遅ればせながら、
工藤北斗講師による分析が
WEBアップされましたので、
「堅い」分析を読みたい方は、
私は、ある程度自由に、思いつくままに
書いていきます。
まず、民事系において、
科目の出題順が年によって
変わるのではないか、
という噂が一部にありましたが、
無難に、
第1問が民法、第2問が商法、
第3問が民事訴訟法、
という順序で、来年以降も、この順序で固定でしょう。
LECでは、答練で、一部、
順番を入れ替えた出題もしていましたが、
今年は、順番固定でいきます。
さて、第1問(民法)の中身です。
設問1が久しぶりに要件事実の理解が
関連する出題となりました。
(1)において、
無理やり要件事実の理解を示そうとすると、
FがEに対して、所有権を主張する際、
FとEとの間で「権利自白」が成立する
直近の時点は、
DとEの親であるCが死亡した1985年4月であり、
Fが主張する請求原因事実は、
①1985年4月時点でのC所有
②1985年4月にC死亡
③DはCの子
④1988年7月にD死亡
⑤BはDの子
⑥1990/11/15 BA間で売買
⑦2003/02/01 A死亡
⑧FはAの子
となります。
ここで、③の主張において、
Fは、DがCの唯一の相続人であったこと
まで立証する必要はなく(非のみ説)、
被告Eの側で、
自身もCの相続人である(EはCの子)旨、
立証責任を負います。
仮に、EがCの子であるのかが真偽不明であった場合、
Fは勝訴できる、という結果となります。
以上が、要件事実を無理やり検討した場合の
答案の流れですが、
このように書いた受験生はもちろん、
考えた受験生もいないでしょう。
問題文で「Cには子としてD及びEがいた」
と明記されている以上、
相続に関する「非のみ説」を検討する必要はなく、
端的に、
遺産分割前の共有状態の土地を、
相続人の一方が売却してしまった場合の帰結を
書けば十分でしょう。
なお、94条2項類推適用でF(というか、前主のA)
を保護できないか、という検討が
他社の分析では大展開されていますが、
登記名義がCである以上、
そもそも「外観」の要件を充たさないと考えるのが
自然だと思います。
私がこの問題を見て思いついたのは、
権利外観法理ではなく、
相続回復請求権の時効消滅を定める
884条が共同相続人間で適用されるか
という論点でした。
判例(最判昭53.12.20)では、
共同相続人の一方が他方の存在を否定して
相続財産を占有している場合には、
原則として884条は適用されないが、
他方の相続人を否定するだけの
合理的根拠(戸籍の記載等で、他方の相続権が
否定できる事情など)がある場合に限って
例外的に884条を適用できる、
という結論でした。
かなり強引な読み方になりますが、
1985年4月にCが死亡した後、
Dが甲土地を管理した際に、
Eの相続分についても自己の所有に属すると
Dが信じるための、何らかの根拠があった場合には、
884条が適用され、
5年経過した後の1990年9月頃には、
Eが甲土地の持分を主張することはできなくなっている、
という解釈は一応、可能だと思います。
ただ、これは思いついても、書かない方が無難ですね。
次に、(2)です。
そもそも、甲土地のうち、
もともとDの持分となっていた部分は、
何ら問題なく権利承継が認められます。
以下、時効取得を論じる必要があるのは、
C死亡後に、共同相続によってEの持分となった部分、です。
まず問題となるのは、
Fが時効取得を主張するにあたって、
DやBの占有をあわせて主張できるか、です。
DがEの持分部分を占有していたのは、
法律関係を外形的に観察する限り、
他主占有であったと解釈すべきです。
そして、Dから相続したBについても、
DEの共同相続を知っている以上、
「相続による他主占有から自主占有への転換」
を肯定することは困難だと思います。
(1)では、要件事実を無理やり検討する答案は
流れが悪い、と書きましたが、
(2)では、要件事実を正面から検討することが
出題意図ではないか、と思います。
すなわち、要件事実の世界では、
Fが、実際に起こった法律関係を
正直に主張することは期待されていないので、
以下のような請求原因事実を
主張することも許されるはずです
(DからBへの相続を無視するのです)。
①1988年7月 Bが甲土地の占有開始
②1990年11月15日時点 Bが甲土地占有
③同日 B→A 甲土地売買
④上記売買に基づき、Aは甲土地の占有開始
(正確には、Aの占有開始は11月20日)
⑤現在(2008年7月以降のいずれかの日) Aが甲土地占有
186条によって、自主占有は暫定事実となるので、
時効取得を否定したいEの側で、
Bの1988年7月当時の占有が他主占有であったことを
主張・立証する責任を負います。
したがって、BA間の売買の事実は、
FがBの自主占有を前提として、
Bの占有を出発点とした20年の占有を
主張する場合に、法律上の意義を有することになります。
設問2については、
混合寄託契約に関する事前知識を
受験生が知っていることは想定されていないので、
【別紙】の各条項の解釈から、
妥当な結論を導けば十分でしょう。
大前提として、「和風だし」2000個は
制限種類債権であること、
GとFが有していた共有持分権は
1000個ずつであること、
そして、
Gが引渡しを求めている時点では、
倉庫内には1000個しか存在せず、
残り1000個の引渡しは
社会通念上、不能である
(法的には、消滅したのと同じ)こと、
を述べましょう。
盗まれてしまった1000個
のうち500個分は
Gの持分部分であった、
という結論は
寄託契約書の第4条の合理的解釈から
当然に導かれるものであり、
Hとしては、
500個分のみGの引渡請求に応じ、
足りない分(500個)は
債務不履行責任としての
損害賠償で処理する旨、述べることになります。
最後に、設問3です。
予備校っぽい出題だな、というのが
第一印象です。
損害賠償の範囲として、
416条2項の解釈を論じるためには、
債務不履行を認めざるを得ず、
そうすると、
「おこわ」については無償寄託であることから、
施錠を忘れるのは、
「自己の財産に対するのと同一の注意」
の観点で見ても、注意義務違反になる、
という結論になります。
債務不履行の要件充足を検討したうえで、
損害の範囲の検討に入ります。
まず、通常損害としては、
「おこわ」500箱分の価値相当額
及び、Qへ販売できていたら得られたはずの利益額
の合計となります。
特別損害として、
仮にQ全店舗での販売ができていたとしたら
得られたはずの利益想定額
が認められるか、が
416条2項の解釈と関連して問題となります。
416条2項について、
通説の解釈を前提とすると、
債務不履行時(盗取時)である
平成24年1月24日時点で、
債務者Hが、
「本件履行不能(盗取)が無かったとすれば
Fが今後Qとの取引を拡大させて
大きな利益を得ることができたはず、
という事情」を予見可能だったか、
が問題となります。
ただ、FがQ全店舗で「おこわ」を販売できるかどうか、は
試験販売の評判がよいかどうか、
にかかっているのであって、
仮に、盗取されていなかったとしても、
Fが大きな利益を得ることができたか否かは
未確定であって、当然、Hの予見可能性も否定されます。
このように見てくると、事案14.の部分を
あまり強調しなくても、
単に、FがQとの取引を拡大できるかどうかは
未確定であった、という点さえ
説明できれば、
特別損害の賠償責任は否定されると思います。
特別損害に関する、予備校的な論証を
そのまま書くと、マイナス評価されるな、と感じました。
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