、一冊の作品としては評価できない。
読了日:09月23日 著者:綿矢 りさ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13579337

■ギャングエイジ
新学期の始まる4月間近、急に教員に採用された主人公は、ギャングエイジと呼ばれる年代、小学校3年生のクラス担任を任される。この学年、実は前年、あるクラス担任が失踪してしまういわくつきの学年だった。新人教師である主人公は無事、担任を務めきれるのだろうか?ごく普通の青年でしかない主人公の様子を、都合のよいお話しにせず、リアリティーのある物語として川端裕人は書く。しかしそのリアルは、いわゆる物語を、盛り上がりを欠くものにしてしまった。一方、一部ちょっと都合よいところもありちぐはぐも少し感じる。残念、もう少し。
読了日:09月23日 著者:川端 裕人
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13579142

■馬たちよ、それでも光は無垢で
福島出身のこの作家が、あの東北を舞台にした一大巨編「聖家族」をその底に起き、311で荒廃した福島に自ら赴き、感じたことを文章にした作品。正直、理解したとか、心に響いたという気分にはならないが、あぁ、この作家は「感じた」んだなということがびんびん響いてくる。それは良いとか悪いとかではない。今、このとき(丁度911とあの震災より半年以内)に読めたことはとてもよかった。ただ先に述べた通り、客観的な評価とは遠い、主観の叙述作品なのかもしれない。
読了日:09月11日 著者:古川 日出男
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13328005

■GF(ガールズファイト)
戦う女性をテーマにした5編の短編小説集。最初の物語の女性が30代ではあるが、タイトルどおり「女の子」の物語といえなくない。しかしなんというかとても御行儀良く収まってしまった。従来の久保寺健彦作品にあった、よきにせよ悪しきにせよヘンではじけた部分がまったくない。だれが書いたのかわからない。たぶん一般的に好感度を持って受け入れられる作品だろうが、その分個性というかクセがなく、あとに残らない気がする。最近の「女の子頑張れ」の流行に乗っただけの作品にしか見えないのが残念。この作家にはもっと頑張って欲しい。
読了日:09月05日 著者:久保寺 健彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13216694

■モーダルな事象 (本格ミステリ・マスターズ)
続編より先に読みたかったが、果たして続編を先に読んでしまった。だが本書を先に読むと、続編は肩すかしかも。とある事件に巻き込まれた大学助教授。その大学助教授を中心に描かれる物語と、事件に少し関わった「元夫婦の」二人の探偵よろしく謎を追い求める物語のふたつの流れから成るスタイル。饒舌な無駄話。しかし無駄と思わせず、読書をした気分にしてくれる。でも、振り返ればやはり無駄か(苦笑)。時空を超えるミステリィもも良い。同じ作家の別の作品(やはり時空を超えるミステリィ)に登場するフォギーの登場も嬉しい。
読了日:09月05日 著者:奥泉 光
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13216590


▼2011年9月の読書メーターまとめ詳細
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2011年8月の読書メーター

2011年8月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3398ページ
ナイス数:79ナイス

■栄冠を君に
好きな作家のひとりだが今回は不満。ネタバレにならない程度に作品を紹介すると「ある高校球児が自分の夢を追うために、次々と手を染める犯罪」となるか。どんでん返し含めどこかで見たような設定であり、その既視感を吹き飛ばすような何かをこの作品に感じることができなかった。得意なジャンルのひとつ「野球」を題材に持ってきており、その部分の描写が魅力的なだけに、ミステリーパートが残念。ミステリー全般の詰めが甘い。主人公に徐々に迫る閉塞感ややるせなさを表現する、敢えて後味の悪い作品なのだろう。が、ただ後味が悪いだけになった。
読了日:08月31日 著者:水原 秀策
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13109270

■はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか
幅広いジャンルの小説で活躍するこの作家の作品を手にするのは久しぶり。映画「ブレードランナー」の原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」を彷彿させるタイトルに期待した。しかし悪くはないが、それほどでもなぁという感じの短篇(中編?)集であった。同じ作家の「絹の変容」や「アクアリム」を思い出させる内容の作品が並ぶ。全般的に手堅くまとめた印象の一冊であり、驚きがないのがとても残念。
読了日:08月31日 著者:篠田 節子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13109184

