『漁業という日本の問題』 勝川俊雄
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先送り・既得権・情報統制・・・これは日本の問題です!
「日本の漁獲量は激減しています。 魚群探知機やソナーなどの技術革新によって、
人間の漁獲能力は日進月歩ですが、
それでも漁獲量は増えません。獲りたくても、魚がいないのです。」
「持続的に儲かる漁業の方程式を導入して、
『手当たり次第に獲るだけの漁業』から、
『持続的に高く売る漁業』に切り替えれば、
日本の漁業も、持続的な利益を生む産業になります。」
「1989年からわずか十五年の間に、日本の漁業者数が42%も減少したにもきわらず、
一人当たりの生産金額は減少しました。日本漁業の衰退は、無規制な漁業の当然の帰結です。
漁業者の意識の問題ではないし、精神論で何とかなるものではありません。
早い者勝ちという漁業システムにメスを入れない限り、状況は打開できません」
日本人が、今のように日常的に魚を食べるようになったのは(冷蔵庫の普及や戦後食糧難への国策)、
戦後の50年程度の現象です。2000年には、ついに(水産物)輸入が、国産を追い抜きました。
バブル崩壊以降は、日本の購買力が低下、世界的に魚の値段が上昇しました。
その結果、日本が魚を輸入できなくなるという事態(『買い負け現象』)が発生しているのです。
1970年代以後、EEZ(排他的経済水域)で遠洋漁業は衰退し、
すでに日本漁業は構造的に行き詰まっていたのです。
<水産庁が改革に反対する本当の理由>
改革(IQ方式の導入)によって、高齢者を中心に離職者が増えることは、
漁業者の数による政治力を利用している全漁連や、
漁業者を票田と考えている族議員にとって望ましいことではありません。
水産庁にしても、離職者への対応として減船などの費用が発生する事になり不都合です。
漁業改革の動きは、既得権組織の厚い壁に阻まれました。
今もなお、無規制の結果の乱獲が進行し、日本近海の資源は枯渇に向かっています。
漁業の生産性は低く、漁業者の減少に歯止めがかかりません。
デタラメな漁業政策で産業を破壊しているのだから、日本漁業の衰退は人災です。
「水産土木栄えて、水産業廃れる」僻地の過疎化した漁村に立派な港を次々と建設するよりも、
水産業の未来につながる資源管理に公的資金を投入すべきです。
日本漁業が衰退を続ける背景には、「問題を隠して現状を維持しようとする既得権勢力」
「現状を知らされず非生産的な労働を余儀なくされている漁業者」「何も知らされていない納税者」
という構図があります。漁業以外にも共通点がありそうです。
目先の組織防衛や既得権にこだわって、必要な変化を先延ばしにするのは、
なにも漁業に限った話ではありません。その背景には、
身内の恥を隠す日本のムラ社会構造があると筆者は考えます。
バブル崩壊以降、漁業と同じように、
問題を先延ばしにしながら衰退を続けている業界は少なくありません。
日本人は、漁業のことを時代遅れの産業と考えているようですが、筆者に言わせれば、
没落日本の最先端を行く衰退産業です。
[目次]
第一章 食卓から見た魚
本格的に魚を食べ始めたのは戦後
輸入魚頼みの日本の食卓
第二章 日本漁業の現状
どうして日本の魚は減っているのか?
漁業を破壊する早獲り競争(乱獲)
第三章 持続的に儲かる漁業の方程式
漁獲枠をあらかじめ漁業者に配分
IQ(個別漁獲枠)方式
第四章 日本漁業の処方箋
時代遅れの漁業制度が乱獲を促進
日本はどうすべきか?
第五章 ノルウェーの漁業改革
漁業者の自己改革は望み薄
IQ方式を導入し、質で勝負
ノルウェー漁業が発展する理由
第六章 ニュージーランドの漁業改革
ITQ(漁獲枠売買自由化)方式
ニュージーランド漁業のフロンティア精神
第七章 なぜ日本では乱獲が社会問題にならないのか?
漁業の問題は国民には知らされない(大本営発表のような情報統制)
漁業という日本の問題
第八章 解決への道筋〜クロマグロの資源管理
クロマグロ一本釣り師からのSOS
当事者を巻き込む
国から独立した政策立案組織が必要 |

