うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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<医療事故調>「やむを得ぬ死」届け出除外 厚労省最終試案
4月3日22時21分配信 毎日新聞

 厚生労働省は3日、医療死亡事故の原因を究明する第三者機関として
10年度設置を目指している「医療安全調査委員会(仮称)」の最終試案を公表した。
調査対象とする事故の範囲は「医療過誤か、合理的説明がつかない死亡」に限定し、
死亡の危険を伴う正当な医療行為による事故などを除外した。
医療機関は調査委への通報が義務化される代わりに、
医師法改正により警察への通報義務が不要になる。

 厚労省は試案についての一般からの意見を募り、法案を今国会にも提出する。

 調査委は、国土交通省に置かれた航空・鉄道事故調査委員会の医療版で、
医療関係者や法律家らで構成する。これまで刑事・民事裁判に委ねられていた
真相解明を専門家が担い、再発防止に役立てる狙いがある。
国は訴訟リスクが減ることで、医師不足対策の効果もあると期待している。

 届け出の範囲は、医療関係者らに「過失がない死亡事故まで調査対象になると医療が萎縮する」
との声が強いのを受け、対象を絞った。厚労省の例示では▽内視鏡検査で消化管に穴を開けてしまう
▽手術で癒着した組織をはがす際に大出血を起こす−−
などのケースは「やむを得ず発生した合併症」とみなし、届け出の必要はない。
厚労省は年間2000〜3000件が調査対象になると推計する。

 医療機関からの届け出や、遺族からの調査依頼があると、調査委は医療や法律家のほか、
患者側代表として有識者も入る調査チームを事案ごとに設置。
チームには立ち入り検査の権限を与える。
遺体の解剖が原則だが、既に火葬した場合も調査する場合がある。

 調査の過程で▽故意や重大な過失▽過失事故の繰り返し▽カルテの改ざん、隠ぺい
−−などが判明した場合は、調査委が警察に通知する。
警察は遺族の告訴を受けた場合でも、原則的に調査委の結論を待って捜査に入る。【清水健二】

医師法21条の改正を明記
2008/04/03 21:54     キャリアブレイン

 厚生労働省は4月3日、診療行為などに関連した死亡の原因を調べる制度
(死因究明制度)に関する第3次試案を公表した。
異状死の警察への届け出を医療機関に義務付ける医師法21条の改正や、
病院の説明に納得しない遺族からの相談を受け付ける体制の整備などを盛り込んでいる。
試案に対する国民からの意見募集も同日、スタートした。

 第3次試案は、手術ミスや誤った投薬などで患者が死亡した場合に事故調査に当たる
「医療安全調査委員会」(仮称)の在り方、遺族と医療機関との関係、行政処分、
捜査機関との関係などを第2次試案よりも詳細に示している。

 第3次試案によると、調査委への届け出が必要な医療事故の範囲を明確化・限定した上で、
医療機関の管理者からの届け出を制度化するとともに、医師法21条を改正し、
医療機関が調査委に届け出た場合には同条の「異状死」としての警察への届け出を不要とする。

 また、遺族からも調査を依頼できるルートをつくり、
医療機関が遺族からの調査依頼の手続きを代行することも可能にする。

 厚労省医政局の二川一男総務課長は記者会見で、
捜査機関が調査委の調査を尊重することについて、
法務省や警察庁などと調整済みであることを強調。
「委員会でしっかり調査することを条件に、捜査機関に待ってもらう」と述べ、
調査委による調査の実効性を確保する必要性を訴えた。

 一方、調査委への届け出が必要と医療機関が判断したにもかかわらず届け出を怠ったり、
虚偽の届け出をしたりした場合には、適切な届け出を担保できる体制の整備を行政処分で科す。
二川課長は「処分後に再び違反した場合は許し難い」と強調、
こうしたケースについては刑事罰の対象になる可能性も示した。

 調査委の目的は、
「医療死亡事故の原因究明・再発防止を行い、医療の安全を確保すること」とした。
医療の専門家を中心に、法律関係者や「その他の有識者(医療を受ける立場を代表する者等)」
で構成する。
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/15426.html

ついに、医療事故調・第三次試案が公表されました。
いつ最終試案になったのでしょうか?

厚労省が『最終試案』にしたいと焦る気持ちは解りますが

(社会保険庁解体後の天下り先にしたいから)

マスコミがごまをすって『最終試案』と報道するのは許せません!