■魔女は甦る
「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」という青春音楽ミステリーでこの作家を評価していたら、実は全然毛色の違う、こんな作品も書けるんだぜといわんばかりのグロい表現をも兼ね備えたミステリー。ただし作家が書きたかったものが何かはっきりしない。魅力的になりそうな登場人物はあっさり退場し、事件の真犯人であるはずの巨悪への追求もウヤムヤで終わる。そういう「現実」というものの虚しさを描く作品でもないので、いろいろなものがバラまかれ過ぎて終わった印象しか持てない。当面、音楽青春ミステリーでいいんじゃない?
読了日:08月24日 著者:中山 七里
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12973012

■三人の賢者 (光文社文庫)
人に勧められて読んだが、正直に言ってどうしようもない作品。かつての全日空の社長交代劇をモチーフに、ある航空会社内の権力抗争といいうか、結局は現社長の悪あがきを書いただけの娯楽小説。ビジネス小説にすらなっておらず、モデルになった人物と、作品の登場人物を重ねあわせ読むだけのゴシップ小説とさえいえるかもしれない。ほんの少し前の作品のはずなのに、古臭いビジネス小説の作法で、無意味なセックス描写を交え、肝心の「仕事」は書かれることなく、ただ権力に執着する人の姿をのみ描かれても、どうしようもない。
読了日:08月24日 著者:清水 一行
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12972867

■大人の流儀
この人について何も知らず、ただその綺麗過ぎる名前も含めいい印象を持っていなかった。ところが学生の頃、父親が買ってきた週刊誌に掲載されたエッセイをふと読み、このひとの漢(おとこ)らしさにいつしか惹かれていた。放置状態で申し訳ないが某SNSではこのひとのコミュの管理人もしている。久々に読んだこのひとのエッセイはやはり好きだ。大人の世界の決して合理ではない理不尽も、そういうものだと教え諭す。すべてを頷いて読むわけではない。しかし「大人の男」かくあるべしと思わされる。まだまだ、大人には遠いなぁ・・。
読了日:08月18日 著者:伊集院 静
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12854534

■ある少女にまつわる殺人の告白
タイトルで想起される「湊かなえ」の作品ばりの、事件の関係者から集めた語りで進められる幼児虐待事件の真相を明かす物語。DVというテーマが苦手なせいもあるが、いまこの時期に敢えて「湊かなえ」にかぶるこの作品は何なんだ?なぜ読んだのか不思議に思ったら、宝島社の「このミス!」大賞関連の作品だった。あとがきで無理矢理褒めちぎるのが「このミス!」大賞優秀賞の倣いだが、その例に漏れず。引用された大賞時の選評がこの作品の弱点を見事に突く。亜紀の本当の姿ももありがちな姿、かつ描ききれていない。あまり評価できない作品。
読了日:08月16日 著者:佐藤 青南
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12820301

■片思いレシピ
柚木草平シリーズって、実はこんなに出ていたの?本書巻末の作家作品広告を見て、びっくり。樋口有介は割と読んできたつもりだったのに。本書はその柚木草平シリーズの番外編、柚木の娘、加奈子を語り手に置き、彼女の通う塾で起こった講師殺人事件を描く。最近、こういう本、多い気がするんだけど、これもまた樋口有介という作家のファンにしか読み切れない一冊。得意のユーモアミステリー(ハードボイルド)に走るどころか、なかなかドロドロな真相とあまりに都合よく解き明かされる謎ににファン以外は鼻白む。でも嫌いじゃない。ファンなので。
読了日:08月15日 著者:樋口 有介
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12807350

■月は怒らない
「クレージーヘブン」をちょっと明るい感じにしたような作風の作品。最近のリストラ物の軽い読み物よりは以前の垣根涼介の作品に近く、嫌いではなかった。もっともあの頃のノワール作品が好きなわけではない。本書は、なんとなく理解できる現実にあるかもしれない女ひとりと男三人の関係。しかし本来、書かれるべき女性の心情がきちんと説明されないのでなんとなく不完全燃焼的な読後感。あからさまに書くことを避けた作品ということは頭では理解できるが、もう少し説明が欲しかった。しかしこんな女性に出会いたいような、出会いたくないような・・
読了日:08月10日 著者:垣根 涼介
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12711462

