"本当の自分"を知る人なんて存在しない「パレード」
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■パレード/吉田修一/幻冬舎 ■あらすじ■ 〈杉本良介・21歳・大学生〉… 「一緒に暮らしているからっておセンチな自分なんか見せられない」 〈大垣内琴美・23歳・無職〉… 「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」 〈小窪サトル・18歳・自称夜のお仕事〉… 「こいつらと付き合ってたら、今に一流企業にまで就職させられちまう」 〈相馬未来・24歳・イラストレーター兼雑貨屋店長〉… 「ありのままの人間なんて”怠惰でだらしのない生き物”としか思えない」 〈伊原直輝・28歳・映画配給会社社員〉… 「相談されたところで親身になって考えてやったことなど一度もない」 素顔のままでは生きにくい。でも相応しい自分を演じれば、 そこは誰もが入れる天国になる。 先の見えない五人の微妙な2LDK共同生活。 ■読書感想文■ 注)ネタバレはしてませんが物語の展開については触れています。 しかしこの本は、そーいった前情報を一切抜きにして読んだ方が 楽しめると思いますので、これからこの本を読まれる方はこの感想を 読むも読まないもお任せします。 すでにいろいろ著書を出されていて、 最近執筆された「悪人」がいろんな読書レビュで絶賛されている吉田修一さん。 実はまだ彼の著書は未読でして、 そろそろ読まねばいかん、ということでHANAKOちんが オススメしてくれた「長崎乱楽坂」「最後の息子」「静かな爆弾」など いろいろ迷ったのですが、まずはライトそうなこの「パレード」を借りてまいりました。 若者5人の共同生活を描いた物語。 ちょっと青臭い青春ものかと思いきや 意外すぎる読後感。 でもなんか吉田さんの「黒い」ところを 静かに見せつけられたようで、爽やかな青春もので終わるより よっぽど魅力的でした。 いい意味でイメージを見事に覆された作品。 ********* 最初は…というより、ほぼ最後まで、 淡々とした同居生活の模様が続きます。 そして章ごとに、同居している5人がかわるがわる その生活の様子を語るという形式。 第一章の語り部・良一は大学生。 愛車は10km走るととたんにエンジンが止まる中古のマーチ「桃子」。 メキシコ料理店でバイト中。実家は寿司屋を営んでいる。 のんびりとしたマイペースな性格。 第二章、琴美は無職。 俳優である恋人・丸山くんの突発的な空き時間に対応できるよう、 仕事もせず、四六時中リビングに居座って電話を待っている。 ものすごい美人。友人の未来を頼ってこのマンションに転がり込んできた。 第三章、未来はイラストレーター兼雑貨屋店長。 酒好き、ほぼ毎晩新宿二丁目に入り浸っている。 飲んで意識がなくなったり、知らない人を連れて来るのもしょっちゅう。 男の体をモチーフに腐った果物とコラージュしたイラストを描いている。 第四章、サトルは18歳、男娼として街に立っている。 酔った未来にマンションに連れてこられた。 何気なく「大学に行きたい」と言ったため、良介に問題集を買ってこられ 猛勉強するハメになる。直輝の会社の仕事をたまに手伝ったりする。 第五章、直輝は映画配給会社の社員。 健康マニア。タバコはおろかコーヒーも飲まない。 5人が共同生活が送るマンションは、もとは直輝が恋人の美咲と 暮らすために住んでいた場所だった。 ********* 第一章、第二章…と、本当になんでもない日常が淡々と、 時にユーモラスに描かれていて、 最初は、面白いけど印象に残らない小説…と思ってました。 ところが、そのうち彼らの本当の姿が徐々に見えてくる。 先輩の彼女を寝取る。 客の男にボコボコにされて輪姦される。 子供を中絶する。 街で見かけた他人の家に不法侵入する。 映画のレイプシーンばかりを集めたビデオを鑑賞する… でもそれらは、あえて口に出す必要もなく(相談してるものもあるけど) それで大きく事件に発展するわけでもなく、 日常に起こったほんの1つの出来事であったり、 自分の精神のバランスを取るための行為にすぎなかったり。 表面上は、みんなでビデオを見たり、ピクニックに行ったり、 お土産のハーゲンダッツを食べたり、当番の子が洗濯をしたり… 仲が良すぎるということもなく、かといって、冷たすぎるわけでもなく 程よい距離感を保っている五人。 「本当の自分」をわざわざさらけ出すことなど必要なく、 適度に「共同生活している自分」を五人が五人とも演出している。 的外れな評論家に言わせたら「希薄な人間関係」なんて 陳腐な言葉が出てきそうな彼らの関係だけど、こんなのみんなそうだよなあ。 