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「脳のなかの身体」−認知運動療法の挑戦− 四つの命題
以前に紹介した認知運動療法の本から、中身を紹介していきたいと思います。
「四つの命題」p127〜
ここでは、運動療法の背後に潜む身体思想を激しく批判する。
【現在一般的に行われているリハビリテーションがどのような身体思想に立脚しているのか、そこが興味深い点です。】
1.身体を死んだ肉塊におとしめてはならない − マッサージ治療
:脳卒中片麻痺患者の手足に痙性麻痺があり、異常な筋緊張によって筋が固くなっている場合、マッサージによってその固くなった筋を柔らかくすれば痙性麻痺が回復するのではないかと仮定する素朴な思考
2.身体を物言わぬ物体として扱ってはならない − 関節可動域訓練と筋の伸張訓練(ストレッチ)
:痙性麻痺によって生じる関節拘縮を予防・改善するための、セラピストによる他動的な関節可動域訓練やストレッチが行われている。しかし、痙性麻痺は伸張反射の亢進状態であり、他動的な伸張刺激が逆に痙性を高めている可能性が高い。伸張反射が制御できるようになるわけではない。
【仮にストレッチによって伸張反射の感度が落ちたとしても、一時的なものでしかない】
3.身体を自動的に動く解剖標本として理解してはならない − 筋力トレーニング
:脳卒中片麻痺は筋緊張の質的な異常は生じるが、筋力低下という量的な異常が生じるわけではない。
近年、厚生労働省(市町村)やリハビリテーション関連施設が信じられないほどの巨費を投じ、介護保険の対象者である高齢者や脳卒中片麻痺患者に対して、スポーツ・ジムのような機械器具を用いたパワー・リハビリテーションを導入している現状がある。 高齢者の日常生活動作能力の低下を予防するという目的が間違っているのではなく、その対策として筋力トレーニングを安易に推奨する、人間機械論的な科学観が間違っている。
日常生活動作は行為であり、行為する能力は筋力トレーニングでは生まれない。
特に片麻痺患者に対する筋力トレーニングは痙性を憎悪させる可能性が高い。
4.身体を刺激に反応する物体と解釈してはならない − 日常生活動作訓練とファシリテーション
:日常生活動作訓練は運動麻痺に対する治療ではなく、「利き手交換の練習」に代表されるように、主に残された健側の手足を使っての練習なのである。そこには日常生活動作を自立させようとする目的がある。しかし、それは運動麻痺の回復を目的とはしていない。運動麻痺の回復には限界があり、それをあきらめた上で、家庭復帰や社会復帰をさせようとするリハビリテーション治療なのである。こうした日常生活動作訓練によって麻痺肢の手足が動き出すわけではない。
また、各種のファシリテーション・テクニックは、セラピストの外部刺激による感覚入力によって反射的・反応的な筋収縮を誘発しているに過ぎず、これによって運動学習は生じず、随意運動が回復するわけはない。
【利き手交換の練習が「身体を刺激に反応する物体と解釈する」ことなのか疑問ですが、要するに= 運動麻痺を治療するのがリハビリであり、運動麻痺の回復は運動学習の結果である =ということでしょうね。
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