続「呑めばのむほど日記」

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2005年2月の日記

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2月28日 エリタージュ サンタ・デュック

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 27日、日曜日とて昼食に赤ワインをいただく。「エリタージュ サンタ・デュック」。ヴァン・ド・ターブル(テーブルワイン)なのでヴィンテージはないが、シールを剥がすとコルクの上面にしっかり「2003」と押してある。

 実はエリタージュ(heritage)、即ち「遺産」と名付けられたこのワイン、テーブルワインにしてさに非ず、本来高品質なものをわざと格下げしているのである。

 2002年、ローヌ南部は洪水に遭ったのだが、サンタ・デュックには幸い大きな被害はなかった。しかし、それでもオーナーのイヴ・グラ氏は品質に納得がいかず、 2002年の本来の「A.C.コート・デュ・ローヌ」を、このヴァン・ド・ターブルのエリタージュに格下げしてしまったのである。

 そういういきさつで、2002年限定のワインであった。変わって翌年2003年は暑い夏で、歴史に残る素晴らしいヴィンテージとなった。ところがその異常な暑さゆえに葡萄の生産量は少なく、もともと造る予定のないエリタージュが世に出るはずもなかった。

 しかし、特に日本の愛飲者のリクエストがあまりに多く、それに応え、ビジネスを度外視してイヴ・グラ氏は再びこのワインを造ることにしたのである。日本限定出荷として。裏ラベルに「史上最強のヴァン ド ターブルです」とあるのも、まことにもっともなことである。

 さてそのワインに戻ると、色は品の良い綺麗な紫で落ち着いた深みがあるが、やや透明感には欠ける。しかし、それが逆に充実した果実味を予感させ、シズル感がある。立ち香は華やかな花、そしてすもも系統の酸っぱい果実の豊かな香り。

 呑んでみてまず驚くのは、果実のエキスの濃さである。しかもフレッシュな感じ。酸味、甘味ともまことに適度な濃さで、それに品の良い苦味がアクセントとなる。この三つが絶妙に調和していて、アフターも豊かで永い。

 日本のワインも近年健闘しており、なかなか良い品質のものが産出されていることは承知している。しかし、このような素晴らしいワインが千円そこそこで出て来るフランスの底力を知ると、恐るべし、としか言いようがない。

 ロバート・パーカーはサンタ・デュックを極めて高く評価しており、著書の「ローヌヴァレー」の中で、「私にいわせればサンタ・デュックはジゴンダスに君臨するチャンピオンである」と書いている。セパージュはグルナッシュ60%、カリニャン30%、ムールヴェドル10%。

 晩酌は芋焼酎とし、「海童」。お湯割りでいただく。酒肴は烏賊耳2点、即ち酒盗合えとXO醤合え。焼き栗。ずわい蟹酢。それに和風ロールキャベツ。

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2月27日 高砂 山廃仕込純米生詰 ひやおろし 四たび

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 京・紫野「和久傅」のちりめんじゃこをいただき、昨日肴とした。お恥ずかしい話であるが、ここのものは好物なのだが高価で、今年の正月に京都駅の伊勢丹でちりめんを購った時、金をケチって安いものにしてしまった。

 しかし、旨くなかった。全く違った。まこと、美味しさが保証されているものに金をケチってはいけないものである。また、似たようなもので済まそうとすると、大体の場合似て非なるものであって、金を失うこととなる。

 酒は「高砂 山廃仕込純米生詰 ひやおろし」。開けて四晩目であり、この日に空いた。概ね一升を四回の晩酌で消費する見当だ(二人で、である)。同じ山廃純米でもあり、前日の「杉錦 山廃仕込み純米酒 中取り原酒」と知らず比較してしまうが、やや杉錦に軍配が上がる。

 高砂も上品な山廃として画期的なジャンルを切り開いたと思うが、同様の傾向のものとして、杉錦の方がより洗練度は高い。ただ、スペックが違うので同じ土俵での比較は酷であるが。むしろ酵母の違いかもしれない。同じ静岡酵母でもこちらはNEW5、杉錦はHD-1である。

 酒肴は他につぶ貝の刺身。なかなか上物であり臭みは全くなく、コリコリして美味しかった。それになめこ豆腐、鶏塩焼蕎麦の芽添え。

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2月26日 杉錦 山廃純米中取り原酒

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 満を持して登場、「杉錦 山廃仕込み純米酒 中取り原酒」。「dancyu」誌本年3月号、「満天の日本酒」特集の呑み比べ巻頭「毎晩飲みたい食中酒はこれだ」において、見事「オールマイティ大賞」に輝いたのが「杉錦 山廃純米」。その兄貴分にあたるのがこの酒である。

 「生もと(もとは本来「酉元」で一字)」は別として、山廃純米酒という酒はある意味で日本酒の原点に近い。まず、純米酒は醸造アルコールを添加しないという点で自然である(アル添の本醸造を否定するわけではなく、あれはあれで全く結構であり歓迎するが)。

 また、現在の多くの酒造りでは速醸酒母(そくじょうもと)を用い、仕込み時に乳酸を添加してその酸により雑菌の発生を防いでいるが、山廃酒母(やまはいもと)では時間をかけて自然に乳酸が発生するのを待つ(もちろん生もとでも)。

