三毛猫はちょっとひいき目

猫と、花と、木と。。。。大好きでーす♪

ブラック★たま子

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猫さんの手術、そのあとで。。。

   
   
先日、猫さんの避妊手術を終えたときのことでした。


「わぁ〜〜♪かわい〜い♪見て見てぇ〜〜♪」


片付けをしている看護師さんがなんだかとってもはしゃいでいます。


「なに?どうしたの??」


「あ、先生、見てくださいこれ、かわいいでしょう〜?」



・・・・見ると手術に使っていた12センチ四方ほどの1枚のガーゼ。

うっすらと、赤い血が、偶然にも、『猫さんの足跡マーク』を描いて
いたのでした。


手術というと、特にメス猫の避妊手術といえばお腹を開けての手術になります
から、血がドバーっと出る、そんなイメージがあるかも知れませんが、
実際猫さんの避妊手術程度では出血はほとんどなく、小さなガーゼ1枚で
ほんの少しの血液をふき取るぐらいで済みます。


このときには、その1枚のガーゼにうっすらとしみ込んだ血液の模様が、なんとも
かわいらしい形を表していたということで。。。。


「わ、ほんと、かわいいね♪・・・あでもこれって、血だよね。」 笑


思わず可愛いと言ってしまいましたが、これっていわゆる血のりで描かれた模様と
いうわけで。推理ドラマのダイイングメッセージじゃないんだから〜><


・・・これを見て「可愛い♪」と言ってしまうところ、、、新人看護師さんたちも
相当この業界になじんできたものですな〜

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夏の風物詩

   
   
「ハエウジの季節ですね〜・・・」

「今年もそんな季節になりましたね〜・・・」

日本人は様々な美しい言葉で季節の移り変わりを表現してあいさつを交わすが
こんなあいさつは、あり?

「ハエウジ」

そう、わたし達の業界では、誰もが知ってる夏の初めのごあいさつ。

 * * * * *

わたしが動物病院に勤め始めて最初の夏。
年の頃は「24」という若々しく初々しかったあの頃。
見たこともない動物が運び込まれてきた。

上半身は、子猫。片手に乗るぐらいの小さな子猫だ。
そして下半身は・・・・・、何?これ、どうなってんの?ここのところ?

じっと見る。
わからない。

「院チョー!すみません、これ、わからないんですけどー!?」

呼ばれて入って来た院長は、ちょいっと子猫をつまみあげ

「あ、これ、ウジ!!すごいね、すぐに洗おう!!」


ガーーーーン


わたしが見ても見てもわからなかったモノ。それは子猫のおしりの周りに
鈴なりにぶら下がっていた、数百匹のウジ虫だったのだ!!

「ハエ」は、弱った動物の体に卵を産みつけていく。
特に危険度が高いのが、下痢をしている子猫のおしりの周り、なのである。

院長はすぐさま子猫を洗面台に連れて行き、そのままノミ取りシャンプーか
何かを振りかけて洗い始めた。

しかも、素手で。

その院長の姿を見てわたしは、「この人、すごい!!!」と感動したことを
憶えている。
わたしと5歳ぐらいしか歳が違わない、女性である。

わたしは何度も手を出しかけたが、(うぅ〜〜っ)となってしまって、
どうしても触ることができなかった。



「ハエウジ症」

というのは、教科書にも載っている内科学の一項目で、学生の頃に本でモノ黒の
写真か何かを見た記憶がある。
でもそんなかしこまった診断名を付けるまでもなく、いわゆる、体にウジが
たかってしまった状態、に他ならない。

教科書では知っていた。
でもほら、わたし、お嬢様育ちだったから〜(え?なにか?)・・・あんな、
うごめく白い塊は、実際想像の範囲を超えていたのだ。

 * * * * *

それからは、毎年夏の風物詩ともいえる「ハエウジ症」
まだ目の開かない子猫のまぶたの間や、耳の穴や、おへそや、化膿した皮膚の中や、
さまざまなところからウニョウニョと出てくるウジ虫を、どれっだけ退治したことか!
・・・ただし、しっかりとグローブをはめて。

幸いなことに発見さえ早ければ、ウジ虫を取り除き、保温や補液や抗生剤の投与や
給餌と言った手厚い看護によって、子猫は助かる場合がほとんどだ。


ただ、里親さんを探す時には、そこんとこだけはベールに包んで履歴をお話する
ことが多いですけどね、、、
だってやっぱりちょっと引くでしょ、一般飼い主さんの方々は。

「ウジ虫駆除済み」なんていうカルテ。

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貴婦人の恥じらい

   
   
ある日、美しくお上品な貴婦人が、しずしずと受付に現れた。

「あの、初めてなんですけれど・・・、ちょっとご相談がありまして・・・。」

うつむき加減な微笑みがまたお品がよい。

−−−「はい、どうなさいましたか〜?」 (にこっ)

「あの・・・、去年、お外のノラちゃんの子猫を拾いましてね、あんまり可愛いもの
 だから、家の中で飼い始めたんですの。」

−−−「ええ、そうですか〜。」 (にこっ)