会社であったり、家庭であったり、友達との付き合いであったり… 誰もが全ての場面で「100%の自分」をさらけ出してるわけもなく。 ある時は物わかりのいい先輩であったり、 親身に相談に乗っている友達であったり、 テンション高くてノリのいい後輩であったり。 作品の中での未来と直輝の会話。 「だから、お前が知ってるサトルしか、お前は知らないわけだ。 同じように俺は、俺が知ってるサトルしか知らない。 良介だって琴ちゃんだって、あいつらが知ってるサトルしか知らないんだよ」 「さーっぱり分かんない」 「だから、みんなが知ってるサトルなんて、誰も知らないんだよ。 そんな奴、この世には存在しないの」 ネットの世界なんてそれがとても顕著。 全てをさらけ出している人ももちろんいるだろうけど、 ほとんどの人が、出していない自分のほうが多いはず。 実際、会ったりした人も多いけど、 じゃあどこまでその人のこと知ってるの?と聞かれればほとんど知らないし、 全てを知る必要もないかな、とも思う。 ********** 上に書いたようなちょっとした出来事は起こりつつも、 基本的にゆるーく淡々とした雰囲気のまま物語は進みます。 それが最後の5章。ある事件がキッカケで 一気にこの作品の恐ろしさというか、うすら寒さを 突きつけられて、しばし呆然。 こ、怖っ!!! 一瞬これホラーなんじゃないか、と思うような終わり方。 すごい!まさかこういう展開に持って行かれるとは予想外。 そしてこのエンディングを読んだらまた最初から 物語を読み直したくなる。何でもない若者たちの群像劇のはずだったのに…。 彼らは今は楽しく同居しているけど、 このメンバーとずっとこれからも一緒じゃないなんてことに とっくに気づいている。 なのでクサいものには蓋をするし、面倒なことには気づかないふりをする。 今、自分が住んでいるこの空間を守るために…。 それが顕著に現れている、琴美の荷物の描写なんて あああと思わされました。 今さらながらですが吉田修一さん、要注目です。 他の著書もぜひとも読んでみたい。 ********* そしてこういう物語を読んだらどうしても脳内キャスティング したくなりますな〜。っつーことでわたくしが考えるキャストはこちら。 〈良介〉…上地祐輔 〈琴美〉…柴咲コウ 〈未来〉…上野樹里 〈サトル〉…松田翔太 〈直輝〉…瑛太 ********* 物語の行く末が物凄く気になりつつも、 できることなら終わってほしくなかった。 こんな気持ちを抱き、こんなにハマってしまったマンガはジョジョ以来です。 本当に本当に本当に淋しい。 基本、マンガは単行本派なんですが、本屋でこの 表紙のアーカードと目が合ってしまったからには買わずにはいられませんでした。 写真を見てお分かりの通り、封はまだ開けておりません。 単行本が発売され、それを読んでからじっくり読もうと思います。 最終回が載った雑誌を買うなんてことも初めてだー。 最終巻が出た暁には、またじっくりとレビュを書く予定です。
ああ、それにしても本当に淋しい。 |
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パレード / 吉田修一
都内の2LDKマンションに暮らは男女四人の若者達。 「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」 それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、 “本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。 そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。 発売
2008/10/6(月) 午後 11:29 [ HANAKOσ勺〃冫ス〒リ了 ]
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これ面白いですよねぇ。
結末は衝撃的なんだけど、色々考えさせられますよね。
結局誰もが他人の一面しか見てなくて、それ以外の部分は見ても見ぬ振りをしているのだろうか、とか。
前半が結構淡々と進むだけにショックは大きいです(笑)。
この人の本は他にも何冊か読んだけど、それぞれ味わいが違っていて面白いですよ。
2008/10/6(月) 午後 11:25 [ はると ]
なんと、パレード薦めてなかったか。これも好きだよ。
人付き合いって・・・って、考えちゃうよね。
見て見ぬ振りしてる、人間関係つきつけられるというか・・・。
トラバしまする。
2008/10/6(月) 午後 11:32
私が読んだ後の自分の感想は暗くてかなん。(笑)