■札幌方面中央警察南支署 誇りあれ
「誉れあれ」[ http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/folder/311826.html ]の続編。放置ブログに前書あらすじを書いておいてよかった。前作同様、坦々と描かれる警察小説。しかしその芯に中途半端にファンタジーがあり、それが淡々とした作品に違和感を与える。前作と比べると、名無しの探偵ほどのグダグダ感はないがちょっとグダグダしている。東直己好きにはお馴染みとなったグダグダ感だが、いわゆる東直己的作品でないため、やはり全般的に中途半端な印象。続くと味になるのか?
読了日:08月10日 著者:東 直己
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12711389

■桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
前書に「モーダルな事象」があり、本書前に読もうと図書館に予約したが、結局、本書読了後に図書館から連絡が来た。・・というエピソードがとても似合うヘタレな主人公の生活が語られる本書。一応、日常の謎系ミステリーなんだろうけど、ヘタレな大学准教授の大学生活がだらだら描かれる作品と紹介するほうが当たっている。表紙イラストと作品内容のギャップも逆に楽しめちゃう。クワコーもバス車掌姿の彼女の姿も絶対嘘だ(笑。奥泉光は「鳥類学者のファンタジア」を読んだきりだが、いったいどんな作家なんだ?いや、全然楽しい作品でした。
読了日:08月04日 著者:奥泉 光
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12602367

■まほろ駅前番外地
「まほろ駅前多田便利軒」http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/49956903.html の続編。エッセイが嫌いだったが、この作家の「小説」として初めて前書を読み、悪くない印象を持った。幾つか読んだこの作家の作品はうまく、悪くない、しかしそれほど良くもない、そんな印象。本書はしかし予想される「普通の小説」ではない、ありのままの主人公たちの生活が描かれるだけ。当初、あれ?と思ったが、読み進めてみてちょっと良い。前書に抱いた違和感もなく、よい印象。続編が読みたくなった。
読了日:08月03日 著者:三浦 しをん
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12587927


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2011年7月の読書メーター

2011年7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1801ページ

「私たち、今、会えるアイドル。週末ヒロイン」なる少女アイドルグループに年齢も省みず夢中になり、イベント等に精力的に参加した結果、成績が下がってしまった中高生男子みたいな典型的な実例(苦笑)
大した作品(と書くと少し語弊があるが)を読んでいる訳でもないのに、6冊しか読んでいないってなんだ?別に読書は趣味なんだけど、ちょっとなぁ・・。

それでも「ももいろクローバーZ」は、本当にけれんたっぷりの異色アイドルで、目が離せない(笑)。

■忍び外伝
時代小説としては(もしかして)うまいのかもしれないが、実際、物語の何が語られたのが不明。キャラクター紹介で終わったような作品。毛色のまったく違う「このミス」大賞受賞作も、評判ほどピンとこなかったので、作家と合わないのかもしれない。 信長が登場する意味も結局、不明だし、主人公に育てられた(あ、もう名前忘れてる)女忍者も、その育てられ方含めて中途半端。ダークファンタジーっぽい雰囲気は悪くないが、活かしきれたとはいえまい。
読了日:07月29日 著者:乾 緑郎
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12495917

■Rの家
伊坂幸太郎オススメ作家作品として、この作家の作品を読み進めているうちの一冊。正直にいうと、シーン毎に、すげえカッコいいんだけど、全体を通すと何だったのかがよくわからない作品。引き込まれず、だらだらと読んだのが敗因かもしれない。一気に読んだら、また別の感想があったのかも。先に呼んでしまった遺作「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」に本書が描いてあったかな。読む順番としてはやはりこちらが先だろう。なお現在、本書は「ロビンソンの家」に改題されているらしい。
読了日:07月27日 著者:打海 文三
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12457581