「体に白が入ってなくて、トラ柄っていうんですか、こう、シマシマの。
 その猫ちゃんがね、とっても元気で、もうすっかり大きくなってきまして・・・。」

−−−「はい、そうですか〜。」 (にこっ)

「あの、そろそろあの・・・・ごにょごにょごにょ・・・・。」

−−−「はい?」 (にこっ)

「あの、そろそろあの・・・・・・を、・・・・と思いまして・・・。」

−−−「えーっと、はい?」 (にこっ)

「あの、・・・んを・・・・・りたいと、思いまして・・・。」

−−−「え?はい??」

「あの・・・、キンを、取りたいと思いまして!」 (きっぱり!!)

−−−

キンを、、、取る???

あっ!?

−−−「あの、きょ、去勢手術ですね!?」

貴婦人は(そうだわ!そんな言葉があったんだわ!)と気付いたようで、
はっとした顔で頬を赤らめ「そうです・・・」とうなづいた。


こんなに美しい貴婦人の口から、あんなお言葉を聞くことになろうとは・・・。

ただ、それでも「タマ」を略したところが、この美しい貴婦人の「大人の恥じらい」
と言うものでありましょう〜。

 * * * * *

これまで「去勢手術」と言う単語が出てこない人は多かったけれど、その場合
どちらかと言うと、タマを取る、という風に言うものなのだが、、、
「タマ」の方を略された方は、後にも先にも、この貴婦人だけだろうなー(^m^)

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野戦病院

   
   
必ずしも、最善の治療が施せるとは限らない。
飼い主さんの経済事情を最優先しなければならない時も、あるのだ。
この手術をすれば助かる見込みがあるのに・・・・、涙を呑まなければならない
こともあった。


わたしは職人でありたいと、常々思っている。
名医と呼ばれるより(呼ばれませんけど^^;)職人技!と言われたい。

だからやってしまうのだ!
麻酔など掛けてはいられない。施術者の危険も、猫の痛みも後回し。とにかく
切って!しまうのだ。

わたし達の間では、これを「野戦病院」と呼ぶ。

 * * * * *

腫れ上がった皮膚の下には大量の膿が溜まっていた。
手術をするか、その場で処置をするかで、診療費の「0」が1つ違ってしまう。

「これ、どうだろう、グサッとやっちゃえば結構いける(治る)かも知れないよね。」
 「そうですね、やってみましょうか。」
「押さえられる?」
 「はい、いけると思います!」
「そお・・・、じゃ、やっちゃおう!」

そして飼い主さんの方に向き直り

「ではやってみますね。皮膚を切開して膿を出してしまいます。
 これをやって治らなかったら仕方がない、麻酔をかけて本格的な手術をすることにしま
 しょう。・・・少し痛がって鳴くかも知れませんが大丈夫。
 待合室の方でお待ちください。」

手術器具とエリザベスカラーが用意され、保定要員が2〜3人素早く集まって来る。

みんな嫌いじゃないらしい。
こんなことを幾度となく共に乗り越えてきた信頼できる仲間達だ。
一旦「野戦病院」が始まると気持ちが高まり、不思議と連帯感が強まる。

バリカンで術野の毛が刈り取られ、エリザベスカラーをはめられた猫は、まるで
豚の丸焼のように四肢を押さえられる。
目にも留まらぬ速さですでに爪切りは済まされていた。

「じゃ、いきまーす。」

グサッ

「ニャーーーッ!!」

ドロドロと膿が流れ出る。

「はーい、痛くない痛くない。いい子ね〜、すぐに終わるからね〜、大丈夫大丈夫〜」
「はーい、ひどいねひどいね、もう何にもしないよ、膿が出て楽になったでしょう〜」
「あららら、もうちょーっとじっとできるかなぁ〜、そうそうそう、もうこれで
 終わりよ〜、何にもしてない、何にもしてないよ〜」

「はーい終わった〜!えらいね〜いい子だったね〜!」

押さえられた猫はこんな風に子供だましの優しい言葉をかけられながら、排膿した
傷の中をジャブジャブと生理食塩水で洗い流され、排液を促すドレーン(管)を皮膚に
縫い止められたり、してしまうのだ。

 * * * * *

わたしは職人でありたい。
大丈夫、わたしに任せて!何とかしますから!!と、そう飼い主さんに言いたい。
一度の治療で治らなかったら、ごめんなさい!今度はこの方法でやってみますから、と
堂々と言いたい。

最近の飼い主さんには、そういう「心意気」が通じない人多いのではないだろうか。
ペット医療に関する訴訟が増えている現実を知っているだけに、どうしても慎重第一
にならざるを得ないのが、わたし達の現状でもある。
トラブルは避けたい。


けれどわたし達の「野戦病院」はきっと、これからも幾度となく繰り返されていく
だろう。
なんてったって、みんな嫌いじゃないんだから。
生き生きしちゃって!

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開設日: 2008/4/14(月)


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