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AE1099(後編) 島根県芸術文化センター「グラントワ」/内藤廣

そんなワケで新しい1日を迎えました…職場にて。
卒業研究に関連して報告書を読み込むなどしていたら…こうなりました(汗)
もう今日になりましたが…引き続き大会引率頑張ります。
 
イメージ 1

屋根瓦を壁面にまで使ってしまう、そんな大胆かつ痛快な手法をケンチクさんの個性として露わにする「グラントワ」ですが
建設費にも跳ね返ってくることもあってなのか、特に背面側に関しては別のつくり方でケンチクさんを構成するように計らっています。
 
実際にそういう事情で別のつくりを採用しているのかはわかりませんが、先述したようにちょっと「ギョッ!!」とした印象を抱いているので、個人的にはやや「ホッ!!」としたトコロがあったのは否めないというか…
 
イメージ 2

その別のつくりというのは、御覧のようによくよく一般的に外装材として用いられるタイル
といっても、一般によくよく流通して用いられているモノとはちょっと違うのかな?あまり見かけることのない仕様のように思いますが…どうなんでしょう?
 
コチラのタイルは先の瓦に比べて落ちついた風合いで…個人的にはこういう方がしっくりきますね。
色調にバラツキがあるのがまたよいと思っていますが…これは、元々の仕様でいくつか色調に種類があるのかもしれません。
 
でも、これが全面的に「グラントワ」に用いられていたとしたら…やっぱりケンチクさんの個性としては陳腐なモノに陥ってしまうんだろうなぁ…
 
イメージ 3

さて、長々と外回りについて書き連ねて…ようやく内部に及びます。
ケンチクさんのプランそのものは非常にシンプルで明快…エントランスから立入るとグルリと御覧のような回廊が巡り、この回廊に接して諸施設が配されるというつくりになっています。
 
先にも述べたようにコンセプトとそのメッセージ性を体現する手法…壁面に石州瓦を活用するという点は大胆かつ痛快で
そして、繰り返しますが、平面構成も非常にシンプルかつ明快…わかりやすいケンチクさんだなぁと思います。
 
その一方で素材、ディテールへの配慮はかなり色々と考慮を重ねているように映る。
こういうね、一見してわかりにくいトコロを色々読み解いていくのがオモシロイんですよね。
 
床材に用いられているフローリングの小口材…木製で特にラッカー仕上。
ツヤのあるテカテカした感じは、ちょうど外装に用いられている石州瓦との統一感をうかがわせますし、やや配色にバラツキがある材を選択しているのも同じ外装のタイルと共通性をうかがわせる。
応じて、品のある高級感を抱かせる演出と思います…こういうシンプルなつくりの回廊だからこそ効いているように思いますね。
加えていえば、外部から入り込んできた光がその光沢感のある床材に反射して照り返す…このあたりもなかなか巧みだなと思わせる。
 
両側のガラス開口部周りに設けられるサッシ…これも内外観をイメージさせる赤褐色系の塗装を用いていますし、上部の打放しコンクリートとの取り合いなぞ、かなり手がかかっています。
その打放しコンクリートもまた…型枠に小口材を用いて、床材との統一性を図っていますし、さらに湾曲したつくりにすることで床材から照り返しを柔らかく和らげる
(おそらくグレーチング部分の上が設備関係が納められているのだろうと察します)
 
かなり計算された内装のつくりではないかと思います。
 
イメージ 4

この「グラントワ」において、内包される諸施設は2つ。
いずれも先に御覧いただいた回廊に接して設けられています…その1つが文化ホール「島根県立いわみ芸術げ劇場」
 
ちょうど催物が開催中だったか準備中だったかでしたので…大ホールのホワイエの様子のみをちょっと撮影
ホールの壁面は、回廊の天井部分と同じ小口材の型枠によって構成されています。
 
あれだけの大きいヴォリュームの壁面を小口材でやるのは大変な苦労をされて建設されたものであることを何となく想像してしまう…
 
イメージ 5

もう一つの諸機能というのが美術館…正式名称は「島根県立石見美術館」といいます。
その入口スペースとなるトコロがコチラの通りで、ここにはミュージアムショップなどが置かれています。
 