■太陽がイッパイいっぱい
すっかり忘れ去られた自分の読書ブログを始めた頃、話題になっていた作品。今更読んでみたものの、おもしろくはあるがエンターティメント小説のおもしろさだけの作品。それ以上はない。それが悪いということはないのだけれど、後に残るものはない。無理やり深読みすれば、なんか出てくるのかもしれないけれど、そりゃぁ作品に好意的すぎる。イマドキの若者らしからぬ、しかしイマドキの若者の物語。楽しく読む、それだけで充分な、佳作作品。この後に続く作品「厭世フレーバー」「イレギュラー」「タチコギ」も、そういう作品。
読了日:07月27日 著者:三羽 省吾
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12457543

■七つの海を照らす星
先に続編にあたる「アルバトロスは羽ばたかない」を読んでしまったが、まったく問題はなかった。7編の短編からなる連作短編。最終譚は、少し強引にまとめすぎた感があったが、続巻同様、温かなまなざしを感じる作品であり非常に好感を覚えた。ミステリー自体がそれほど強い作品でないので、もう少し子どもたちと主人公のつながりや生活も描いてほしいし、また人物ももっと深く書いてほしいと思う。しかしそれは贅沢な注文なのかもしれない。まさかの続巻の終わりはあれど、再度、このシリーズが続くことを期待する。
読了日:07月14日 著者:七河 迦南
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12231729

■半端者(はんぱもん)―ススキノ探偵シリーズ (ハヤカワ文庫JA)
映画化されるススキノ探偵シリーズの承前譚。名無しの探偵の若き、北大時代の話。このシリーズのファンなのですごくいい感じに読めたが、しかし今秋公開される映画を契機に読み始める人にどうだろう。グダグダになってしまった感のある今のシリーズをこそ愛しているファンにのみ楽しめそうな気がする。大きな事件が起こるわけでない、若い頃の名無しの姿が生き生きと描かれることを楽しめるか、否かで作品の評価は変わるだろう。ところで映画は、作家があとがきで語る言葉を噛み締め、原作と別物の「映画」として楽しもうかな?イメージ違うんだけど
読了日:07月13日 著者:東 直己
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12211662

■ドリーミング・オブ・ホーム&マザー
とりあえず書き終えたという意味では、遺作となる作品。伊坂幸太郎のエッセイの薦めで最近読み続けている打海文三であるが、ちょっとこの作品は全体的にちぐはぐな印象を覚えた。SARSが流行していた時期に読んでいたならもうすこししっくりきたのだろうか?主人公たち3人の人間の物語と、致死性の高い流行病の物語を同時に扱うことに無理を感じた。遺作でありながら、残念なことに今まで読んできた同じ作家の作品のなかでは一番、感心しないものとなってしまった。
読了日:07月13日 著者:打海 文三
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12211632


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2011年6月の読書メーター

2011年6月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3159ページ

今月は、ちょっと変だけどすげぇアイドル・ユニット「ももいろクローバーZ」に夢中になりすぎて(苦笑)、全然本が読めていないや。

■誰でもよかった
「交渉人」シリーズの五十嵐貴久が、新たな交渉人で作品を書いた。・・この作家、当たりハズレが大きいんだよね。この作品は断然、ハズレ。孤独な青年が起こした無差別殺人、犯人と交渉人の行き詰まる交渉・・のハズがすごく平板。ただの台詞まわしで進むだけなので、犯人にも交渉人にも感情移入ができない。最後のオチもあまりに安易で、同じ作家の「交渉人」シリーズを読んでいると、こんな貧弱な物語でいいのか、と怒りさえ覚えてくる。とにかく全般的に緻密さに欠け、また交渉人も交渉を全然していない。正直、駄作だ。
読了日:06月29日 著者:五十嵐 貴久
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11961681

■グッバイ・ヒーロー
バンドのメジャーデビューを目指し、大切なライブも間近に迫ったある日、立て篭もり事件の犯人から指名でピザの宅配を依頼されるフリーター、亮太。父親ゆずりなおせっかいな性格もあいまって事件に巻き込まれていく・・。ご都合主義的に物語が進んでいくところを、エンターティメント作品と割り切れるかどうかで作品の評価は変わる。ただしエンターティメントとしても、物語の骨格はよいが詰めは甘い。バンプ・オブ・チキンという現存の有名バンドを彷彿させる作品のなかのバンド名もいかがか?ほろっとさせるのはよいが深みが欲しい。
読了日:06月28日 著者:横関 大
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11946158

