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[2006年3月30日 (VOL.39 NO.13) p.11]
PDの治療に期待を抱かせる
クレアチンとミノサイクリン
〔ワシントン〕 ロチェスター大学(ニューヨーク州ロチェスター)神経学・地域・予防医学のKarl Kieburtz教授は,米国立衛生研究所(NIH)が後援するパーキンソン病(PD)患者200例の臨床試験の結果,クレアチンと塩酸ミノサイクリンが大規模試験の対象として推奨できることを,世界パーキンソン会議で報告した。試験の詳細はNeurology(2006; 66: 664-671)に掲載された。
症状の進行を遅延する可能性
PDは脳の変性性疾患で,患者は進行性振戦,運動緩徐,筋硬直を示す。65歳以上の米国人の約 1 %が罹患し,L-ドーパなどの薬剤で症状を軽減できるが,進行性の機能低下を遅らせる治療薬はない。
NIHの 1 機関である米国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)は,PD臨床症状の進行を遅らせる可能性のある化合物を探索するため,NET-PD(パーキンソン病神経保護予備試験)というランダム化二重盲検小規模多施設試験を開始した。まず,この予備試験で調べる価値のある候補薬としてクレアチンと抗菌薬のミノサイクリンを選択。次いで,まだ疾病初期の段階で症状緩和に使用される薬剤を必要としない患者を被験者に採用した。
被験者をミノサイクリン200mg/日,クレアチン10g/日,プラセボを服用する 3 群にランダム化割り付けし,12か月間観察,安全性,耐薬性,PDの程度をモニターした。重大な副作用は認められなかったが,ミノサイクリンへの耐薬性がやや劣っていた。クレアチンもミノサイクリンも,PDの臨床症状悪化を緩和するという点で有効なようであった。
しかし,同試験の目的は両薬のいずれかがPDの治療薬として有効かを決定するために計画されたものではなく,両薬を治験薬として検討する試験に予算を計上する価値があるかどうかを決定することにあった。一般に薬剤の効果を明らかにする試験は,多数の患者を長期に治療・観察しなければならない。
第一関門を突破
予備試験の初期分析に基づくと,クレアチンとミノサイクリンとも最初のハードルを越えた。さらに,NINDSはコエンザイムQ10とGPI-1485の 2 剤についても予備試験を進めており,現在試験データの分析が行われている。NINDSと協力機関は,既にPDに対する神経保護効果を検討する長期大規模試験を計画する段階に入っている。
NINDSのStory Landis所長は「われわれは,この予備試験の結果だけでなく,PD関係者の貢献にも力付けられた。今回の所見はPDに対する画期的療法の開発促進に向けた薬理学者,臨床医,統計学者,NINDSスタッフを含む臨床試験専門家の産学提携と患者,基金団体の協力のたまものである。患者の選択が異例の早さで行われたため,記録的な速度で試験を完了することができた」と述べた。
研究者らはこれらの薬剤がPDに有効であるとまだ証明されたわけではなく,患者にいずれかの薬剤を治療薬として推奨するには,被験者数と観察期間が十分でないことを強調している。患者と医師に対しては,今回の試験結果が治療方法を示唆していると解釈しないよう警告している。クレアチンとミノサイクリンが実際に有用であるか,それとも有害か,あるいはなんら有意な作用はないか結論を下すには,まだ数百例の患者による大規模試験を踏まえた確認が必要である。
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