この時に開催されていたのが、「神々のすがた」展
あんまり興味ないなぁ…と思って、この時はスルー…
この後、地域の八幡神社研究に携わることになって聞いた「神々のすがた」展…
そして、今日この記事を書くにあたって「神々のすがた」展とニアミスしていたという事実に「ギョッ!!」
 
えっと、話を戻して…教会建築であればヴォールト天井の単身廊といったつくりになっています。
天井高も非常に豊かに採っていて、一種の荘厳さに近い息をのむつくり…
 
イギリス・ゴシックの教会堂によくあるクロイスターと教会堂の関係を思ったりもしてしまう…
 
先の回廊のつくりにもあると思うんですが、外観の印象とは違って内部は凛としたというかシャンとしている…宗教建築のような印象を感じなくもないですね。
公共建築であり、こうしたホール・美術館という諸機能が配されているため、多くの方が訪れていましたが、誰もいない時にこのケンチクさんを見ていたら、全く違った表情をうかがわせるんじゃなかろうか…そんな風にも想像してしまいます。
 
一般的にどういう風に受け取られているかはわかりませんが、この「グラントワ」の設計者である内藤廣氏と意欲作の数々で注目も高い隈研吾氏…この「グラントワ」に関する記事を書きながら隈氏が手掛けた「根津美術館」を思い出した。
なんとなく両者にはケンチクさんに向き合う姿勢に共通した側面があるように感じているけれど…出来上がったケンチクそのものには、隈氏の「軽」と内藤氏の「重」、そんな軽重の差があってオモシロイと常々感じている。
 
善し悪しは全く別のハナシですが…隈氏の作品ではこうはならないよなぁ、と思う。
そして、その差がオモシロく、両者の持ち味なんだろうと思います。
 
イメージ 6

本作「グラントワ」において、ホール・美術館の諸機能こそが主役ですが、ケンチクさんの見所・魅所・美所こそは先の回廊に囲まれた中庭…御覧の通りです。
というか、ワタクシ自身、このケンチクさんのこの中庭を見築するためだけに益田を訪れたと言っても過言ではない。
 
赤褐色の配色は徹底されていますが、それにしても同じ「赤」と書いても、様々な色合いが織り成されていることがわかります…水盤越しに色合いを違えて映えるタイルというのも実に心憎い演出でかつ巧みな演出です。
こういう部分に内藤氏の繊細で巧妙な手腕が発揮されているように受け取れるかと思いますが、概ね日本人でないとこうはならないだろうとも…
 
見築した折には…「あぁ、ここまで来た甲斐があった…」としみじみ思いましたね(笑)
 
イメージ 7

中庭としては広大すぎるスペースを割いていて、一見すればムダと見えなくもない。
なんせ、パッと見る限りで大ホールのホール部分とホワイエ部分を足したほどのスペースであるのだから…
そして、よくもまぁ、これだけのスペースを割いておいて実現できたなぁと思わなくもない(広大な敷地が助けている可能性も考えられますが)。
 
でも、これよりこじんまりとした密な空間だと…やっぱり独特の妙味が薄れてしまうように思う。
かといって、平滑な水盤を囲むという中庭の構成からすれば…このまま空間的に広げるには味気がなくなってしまう。
 
凛とした緊張感をまとった空間として成立し得るには…たぶんこのくらいのスペースがギリギリ
確かに広くはあるけれど、ケンチクさんとしての妙味を伝え示すためには、必要十分なスペースということに落ち着いてくるのだろう。
 
公共建築だからこそ出来たという見方もあるだろうし、公共建築でよく実現したという見方もありそう
いずれにせよ、その勇気を垣間見る気がした…そして、内藤氏のスケール間隔の妙も。これをセンスと呼ぶのだろう。
さすがに一朝一夕でマネできる類のものではないと思う…凄味を感じるし、何より氏が力を入れた空間であろうことがよく伝わってくる(後にコロンビアに設計した「メディシン市ベレン公園図書館」にて同様の手法を採っている)。
 
一見の価値はあると思います…どうぞおいでませ、益田市へ(笑)
なんかまとめのフレーズを思いついてしまったので…唐突に終えますが、そんなワケで今日のケンチクさんでした。

「ケンチクショーカイ:島根」書庫の記事一覧

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