■されど修羅ゆく君は
伊坂幸太郎のエッセイをきっかけに精力的に読み出した作家。手当たり次第に読んでいたら、先日読んだ「愛と悔恨のカーニバル」へと続く作品だった。たまたま最近ハードボイルド作品づいているが、13歳の少女、戸川姫子、そして60歳の女探偵鈴木ウネ子はとても印象的。いわゆるハードボイルドらしい調子のよさはあるものの、ウネ子が姫子に最後に伝えるセリフですべてはOK。「あっという間に、姫子は匂い立つような女になるわ」「修羅場をいくつかくぐりなさい」「人生の修羅場は一種類しかないの」「失恋」くうう。
読了日:06月27日 著者:打海 文三
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11932279

■エンジン/ENGINE
冒頭謝辞「恩人T・K氏へ。この私に大藪春彦を目指しなさいなどと言ってくれたのは、後にも先にも彼だけだから」ですべて表されるような、暴力とセックスの、そう、往年の大藪春彦を彷彿させるようないまどきではないハードボイルド・ミステリー。たたみかけるような描写、会話で進む物語は345ページを感じさせず、あっという間に読み終えることができる。しかし評価はどうかといえば、たまに読む娯楽小説としては良い出来だが、今まで読んできたこの作家としては期待と違った。もはや、こういう救いのないハードボイルドはぼくには合わない。
読了日:06月23日 著者:矢作俊彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11871358

■純平、考え直せ
読みやすいが何も残らない薄っぺな作品なのか?盃さえまだ貰っていないチンピラ純平21歳。その純平が組の鉄砲玉に指名された。襲撃決行まで三日間。ネット掲示板では書き込みされた純平の決意が話題となり、様々な意見が書き込みされていく。そして決行の時間は近づいていく・・。たぶん映画作品として描かれた物語なら、もう少し何か余韻のようなものを感じられたのだと思う。しかし小説として本書をみた場合、予定調和には終わらなかったことをなんとか評価できても、ぶちりと終わる物語をどう評価してよいかわからない。まさに薄い作品。
読了日:06月20日 著者:奥田 英朗
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■ねむり
薄い本なのになんだかすごく読みにくかった。たぶん実質3日くらいかけて読んだ。売りのイラストがぼくには合わなかった。敢えて一作の短編のみを装丁を立派にして出版することもよくわからない。やはり短編でなく、長編小説のほうがぼくは好きだ。そんなことを変な風に思い出させてくれたが、それ以上にぼくには感じられなかった。悪くはない、とかすら言えない。
読了日:06月20日 著者:村上 春樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11821324

■お台場アイランドベイビー
近未来、大震災の影響で国力を落とした日本、その首都東京を舞台にする震災ストリートチルドレンに関わるある問題をテーマにした近未来ミステリー。「横溝正史」という作家を冠したミステリー文学賞とは違うのではと思う小説ではるが、充分読める。息子を失ったことで妻と別れ、刑事をも辞めた主人公がひとりの震災ストリートチルドレンと出会うことから物語が始まる。この子どもに関わる最後の種明かしが少し無理を感じたが、しかし、完成度は高い。次作が楽しみな新人の登場である。
読了日:06月15日 著者:伊与原 新
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■新徴組
新撰組、沖田総司の義兄、沖田林太郎を主人公とした物語。新撰組の中心となった天然理心流道場で近藤勇らと同門であった林太郎。しかし彼は近藤らとともに京都まで足を運んだものの、彼らとは別れ江戸で新徴組に組み入れられ、その中心人物の一人として生きたのだった。派手な新撰組の裏側に地味に、しかしその才能と思慮を発揮させた男の物語。もうひとつの幕末史として、とても楽しい読書ができた。しかし庄内藩は素晴らしい。以前、山形に住んでいたのでワクワクしました。西洋の領主、騎士と領民の姿が理想の姿として存在。
読了日:06月07日 著者:佐藤 賢一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11789575

