酒呑み僧侶の覚書

仏の教えに正面から向き合いたいのです。

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おのおの十余か国のさかいをこえて、身命(しんみょう)をかえりみずして、たずね
きたらしめたまう御こころざし、ひとえに往生極楽のみちをといきかんがためなり。
しかるに念仏よりほかに往生のみちをも存知(ぞんじ)し、また法文(ほうもん)等
をもしりたるらんと、こころにくくおぼしめしておわしましてはんべらんは、おおき
なるあやまりなり。もししからば、南都北嶺(なんとほくれい)にも、ゆゆしき学生
(がくしょう)たちおおく座(おわ)せられてそうろうなれば、かのひとにもあいた
てまつりて、往生の要(よう)よくよくきかるべきなり。

あなたたちが(一人ひとりそれぞれに思いを抱いて)十以上の国境(くにざかい)を
越えて、我が身・我が命を顧みないで(私、親鸞を)訪ねておいでになったご意向は
ひとえに極楽への往生の手立てを問い尋ねるようとするためなのでしょう。しかし、
(私が)念仏以外に往生の手立てを心得ているだとか、また(念仏以外の往生のため
の)教えなどををも知っているのだろうといぶかしくお思いになっておられるなら
ば、それは大きな誤りです。もしそのようにお考えならば、奈良の興福寺や比叡山延
暦寺にすばらしい学僧たちがたくさんおいでになるので、そのような人たちにお会い
になって、往生の要をよくよくお尋ねするのがよいでしょう。


この条は文章量が多いので、今回を含めて三つに分けました。内容としても三つに
分けられます。
今回の部分は「求道」について、といったところです。


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第二条は京都にいる親鸞聖人のもとに、関東にいる門弟たちが命懸けでやって来た、
という場面です。現在では新幹線に乗れば三時間も掛からずに行ける距離ですが、
当時の移動手段は基本的に徒歩なので、時間も労力もとてつもない大掛かりな移動なの
です。
何故、そうまでして門弟たちは親鸞聖人のところまで行ったのでしょうか。

一つには親鸞聖人の息子・善鸞(後に義絶される)の「秘事法門」と呼ばれる主張です。
当時の関東における信心は既に混乱していました。それは「ただ念仏」という教えから
逸脱し、「念仏以外の修行もすべきだ」といった主張、あるいは「念仏は何回となえる
ものなのだ?」といった疑問などです。こういった混乱から派閥ができ、弟子の取り合
いにも発展したのです。
その混乱を収拾させる目的で親鸞聖人は善鸞を関東に派遣したのですが、善鸞は混乱を
さらに大きくしてしまいます。「念仏以外になにもありません」と言うべきところを、
「私は父・親鸞から特別の教えを受けている」という嘘をかたったのです。この嘘が
「秘事法門」です。

もう一つには日蓮上人による念仏に対する批判(=念仏無間地獄)があります。
念仏は地獄に堕ちる行である、というものです。

これらのことから関東の門弟たちは親鸞聖人に「念仏でよいのか?」という問いを
ぶつけ、念仏こそが往生の手立てなのかを確かめたかったのです。


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さて、親鸞聖人は門弟達を前にして断定の口調で語ります。これは原文(今回分)で
「なり」という断定の助動詞で全ての文が結ばれていることから分かります。少しも
迷いが無いことが読み取れます。


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興福寺・延暦寺は自力聖道門(じりきしょうどうもん)です。難行・苦行を積み重ね、
さとりを得ようとするものです。難行・苦行はいかにも修行らしく、立派に見えます。
しかし難行・苦行は達成できないことによって自分を苦しめていきます。また達成でき
た者とできなかった者を差別することにもなります。他力の信心とはここが違うところ
です。


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門弟たちの命懸けの問いは「往生極楽のみち」です。

往生極楽とは何でしょうか?
対する言葉として「往死極苦」がぴったりでしょう。「死に往く 極めて苦しい」と
いうことです。
「往生」は「生きていく」であり、「極楽」は「極めて楽しい」ということです。

往死極苦の苦しみを超えて往生極楽を求めるのが「求道」ということではないで
しょうか。命を懸けて生きる意義、生きる喜びを求めるとはなんとも素晴らしいとは
思いませんか。

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