ミステリー 由利高原鉄道殺人事件 4
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由利高原鉄道殺人事件 (不定期連載 4)
著作 伊達 酔狂
禁 無断転載
2番線 割山峠
由利高原鉄道・鳥海山ろく線は、始発駅のJR羽後本荘から二つ目の子吉(こよし)から次ぎの鮎川(あゆかわ)にかけて、25パーミルという峠を越える。
パーミルは勾配率を示す単位で、パーセントが百分の一ベースなのに対して、パーミルは千分の一をベースにしている。つまり、25パーミルとは、1,000メートル進むと標高が25メートル高く(低く)なる ということを示しているのだ。勾配によって機関車等の出力を調節する必要があって、鉄道路線には不可欠な標示のひとつでもある。
割山と呼ばれる、その峠のサミットのあたりに小さな跨線橋が架かっている。軽自動車が一台通れるほどの小規模のものだが、欄干には、近くの集落名に由来する<福田橋>という名前が、崩れかかったような文字で書きつけられている。もとより、近隣の集落の人たちが田畑に向かう際に徒歩か耕運機で通る程度で、終日でも通りかかる人数は知れたものであろう。
峠の広葉樹が色付き始めた24日の昼少し前、束ねた萱を背負って山間から降りてきた初老の農婦が、福田橋の手前から少しそれた雑木林の片隅に奇妙な塊を見つけていた。枯れ枝と落ち葉を積み重ねたような状態で家畜用の干し草かとも思われのだが、こちら向きに足がはみ出ていたことから人間と分かり、農婦は腰を抜かしながらも、悲鳴とともに近くの部落会館に駆けこんだのだった。
(続く)
由利高原鉄道殺人事件 3
由利高原鉄道殺人事件 5
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