特養ホームの内部留保
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2011年10月8日(土) 全国の特養(特別養護老人ホーム)の内部留保が1兆円なのだという。特養に支払われる介護保険報酬は毎月約1,000兆円(2010年10月分で1,065億円であった)だから、約10か月分を保有していることになる。なぜそのような多額が必要なのか。
これについて特養ホームの事業者団体では、介護報酬の支払いが2か月後になるので、最低でも3〜4か月分のキャッシュフローを持たないと安定経営できないのだと言っているという。一応理屈は通っているように見えるが、釈然としない部分も残る。 収入と支出が基本的にバランスしているのだとすると、年度末に剰余金は残らないはずである。売上げの10月分(年収対比では83%になる)もの剰余が、なぜできたのかということだ。その答えが、毎年の新規剰余を順次積立ていたら、このような巨額になったということであれば、毎年利益が残る経営を繰り返していることになる。仮に10年がかりで溜め込んだのだとすれば、年間の利益率は単純計算で8.3%ということだ。異常に利益率といわざるを得ない。 特養の経営では、流行に後れて顧客がいなくなったため倒産のやむなしに至ったといったような経営リスクは、ほとんどない。よほどの悪評でも立たない限り、顧客は無尽蔵にいるのだ。高い利益率は、赤字への備えの意味がある。赤字の怖れがない事業分野では、大きな黒字は不要ではないか。予算どおりの事業ができ、人件費を含む経費を賄えていれば、経営としては成功のはずである。加えて社会福祉法人では利益配当という概念がないのだから、その意味でも高い利益率は不要というべきだ。 先に挙げたように、毎年黒字経営基調であるというのであれば、来年4月の介護報酬の改定では、引上げではなく、逆に引下げを考えるべきである。 このようにいうと、福祉施設の賃金は他産業に比べて低いため、「介護職員処遇改善交付金制度」が用意されている。来年度はそれが期限切れになるから、その代償の意味でも介護報酬の引上げが必要という意見が出るに違いない。しかし、職員の処遇の低さを補うため(月額で10万円程度違うとの説もある)に、上記の交付金を制度化したのがそもそもの間違い。賃金は経営と職員間の問題であり、介護報酬とは直接連動しない。他産業よりも低賃金に抑えておきながら、他産業よりも高い利益率を享受しているのでは、「なにをか言わん」であろう。交付金が廃止にあれば、内部留保を取り崩して賃金に回すのが最初にすべきことである。 次の論点としては、介護報酬の支払い時期までのつなぎキャッシュフローが必要という主張についてである。キャッシュフローは、ないよりはあったほうがいいに決まっているが、医療保険の診療報酬でやっている医療法人病院等の場合には、このキャッシュフローがないため、銀行や場合によっては高利貸しから短期の資金を借りたり、あるいは診療報酬債権を割引して売却したりしている事例が数え切れないという。それが正常な姿であるというつもりはないが、彼我の違いは大きすぎよう。 保険者(医療保険、介護保険を問わず)が支払いを2箇月先にする経済的必然性はない。保険料の収納時期以降であれば支払えるはずである。概算払いと清算払いを併用することで、支払い時期を早めることは可能であるはずだ。即刻の実施を求めたい。 |