その内容は、われわれが安心して医療を続けていくには程遠いものだからです。

国は訴訟リスクが減ることで、医師不足対策の効果もあると期待している。

事故調ができれば民事訴訟は激増しますし、このままでは刑事訴訟も今のままです。萎縮医療はどんどん進むでしょう。


詳細な内容については、
「産科医療のこれから」をご覧下さい。
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/04/post-1341-4.html
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/04/post-1341.html
こっちからもダウンロードできます。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=495080001&OBJCD=&GROUP=

われわれが最も気にしている、刑事訴訟との関連部分です。
(別紙3)捜査機関との関係について
○ これまで医療関係者を中心に、医療安全調査委員会(以下「委員会」という。)
と捜査機関との関係について明確化を求める意見が多く寄せられている。
○ 今回の制度は、委員会からの通知を踏まえ、捜査機関が対応するという、
委員会の専門的な調査を尊重する仕組みを構築しようとするものである。
そのためには、委員会は適時適切に調査及び通知を実施する必要がある。
今回提案しているこのような仕組みが構築されれば、以下のようになる。

問1 捜査機関は、捜査及び処分に当たっては、委員会の通知の有無を十分に踏まえるのか。
また、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に対象を限定するなど、
謙抑的に対応すべきではないか。

(答)
1 今回提案している仕組みにおいては、委員会の専門的な調査により、
医療事故の原因究明を迅速かつ適切に行い、また、故意や重大な過失のある事例その他
悪質な事例に限定して捜査機関への通知を行うこととしている。
また、委員会の調査結果等に基づき適切な行政処分を実施することとしている。
なお、委員会からの通知は、犯罪事実を申告し犯人の処罰を求める意思表示としての「告発」ではない。
2 医療事故についてこうした対応が適切に行われることになれば、刑事手続については、
委員会の専門的な判断を尊重し、委員会からの通知の有無や行政処分の実施状況等を踏まえつつ、
対応することになる。
3 その結果、刑事手続の対象は、故意や重大な過失のある事例その他
悪質な事例に事実上限定されるなど、謙抑的な対応が行われることとなる。



問2 遺族が警察に相談した場合や、遺族が告訴した場合に、捜査機関
の対応はどうなるのか。

(答)
1 委員会の専門的な調査により、医療事故の原因究明が迅速かつ適切に行われることになれば、
遺族から警察に対して直接相談等があった場合にも、遺族は委員会による調査を依頼することが
できることから、警察は、委員会による調査を勧めることとなる。

2 また、遺族から告訴があった場合には、警察は捜査に着手することとなるが、
告訴された事例について委員会による調査が行われる場合には、捜査に当たっては、
委員会の専門的な判断を尊重し、委員会の調査の結果や委員会からの通知の有無を
十分に踏まえて対応することが考えられる。


問3 委員会の調査結果を受け、行政処分が刑事処分より前になされるようになった場合、
検察の起訴や刑事処分の状況は変わるのか。

(答)
1 現在、医師法等に基づく処分の大部分は、刑事処分が確定した後に、
刑事処分の量刑を参考に実施されているが、委員会の調査による速やかな原因究明により、
医療事故については、医療の安全の向上を目的とし、刑事処分の有無や量刑にかかわらず、
医療機関に対する医療安全に関する改善命令等が必要に応じて行われることとなる。

2 この場合、検察の起訴や刑事処分は、行政処分の実施状況等を踏まえつつ行われることになる。
したがって、現状と比べ大きな違いが生ずることとなる。


問4 委員会から捜査機関に通知を行った場合において、
委員会の調査報告書やヒアリング資料等の扱いはどうなるのか。

(答)
1 委員会の調査報告書については、公表されるものであるため、
委員会から捜査機関に通知を行った事例において、
捜査機関が調査報告書を使用することを妨げることはできない。

2 委員会による調査の目的にかんがみ、調査報告書の作成の過程で得られた資料については、
刑事訴訟法に基づく裁判所の令状によるような場合を除いて、
捜査機関に対して提出しない方針とする。
この問2、2の部分です。