■田舎の紳士服店のモデルの妻
評判がよかったかので図書館で予約して借りた作品。しかし女流作家作品にどうも食指が動かなくて放置してたら妻が先に読み、読んだか?読んだか?と。仕方なく読み始めたら、わぁ、なんというか専業主婦の日常生活にある閉塞感のリアリティを坦々と描いた作品だった。この作家は以前「スコーレNo.4」を読みちょっといい印象があった。しかしこの作品はちょっと困った。とても上手く、秀作だということは認めるが、女性読者には共感できる部分が多々あると思う。しかし男性のぼくにこれを突きつけられても困ってしまう。今回は上手さをのみ評価。
読了日:06月07日 著者:宮下 奈都
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■アルバトロスは羽ばたかない
少しネタバレになるが本書は叙述ミステリーのひとつ。その叙述トリックの確認をするために先月読んだばかりの本書を再読。やはり叙述トリックの部分は、叙述トリックにありがちな不自然さと都合のよさが否めない。とはいえ、それがこの作品のよさを削ぐものかといえば、そうではない。現在、図書館で予約中であるが、前作が未読であることがやはり悔やまれる。児童養護施設で、職員の本分を全うしようとする若いヒロインが魅力的。早く、戻っておいでと続く次作が心待ち。あ、その前に前作を読まなければ!
読了日:06月03日 著者:七河 迦南
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2011年5月の読書メーター

2011年5月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:4866ページ

■刑事さん、さようなら
かつて「青春ハードボイルドの雄」とこの作家を評し好んで読んできた。しかし最近のこの作家の方向が見えない。本書もそんな一冊。決して悪い小説ではない。現実というヤツがキレイごとだけでなく、こんな風に中途半端なのだということを、大人の作家が大人の語り口で書くことは、充分評価できる。しかしこの作品を誰かに薦められるかといえば、決してできない。同じように昔から好きな作家のひとり東直己の近作もそういうところがあるが、この作家の場合以前の作風と大きく違うところも困る。作家で読んでしまったが、はて、どう評価すべきか。
読了日:05月31日 著者:樋口 有介


■再会
久しぶりに「江戸川乱歩賞」を読んでみた。8年応募し続け、受賞、デビュー。しかしまたもや古臭いミステリーを読まされた。登場人物がそれぞれ交代で自分の心情をモノローグで語る形式。妙に読みにくい。またここで嘘をつかれる、というか、引っ張られるすぎると、こういうミステリーを好きな人はともかく、普通の読者は困ってしまう。確立されたスタイルのひとつだが、やはりこれもいまどきではない。登場人物の苗字も妙に凝りすぎで必然が不明。また、シリーズが期待できるほどでもない名探偵の登場もなんだか。息子の万引きも置き去りだ。
読了日:05月30日 著者:横関 大


■愛と悔恨のカーニバル
応化三部作以外読んでいなかった打海文三。伊坂幸太郎がエッセイで薦めていたので読んでみた「1972年のラウニーレイ」は大人の恋愛譚であった。続いて読んだ本書は「応化三部作」に似た、バイオレンスミステリーと呼べる暴力的な描写に溢れた作品。もし最初に読んだ本がこれだったら、たぶんぼくはこの作家を読まなかったと思う。応化三部作があり、「1972年のラウニーレイ」があり、そして読んだ本書はかっこいい。しかし血生ぐさにすこし辟易する。暗黙の了解というか、理解が多すぎるところも少し鼻白む。かっこいい小説ではあるのだが。
読了日:05月30日 著者:打海 文三


■ジーン・ワルツ
[バチスタ再読中]前回[ http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/53664978.html ]、丁度知人の産婦人科医のブログで本書のエピソードのひとつとなった福島県の産婦人科医逮捕事件に絡む記述を読んでいた。そのこともあり作家が作品で訴え続ける「主張」の強さに対して、物語はどうだろうと、この作家の作品に対するお馴染みのコメントでまとめていた。しかし再読してみると、印象は変わり、存外、物語としてもおもしろいことに気づいた。もっとも「主張」があればこその物語ではある。
読了日:05月24日 著者:海堂 尊