 そのような自然な造りが何をもたらすか。オチのない話ではあるが、作り物ではない自然な香味だ。しかしながら、自然さというのはなかなか馬鹿にできないもので、この酒の持つような「深み」「奥行き」「風格」は、自然に反した造りでは到底出難いものだと感じる。

 それは言い換えれば、「クセがない」「ピュアだ」「淡麗だ」と言われるものの対極にあるもので、慣れないうちは敬遠しがちなものだろう。しかしいったん踏み込むと、分け入ってもわけいっても、ますますその奥深さに魅了される素晴らしい香味の世界である。

 昨日、その酒をいただく。最初は冷やで、次いで超ぬる燗につけて。旨い。乳酸由来の酸味系の風味が残る紛れもない山廃で、旨味が濃い。

 しかし、静岡酵母HD-1らしい高貴とも言える綺麗さを併せ持つ。ハイブリッドな山廃と言うか、こんな山廃は他に「高砂」があるか知らんと思い至るのみ。実に旨い。どう旨いのかと言うと、ゆるゆるとしみじみ旨い。

 天保13年創業の小さい蔵元、静岡県藤枝市、「杉井酒造」謹製。原料米、静岡県産山田錦60%精米歩合。アルコール度数18.6度、日本酒度+3、酸度2.0。酵母は静岡酵母HD-1、製麹は麹箱、上槽は酒槽。

 火入れを一回のみとし活性炭を使用しないことで、山廃特有の個性的な香味を適度に残す工夫がなされている。なお、この酒の1.8Lについては既に蔵元在庫も無い。「中取り」の意味については「2月18日 國香 特別純米 中汲み 無濾過生原酒」の項をご参照いただきたい。

 この日の酒肴は、豆腐味噌漬から始まり烏賊下足塩焼、蛤と芹の煮浸し。それに、がんもと生麩の炊合せであった。

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2月25日 セントレア

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 2日続けてまともな酒の話でなくて申し訳ない。24日木曜日は日帰りで、今話題の新しく開港した中部国際空港「セントレア」へ業務上の視察ツアー。

 これがなかなかイケテるツアーで、8時半に出発して、9時にはもうビールとおつまみが配られる。10時半には弁当が配られる。またビールが配られる。

 このビールが「アサヒ スーパードライ」なのが残念。私はこのビールを好まない。おしなべて私の場合、香味に個性がある、旨みが濃いといった酒を好む。高発酵で追い込んだ酒は、通常アルコール分が高くなるので辛口で、酵母が旨み成分を食ってしまった分淡麗となる。

 差額を払ってもヱビスにしていただきたかった。が、しかし、業務であるので呑む。午前中に2本呑む。カップ酒も配られたが、流石に遠慮申し上げた。

 11時半にセントレア到着。噂に違わず混み合っているが、見るところ空港利用の人はごく一部で、ほとんどが観光客や視察。通路やエスカレーターに客が滞留して、スムースに動けない。私がエア利用のために来たならば、4、5人は突き飛ばしていることであろう。

 最悪なのが食事処で、1時間待ちはざら。10時半に車中で弁当が配布される配慮はもっともな話である。私は飢えても「とんかつ和幸」で1時間並びたくない(並ばなくて良いなら和幸にも入ります。特に嫌っていません)。

 因みに、噂の空港風呂「宮の湯」も入場制限で30分待ち。ここは一面ガラス張りで、飛び立つ飛行機を眺めながら風呂につかれるのがウリのセントレア名所である。

 全体、はっきり言って評判ほどではない。空港は空港である。なぜ空港まで行ってノリタケの食器を買うか。名古屋市中の方がモノがあるだろうに。かくして商品はトラックで空港島に搬入され、ショッピングバッグに入って電車やバスで空港島の外に持ち出される。これが日本の物流の実態であるらむ。

 見学を終えバスに乗ると、ビールが出る。業務であるからしてお断りせず1本いただく。今度はキリン一番搾りであり、多少ほっとする。帰路途中3時、午後3時なのであるが岡崎で宴会。またもやスーパードライで乾杯の後、焼酎のお湯割りをいただいた。銘柄不詳。凄まじきは視察旅行。

 帰宅後、きつねうどんで遅い夕食なのか夜食なのか、を食す。芋焼酎「海童」お湯割り。寝る前、ナイトキャップに「オールド・パー」。

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2月24日 梅にハッシュドビーフ

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 23日水曜日、休肝日とす。かつて記したように、休肝日には酒を髣髴とさせる料理はご法度なので、いつもはカレー。時々ハヤシやハッシュドビーフ。

 従って綺麗な料理や気の利いたお酒の写真がない。「梅にハッシュドビーフ」と題したこの写真でご勘弁願いたい。

 梅と言えば静岡市の東のはずれ、興津(おきつ)。その駿河湾を望む風光明媚な高台に清見寺(せいけんじ)という名刹がある。この寺の庭に、徳川家康公のお手植えと伝えられている梅の古木がある。

 これが、まるで龍が臥したような見事な枝振りから「臥龍梅」と名付けられている。この銘木の名を冠した酒が、三和酒造の「臥龍梅(がりゅうばい)」。

 私の知識では、この銘柄は比較的新しく商品化されたものだと思う。しかし、この酒の品質が良いのである。扱い店が少ないので全国的には無名に近いと思うが、雑誌などで取り上げられてブレイクする日も遠くあるまい。私としては、そうなって欲しくないのであるが。

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