委員会の判断を尊重し、委員会の調査の結果を踏まえて対応することが考えられる

また、キャリアブレイン記事中にある

「委員会でしっかり調査することを条件に、捜査機関に待ってもらう」

『考えられる』『待ってもらう』では困るのです。
そんな性善説をわれわれは信じません
捜査機関が独自の判断で刑事手続きを発動する権限は全く手付かずですからね…

委員会の調査が警察の捜査より法的に優先され、委員会の調査結果が『起訴相当』とならない限りは警察は捜査できない

遺族が告訴しても、必ず事故調査委員会の調査が優先する

とならない限りは、安心してリスクのある医療を行なうことは出来ません。

検察庁・警察庁と協議して刑事手続制限が法文化されるのでなければ、医療現場には何一つメリットはありません。


また、
(40) 地方委員会から捜査機関に通知を行う事例は、以下のような悪質な事例に限定される。 
 医療事故が起きた後に診療録等を改ざん、隠蔽するなどの場合 
 過失による医療事故を繰り返しているなどの場合(いわゆるリピーター医師など) 
 故意や重大な過失があった場合(なお、ここでいう「重大な過失」とは、
死亡という結果の重大性に着目したものではなく、
標準的な医療行為から著しく逸脱した医療であると、地方委員会が認めるものをいう。
また、この判断は、あくまで医療の専門家を中心とした地方委員会による医学的な判断であり、
法的評価を行うものではない。)
の中の

『重大な過失 』の定義(線引き)がまだまだ不明瞭で、第二次試案とまったく変わりません。

「標準的な医療から著しく逸脱した医療」ということについても、

「標準的」「著しく」が不明瞭で、警察がその気になればいくらでも範囲を広げることが出来るのです。


そのような理由から、われわれはこの第三次試案に反対します。
決して最終試案にはさせません!

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閉じる コメント(6)

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賛成する馬鹿は医師ではありません。
ひどすぎですね。

2008/4/4(金) 午後 10:25 [ ker*y_a*l*n_jr ] 返信する

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kerry先生、その通りです。
賛成する日本医師会、内科学会、外科学会は許せません。

頑張って、厚労省へのパブコメや、国会議員へ声を届けましょう!
http://www.iryogiren.net/boshu/080412boshu.html

2008/4/5(土) 午前 11:24 さすらい泌尿器科医 返信する

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是に関しても、マスコミの相変わらずの敵意・悪意・憎悪を感じざるを得ません。
○HKのコメンテーターやら朝○新聞の紙面でも、医療界よりの内容だの医療界の身内の判断になるのではないか等と、散々に叩き続けられていて、憤りを禁じえませんでした。
「考えられる」「待ってもらう」「著しい」…まさに曖昧表現の典型例で、どうぞ拡大解釈して下さいと勧めている様に深読みせざるを得ません。
大惨事を通り越して、日本の医療が過去の遺物になることは規定路線でしょう。 削除

2008/4/5(土) 午後 2:37 [ 内科医研究中 ] 返信する

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内科医研究中先生、コメント有難うございます。
NHKの放送は酷かったそうですね。
m3掲示板に「NHKお前もか −医療事故調査委員会について4月3日のニュースウォッチ9で−」
というスレッドが立ってました。

朝日新聞もこの期に及んで、「過酷 救急医療」
http://www.asahi.com/health/news/TKY200804060137.html
といった記事がありましたが…
過酷さをお解り頂いたのはいいのですが、
>皮膚科や眼科、耳鼻科志望が増え、大学に残る医師が少なくなる今、
>あえて厳しい救命救急の現場で働く医師の気概と誇りを感じた。
なぜ『大学に残る医師が少なくなる』のか?

こんなに頑張っている9年目の医師の給料が、
本給は15万円、当直は5回で5万6500円。総支給額は26万7020円でいいのか?

もう少し、本質を捉えてくれないと…。

2008/4/7(月) 午前 11:30 さすらい泌尿器科医 返信する

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こんにちは。
三次試案が厚労省より発表されましたが、相変わらず医療事故調が作られることによる医療従事者への不利益、デメリット(目的は主観的な物で、結果的に責任追及に使われるリスクがある)の説明が絶対的に不足しています。結局は厚労省の責任転嫁、行政力強化のために制度化されるだけだと思います。また、改正検察審査会法の施行によっては事故調が設立されても、訴追への別のルートが出来てしまい意味をなしません。
私も9時のNHKニュース、車の中で見ましたが「事故調が必要な理由は、医療サイドの情報隠匿である」旨のコメントに驚愕しました

2008/4/7(月) 午後 6:48 [ 北さん ] 返信する

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北さん先生、コメント有難うございます。
マスコミの報道に多くを望むのは間違いなのですが、困ったものです。
(遺族寄りのスタンスも決して変えませんし…)

仰るとおりで、この試案の大きな問題点として、
厚労省の全ての医療行為に対する調査・処分権が大幅に強化されます。
これだけでも恐ろしい話です。

しかも、刑事訴追の既存ルートはそのままですからね…
嫌になります。

2008/4/7(月) 午後 7:21 さすらい泌尿器科医 返信する

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