■げんしけん 二代目の壱(10) (アフタヌーンKC)
ヲタク男子の物語を描いたこれまでと一転、ヤヲイネタに勤しむ腐女子の物語となった「二代目」。敢えて10巻という形式で続けた狙いは理解できるが、腐女子がヲタ男子ほど一般読者に受けいれてもらえるかどうかが疑問。新キャラ加入もなかなか動いてくれないもどかしさも感じる。とりあえず、判断は保留。もっとも、かなり期待しているのではあるが・・。
読了日:05月24日 著者:木尾 士目


■シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)
相変わらず、上手い。そこは認める。しかし本作はなんか乗れなかった。キャラの人間関係を各エピソードで掘り下げるのはシリーズ2作目では、少し早い気がするし、またあまりに予定調和が過ぎるようにも感じた。もしかしたら、次でこのシリーズの完結を迎えるための、起承転結の「承」の巻で、三巻をまとめて読むとなかなかの作品になるのかもしれないが、現段階では少し不満が残った。しかし、各キャラが決してそれほど深みのある人間を描けているわけでないのに、それほど薄っぺらくなく、リアリティーを感じさせるのは流石。
読了日:05月24日 著者:有川 浩

■一九七二年のレイニー・ラウ (小学館文庫)
自身のエッセイ集で伊坂幸太郎が高く評価した作家の一人。かつて応化三部作、「ぼくが愛したゴウスト」は読んだがそれ以外の作品は読んでいない。伊坂のエッセイをきっかけに読んだ。打ちのめされた。格好いい大人の男の恋愛小説短編集。今のぼくには遠い世界。確かにこれはヤラれる。しかし少し距離を置いてみると、これは男にとって「都合のいい」物語なのかもしれない。そのことはこの作品の格好よさを貶めるものではないが、評価は分かれるだろう。そういう意味で本書もぼくにとっては得意でない恋愛小説のひとつなのかもしれない。
読了日:05月20日 著者:打海 文三


■カササギたちの四季
道尾秀介らしからぬ作品。どうした?道尾秀介?四篇の連作日常系ミステリーは、坂木司のそれのような雰囲気をまとい、しかし穴だらけの推理が展開される。ワトソン形式の語りながら、実は名探偵はホームズでなくワトソンだったというタイプのミステリー。しかしホームズの推理はともかく、ワトソン(本書では日暮)の推理もいただけない。最終話の少女の台詞「日暮さんがしっかりしないと」で、全体を多少まとめるが、いかんせん、詰めが甘すぎる。敢えて作家がこの甘さを狙ったのだとしても、個人的には評価できない。どうした?道尾秀介。
読了日:05月19日 著者:道尾秀介


■極北クレイマー
ずいぶん前に読んだ気がするが、2年前の作品だった。バチスタシリーズ再読で本書までたどり着いたが、前回の感想とあまり変わりはない[ http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/58080651.html ]。主人公の今中と、田口が重なる。舞台を極北市に変えたのは、夕張市をイメージし、作家の主張する現実にある「医療の死」をいろいろな角度から描いているのは理解できるが、いわゆる物語としての小説の魅力には残念ながら乏しい。最後に出てきた再生屋、世良の活躍する続きを早く読みたい。
読了日:05月19日 著者:海堂 尊


■アルバトロスは羽ばたかない
児童養護施設を舞台にした本格(?)ミステリー。苦手な「本格」タイプの作品であったが、派手さのない地道な、堅実に踏みしめるような描写に惹かれた。ただし登場人物の区別がつきにくく、あるいは普通の小説では使われないだろう「本格」的な言葉の遣われ方は、多少いまどきでの小説とは違う「古めかしさ」を感じさせた。一方、読者を欺く「本格」のトリックには唸らされた。久々にヤラれた。作品の分かり難さも「ミステリ」であることからすれば欠点ではないのかもしれない。もう一度、すぐに読み返したいと思わせられる作品だった。
読了日:05月16日 著者:七河 迦南


■戒
2年ぶりの再読。感想としては以前書いたふたつのブログと変わらないが、やっぱり何度読んでもおもしろいゾ!いまどきの映画とかアニメとかにならないかなぁ・・(小山歩「戒」http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/9185504.html 「戒」(再読)http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/57931556.html )
読了日:05月14日 著者:小山 歩