寿司子さんの感想読んで「そっか、面白かった…のかも」なぁんて記憶の中で読み返す。
なんか自分だけでは届かなかった部分を見せてもらった感じでありがとうって感じです。(笑)
2008/10/7(火) 午前 0:40 [ あぁ ]
当然と言えば当然ですね、自分自身を理解している他人なんて普通は存在していませんし
人の側面なんて言葉も個人が受ける印象や想像でしかありませんし
それでいて「本当の自分をわかってくれない」などという言葉も存在して滑稽なのですがね
言ってしまえば他人は情報でしかない
↑となると「希薄」って話ですな(笑)
人間そんな単純なもんじゃないと思うからこそ楽しいんですが(´エ`)ノ
言葉や事象の意味など、どこまでもネガティブにもポジティブにも変化しますし
それこそ人それぞれでしょうね
ヘルシング、琴線に触れないんだよなぁ・・・もう一回読めばまた違うだしょうかね
2008/10/7(火) 午前 1:03
読んだことないですけど、
なんか、脳内キャスティングばっちりなんですけどっ!!(笑)
上野ジュリと、しばさきコウと、瑛太があらすじの紹介文にぴったりの気がします♪♪♪
最近、のだめカンタービレみて、上野ジュリと、瑛太にはまってたので、なおピッタリです(笑)
2008/10/7(火) 午前 10:09
誘惑にまけてヘルシング最終回だけ読んじゃいましたw
まー、てきとーに読んだだけなんで単行本でじっくり読みたいです^^;
単行本ハリー!ハリー!ハリー!(笑)
2008/10/7(火) 午後 2:16
上野樹里と瑛太が出てる共同生活ものって、なんか「ラスト・フレンズ」みたいな。笑
そうかー、こういう話だったのか。もっと軽い、イマドキの(笑)若者の生活を淡々と描いてるだけの話かと思ってました。
面白そう!今度借りてこよー。
2008/10/7(火) 午後 8:20
先入観なしに読みたいので、ご忠告どおりレビュは薄目でスクロールしました(笑)
吉田修一は『悪人』がズガンと来たので、この作品も期待大です!
人間のイヤな部分を書くのが上手いですよねー。
2008/10/7(火) 午後 11:32
はるとさん〉だーいぶ前にはるとさんにオススメされてたんですよね。
やっとこ読みました(笑)もっと早くに読めば良かったー!
前半があまりにもフツーだったんで油断してしまいました。
他の作品も今からすでに楽しみです。
2008/10/9(木) 午後 6:33
HANAKOちん〉「こんな記事も〜」にHANAKOちんのレビュも
あったよ。見てきた。あのビデオはあたしも分かる気がする。
でも絶対人には言えないし死んでも見られたくない。
2008/10/9(木) 午後 6:35
あぁさん〉本は読む時の気持ちや状態によってだいぶ感想は
変わっちゃいますからね〜。
あたしも人の感想見て、あーこういう見方もあったのかあと
思わされることしばしばです。
2008/10/9(木) 午後 6:37
450っち〉「本当の自分を分かってくれない」って分かるわけねーよ!
って感じですわね(笑)人の気持ちなんて言葉に出してもらわないと
絶対分からない。どんなに親しい人でも。
で、その言葉だってどれだけ本音が分からないし。
黙ってて分かってもらおうなんて虫がいい話だよね。
「ヘルシング」まあ1回読んで合わないなら2回読んでも
一緒じゃない?(笑)なんとなく450さんの琴線に触れないのも
分からないでもないような。なんか共感っつーか、
ワクワク・熱くさせてくれるようなキャラがいないから
ちょっと醒めた感じで見ちゃうんじゃない?…なんて思ってみた。
2008/10/9(木) 午後 6:40
chigchigさん〉あたしも上野樹里と瑛太って書いた瞬間に
のだめやん!って思いました(笑
でもこのキャスティングは我ながらけっこう絶妙な気が!
2008/10/9(木) 午後 7:14
かもちゃん〉ヘル最終回全く予想がつかないよ〜
何人死んで何人生き残ってるんだろ!
王立国教騎士団はみんな残ってそうなんだけどな〜
単行本年内に出るかしら…
2008/10/9(木) 午後 7:16
ハニーさん〉そうか「ラストフレンズ」もそのコンビだったか。
旬の2人だからすっかり刷り込まれておりますわい…
あたしもけっこー爽やかな青春ものと思い込んでたので
気持ちよく裏切られました。ぜひ読んでみてくだされ。
2008/10/9(木) 午後 7:21
新橋さん〉「薄めスクロール」お疲れさまでっす(笑
「悪人」まだ読んでないんですよー!すごく読みたい!
人間のイヤーなとこだけど誰もが絶対持ってるものを
サラッとさりげなく書く手腕、堪能いたしました。
新橋さんの「パレード」レビュも見てみたいっす!
2008/10/9(木) 午後 7:25