■イノセント・ゲリラの祝祭
海堂尊、というよりバチスタ・シリーズ再読の一環。久々に読んだがその感想は以前ブログに書いたもの[ http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/56154760.html ]と変わらない。いや、少し間を置き、本書の本質を理解した上での再読であったからよりわかりやすかったかもしれない。小説としてどうこうより、訴えたいことを小説にした作品。ところで今般の原発事故をテーマに、政府、東京電力の対応を海堂さんに小説で描いてもらったら面白いだろう。しかし大人にはバランスが必要だ。
読了日:05月09日 著者:海堂 尊


■かぐやひめの遺伝子 (エンタ・ミステリシリーズ)
しりあがり寿の表紙イラストは残念ながら本書の内容にそぐわない。遺伝子組み換えによるミトコンドリアが原因で・・は、そのまま「パラサイトイブ」(瀬名秀明)なのだが、それなりに読ませた作品。しかし終盤からの詰めは甘い。せっかくのいい素材を生かしきれず、なぁなぁで終わらせた感が強い。もう少し緻密に、中盤以降を描ききれば、なかなかな作品になったと思うだけに残念。最初のエピソードも物語になじんでいたといえず、ちりばめた伏線も回収しきれていない。いろいろ問題はある。しかし娯楽小説と割り切って読むぶんにはまぁ、いいか。
読了日:05月06日 著者:海野 真凛


■告解者
本作も「雪冤」「確信犯」(「罪火」もあるようだが未読)同様、古臭いタイプの社会派ミステリー。犯罪者の更正をテーマにしているが、残念ながら他の作品同様、底が浅い。丁寧な取材を基に、いたずらにエンターティメントとして扇情的にならないように抑えた描写を心がけているだろう作家の姿勢には好感は持てる。しかし、いかんせん作品に深みに不足しているのは致命的。少し良作の2時間ドラマと言ってしまうのは言いすぎか?物語全体の構成も定型の枠の中で驚きがない。もう少し各登場人物を掘り下げて書いて欲しい。
読了日:05月04日 著者:大門 剛明


■レヴォリューションNo.0
ゾンビーズ承前譚にして最終巻。おや?ハードカバー?と突っ込みたくなる。このシリーズはソフトカバーが似合う。(ってもしかして記憶違い?)。本書は簡単に言えばあっさりとうまくまとめただけの一冊かもしれない。上手いけど。ゾンビーズはIWGPと違った意味で「(男の子の)仲間」を意識させる青春小説。ある意味、承前に戻ってシリーズをきちんと終わらせたことはケジメなのかもしれない。本書一冊で高く評価することはしないが、シリーズとして客観的に面白く、ひとにオススメできる。個人的には「フライ、ダディ〜」が一番かな?
読了日:05月03日 著者:金城 一紀


■KIRICO@シブヤ
「アダマースの饗宴」もそうだったが「強い女」を書くことが作家は好きなんだろうな。本書は渋谷を舞台とした、ふたりのキリコ(霧子、希莉子)を中心に描く物語。個人的には嫌いでなく面白かった。しかし客観的には上手くないと感じた。まず主人公の「キリコ」という名前の必然に違和感を覚え、つぎに主人公ふたりがうまく絡んでないことが歯がゆい。全体の人物設定は悪くないが、もう少しリアリティーをもたせて物語を描いてほしかった。余談だが女子高生ヒロイン希莉子は、映画「ハイキックガール」の武田梨奈ちゃんを彷彿させた。
読了日:05月03日 著者:牧村 一人


■船上でチェロを弾く
久々に小説作家の書く楽しいエッセイを読んだ。スゴイことにこのエッセイはどこかに書き散らした駄文の寄せ集めではなく、書き下ろしなのだ。正直、この小説家は買っていなかった。しかし「船に乗れ」は楽しかったし、さらに本書はその「船に乗れ」を読んだあとでこその作品。作家の半生と、音楽との付き合いがひたすら語られるだけ。正直、クラッシック音楽と程遠いぼくには遠い作品のはずだ。しかし本書に書かれる音楽が知らなくても、理解できなくても充分、本書は面白い。大好きな音楽を書きたい、伝えたいという作家の熱意が伝わってくる。
読了日:05月03日 著者:藤谷 治


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